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【特別企画】 新たな学びの場つくりのユニット
『アトリエMALLプロジェクト』を密着取材 [最終回]

[ 取材・レポート ] 一般社団法人経営学習研究所 理事 板谷和代

『アトリエMALLプロジェクト』は、自ら手を上げて集まった見ず知らずの異業種のメンバーが日常業務から離れ、オープン・コラボレーションの進め方や、ワークショップ型イベントの企画・運営方法を体験的に学びながら、これからの人材育成のあり方を知的に探求することを目指す、越境的な取り組みです。リレーレポート最終回はMALL理事の板谷さんからの総括レポートです。

「アトリエMALLプロジェクト」をふりかえる

「新企画では、板谷理事に担任をお願いします」。 私に依頼があったのは、昨年6月8日のことでした。そして、ちょうど半年後の12月8日のリフレクションで、このユニークな企画は幕をおろしました。今日のビジネスにおいてイノベーティブな活動を展開していくには、組織の枠を超えたオープンなコラボレーションをデザイン&実践していく若手企業人が不可欠です。そのためにMALLができることは何か? それが越境型アクション・ラーニング「アトリエMALLプロジェクト」でした。今回のレポートでは、理事チームの一人として、またS-park(Bチーム)担任の立場から、このプロジェクトをふりかえります。

MALLも寄せ集めチームだけど……

そもそも企画を主催した経営学習研究所(Management Learning Laboratory=MALL)自体が、寄せ集めチームです。8名の理事は、大学教員4名+実務家4名。それぞれに本業があり、かなり忙しい日々を過ごしています。「これからの人材開発・人材育成を面白くする」という目的のもとに集まったメンバーが非営利の一般社団法人を立ち上げ、仕事を終えて集まっては、密度の濃い議論を重ねていくつかのイベントを実施しました。MALLは、いい大人がチームビルディングにすったもんだした結果の産物なのです。しかも、MALLの基本姿勢は「一人1ラボ(ひとり・ひとラボ)」。一人きりで、企画、作、演出(場合によっては主演)を行います。基軸がしっかりしているので、他のメンバーのサポートを受けながら、個人の思いを具現化できるのです。

今回の募集企画「アトリエMALLプロジェクト」の命題は、「短期間で、しかも多くが初対面のチームでひとつのイベントを実施すること」。募集告知に反応してくださった多くの方から熱い応募動機が寄せられました。理事全員で皆さんの応募書類を審査し、ようやく決定した13名。誰もが企業人としての経験を持っていて、それぞれが思い描く景色があります。「心揺さぶられる場を創造したい」「知識の引き出しが多く、人脈の広い人材になることで、社会で広く通用する人材になりたい」「組織の枠にとらわれず、同じ志を持つ意欲的な仲間に出会いたい」など、20代~30代の方々から、強い思いをいただきました。まさに、MALL理事が共有している「自律性」と「多様性」を楽しむチャンスです。一方私は、純日本企業で育ち、管理職といえばバランス感覚がほめ言葉のような時代に生きてきました。そのため、多様性推進を頭では理解はしているものの、そのバラバラ感をハラハラしながら見守っていたような気がします。

自身の立ち位置に悩む

今、思えば「担任」の定義を明確化しないままのスタートでした。今回のプロジェクトには、二つのチームがあったことから、担任と副担任をそれぞれ2名置きました。担任は各々一つのチームを受け持ちました。もう一人の担任である田中理事曰く「小学校ではなく、高校の担任のイメージ」ということで、何から何まで教育、指導するわけじゃないという距離感です。また、2名の副担任はチームにつくのではなく、両チームに対してその専門性を活かしてアプローチする、という位置づけになりました。8名のMALL理事のうち企業に勤めている4名が担任、副担任につき、大学教員4名がまるで社外取締役のようなご意見番を担うこととなりました。非日常のポジションを体験することで、自分たちにも学習を埋め込んでいるように感じました。

それにしても、この担任という位置づけは難しかったです。このチームのために、私にできることは何なのか? 何よりも、本業のピークとぶつかり、打ち合わせに参加ができなかったことが申し訳なかったし、関係性の難しさを痛感しました。Facebookグループを通じてチームの進捗状況はなんとなくわかるものの、打ち合わせの場にいないのですから迂闊に書き込みや発言もできません。自立性の尊重と、介入のタイミングに悩んだ4ヵ月でした。

二つのチームが、試行錯誤、紆余曲折、存亡危機、原点回帰、意気揚々そして意気消沈・・・…と大騒動になっていることはわかっていました。それゆえ、理事は理事で進捗共有や進め方について、かなり頻繁にメールで意見交換をしたり会合で議論をしたり、この初プロジェクトに右往左往していました。私は、そもそも担任という存在がチームメンバーから何を期待されているのかもわからず、それでもMALLの看板を背負ってイベントを実施してもらうからには、言わなければならないことがあり、どのように伝えることがより効果的かと悩みました。理事とチームの事務的情報のコミュニケーターではあったものの、果たして良きモチベーターになれていたのでしょうか。

リフレクションからの新たなスタート

「イベントを開催できた、楽しかった」ではプロジェクトの目的達成とは言えません。参加メンバーの学習は成立したのでしょうか? アトリエMALLでの経験を「イベント自体の成果」と「チームの成果と個人の貢献のプロセス」の二つの側面からふりかえるため、12月8日にリフレクション・ミーティングを実施しました。

参加メンバーには、事前課題が課されていました。

当日はこれらを持ちより、チーム発表、質疑応答、グループワークと濃密なふりかえりを行いました。イベント当時までの自身の関わり方について率直に語ったり、プロジェクトを通じて新たな自分に気づいたという発言もありました。また、理事からはイベント当日の運営に対する辛口のコメントが出たり、「ラーニング」において「誰がターゲットなのか?」「どういう状態にしたいのか?」といったそもそもの議論も白熱しました。決して、ダメ出し反省会ではなく、未来に繋げるリフレクションでした。平日の夜の開催でしたが、多くの気づきや学びの刺激的な対話は、クロージング飲み会の場に移動してからも尽きることなく、朝まで話し合ったメンバーもいたそうです。

こうして、暑い夏にスタートしたアトリエMALLプロジェクトは、冷たい北風の季節の熱いリフレクションで終了しました。いえ、新たなステージの始まりかもしれません。それは、人それぞれ…。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

13名のメンバーは、その後どうしているのでしょうか。きっと、4ヵ月の経験を通して得たチームワーク、リーダーシップとフォロワーシップ、イベント開催のノウハウ、新たな知識とスキル、コミュニケーションの辛苦と喜び。制約がないことが、どれだけ制約となるかも体感したのではないでしょうか。また、思いがけない自分発見もあったことでしょう。MALLが目指す世界観は「学習立国・日本」。日本中に学びが満ちあふれることによってこそ、日本がキラッと輝ける存在感を持ち続けられる。そんな想いに共感し、貴重な時間をエキサイティングな4ヵ月に費やしてくれた13名のメンバーのますますの活躍が楽しみです。私たち理事チームも、多くを学習させてもらいました。さて、次回はどんな試みを実施しましょうか。早いものでMALLは、まもなく4度目の春を迎えようとしています。


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