イベントレポート

【特別企画】新たな学びの場つくりのユニット
『アトリエMALLプロジェクト』を密着取材 <第四回>
[ 取材・レポート ] 株式会社インテリジェンス 長島威年(アトリエMALL Aチーム・ほしぐみ)(2014/12/19掲載)

『アトリエMALLプロジェクト』リレーレポート第四回は、プロジェクトメンバーの長島さんからのレポートです。

自分一人では絶対に発想できなかった「よるのほいくえん」

『アトリエMALLプロジェクト』は、自ら手を上げて集まった見ず知らずの異業種のメンバーが、日常業務から離れ、オープン・コラボレーションの進め方や、ワークショップ型イベントの企画・運営方法を体験的に学びながら、これからの人材育成のあり方を知的に探求することを目指す、越境的な取り組みです。私がアトリエMALLに参加した目的は、「人材育成のあり方に対して一石を投じるキッカケを作りたい」「志を同じくするアトリエ・メンバーとの協業、共創を通じた企画を体験したい」「MALL理事の方々から知見やノウハウを習得したい」の三つでした。私が最初に出した企画テーマは、人材育成担当者に対して「企業のビジネス戦略に沿った人材育成」ではなく「人(社員)の強みを始点としてビジネス戦略を考える人材育成」というもの。結果は自分としてはまったく想定もしていなかった、あるメンバーからの企画に着地。それは、幼児教育にヒントを得た「よるのほいくえん」という企画でした。
子どもの頃は当たり前だった“好きなものを探求すること”や“興味・関心のおもむくまま夢中になって遊ぶこと ”から、学びを再発見する企画です。実際に幼児教育のワークショップを行っている方とお会いし、ワークショップを体験し、メンバー全員が「可能性を感じる!」と感じて取り上げることを決定。自分一人では出なかった発想だったので、悔しさもありましたが、同時に協業・共創の醍醐味を感じながら企画プレゼンへ向けて走り出しました。

迷ったときには原点回帰。目的や想いに立ち返る

Aチーム・ほしぐみによる最初のイベント企画プレゼンにおいて、MALL理事からあったフィードバックが以下の三点でした。

  • コンテンツを盛り込み過ぎている
  • 問いとそれに応じた気づきの範囲を設定する
  • 幼児教育にどこまでフォーカスするのか決める

このポイントを明確にするべく議論を重ねて企画書をブラッシュアップ。当初は企画が振り出しに戻ったような感覚があり、メンバー同士の話し合いの中で「何を変え、何を変えない方がいいのか」といった迷いがありました。そこで、もう一度メンバー全員で今回のアトリエMALLプロジェクトへの応募動機、今回の企画を通じて何を成し遂げたいのかについて、時間をかけて丁寧に話し合うことにしました。辛抱強い対話を通じてつむぎ出された言葉は「学びの未来を変えていく。そして社会を変えていく」というチームとしてのフィロソフィーでした。チームメンバー全員の応募動機や課題意識の接点を探して言語化することで、結果として結束力が増し、判断基準が明確になり議論に拍車がかかったのです。

<Aチーム・ほしぐみの企画概要>

○イベント概要
開催場所は都内某所にある夜の「幼稚園」。
参加者に求めた応募条件は、何かを生み出す過程で生まれた“廃材”を持ち寄ること。イベント当日は持ち寄った“廃材”を使ったワークショップを行います。ワークシップは2部構成で、好きな素材を見つけ、何かを発見し、対話しながら探求していくプロセスを丸ごと体験する「あそびのじかん」、そして発見をシェアし、これからの学びについて語り合う「たいわのじかん」。一連のプロセスを通じて学びを再発見していきます。そして、最後はおいしい食事をとりながらの交流会、という流れでした。

<当日のタイムスケジュール>
19:00-19:10 イントロダクション
19:10-20:50 あそびのじかん
20:50-21:20 たいわのじかん
21:20-21:30 ラップアップ
▶ ▶ ▶ 21:30- 交流会 おいしいごはんタイム ♨

○今回のイベントを通じて提供したい体験
「学びの原点から学ぶ」
〜自分の「好き」から始まり、興味や関心のままに探求し、何かを発見すること〜

○コンテンツ
イタリアの幼児教育の場において40年にわたり実践されている教育アプローチ手法、レッジョ・エミリア・アプローチをヒントに“廃材×創造性”をテーマに「好きから始まる学び」を考えるワークショップを実施

○今回のイベントを通じて投げかける問い
学びはどこからやってくるのか?

○参加対象者
おとなの学びの実践に関わっている人

「制約」と「こだわり」のせめぎ合いで理事と対立?!

実は、MALL理事と私たちとの間で最も議論になったポイントは「開催日と開催場所」。私たちAチーム・ほしぐみが「学びの原点から学ぶ体験」を提供するためには、開催場所が保育園または幼稚園でなければならないという強い想いがありました。しかし、やっとコンセプトに賛同してくれて、開催を承諾してくださった保育園との日程調整が難航。私たちにとって動かすことのできない11月26日の開催が、現実的に厳しいことが判明しました。すると、MALL理事たちからは「ほぼすべての企画が厳しい制約の中で実現されているように、100%思い通りになる企画なんてない」「予定が変わること自体を楽しむというスタンスも重要」とのアドバイス。開催日を最優先にし、開催場所を変更する選択肢もあると、厳しいながらも経験に裏打ちされたフィードバックをもらいました。

結論から言うと、運と出会いに恵まれ、開催を快諾してくださった幼稚園があり、無事に11月26日に開催。実は、この時、メンバー全員で話し合い、「もし今回、MALL理事の方々と折り合いがつかなければ辞退しよう」という話まで飛び出していました。メンバー間でも最後まで意見が分かれましたが、もし本当に開催が危うかった場合、どちらの判断が正しかったのかは正直分かりません。一つだけ言えるのは、メンバーvsメンバー、メンバーvsアトリエMALL理事のコンフリクトの構図が何か大きなエネルギー源になっていたこと。この一連のプロセスの中でコンフリクトがあったからこそ、開催まで走り切れたのだと個人的には感じています。

予期せぬことが次々と起こるのがワークショップ

当日のプログラムは「イントロダクション(自己紹介や企画主旨説明)」「あそびのじかん(ナビゲーター主導による個人ワークとグループワーク)」「たいわのじかん(参加者同士でのリフレクション)」「ラップアップ」「交流会」の5段階で構成。ただ、予想しきれなかった天気(雨が降りました……)や参加者の盛り上がり、ナビゲーターの熱の入ったトークによって「あそびの時間」が10~15分おすことに。しかし、場が進行している最中に運営メンバー同士でなかなかコミュニケーションが取れず、ストレスを感じる場面も少なくありませんでした。それでも、予定していた休憩時間をなくすなど、臨機応変に対応。最後の「たいわのじかん」と「交流会」をあわせて実施することで、終了時間を厳守でき、ほっと一安心でした。予期せぬことが起こる、本番の怖さを実感した一日でした。

そして、“問い”は続く……

今回のイベントを通じた “問い”は前述した、「学びはどこからやってくるのか」。自分自身の現時点での答えは、願望と自戒も込めて「学びは遊びからやってくる」と言いたい。仕事が嫌い、勉強が嫌いという人は少なくないと思いますが、遊びが嫌いという人は稀だと思います。MALLが目指す世界観である「学習立国・日本」の実現に、“遊び”の概念はとても合うと感じました。「人材育成のあり方に対して一石を投じる」「越境学習をしているメンバーと協働・共創する」「MALL理事の方々より知見やノウハウをインプットする」といった応募動機と共に参加しましたが、予想以上に大きなお土産をいただきました。本当にありがとうございました!

【最後に…参加者からのアンケート抜粋】
子どもの感性やクリエイティビィティを取り戻すことがこんなにも難しく楽しいものであることに久々に気づきました。
とても面白かったです。なかなか感性が開かずに頭が動いてしまいましたが、最後は少し感性が開いた気がしました。
自分と違う考えの人から学ぶこと、自分と違う考えの人と寄り添って、学びを与え、受けることがあるのだと実感した。
大人からしてみれば無駄なもの、排除してきたこと。そこからいくらでも学ぶことができる。「学び」と「遊び」は紙一重。
楽しかったです。今の自分の仕事や今後のライフワークに生きるキッカケを得られたと思います。
懐かしいとか、好きだ、心地いいという感覚をもっと大切にしようと思った。素材を目を閉じて触ったり、音を聴いたりという五感を普段とれだけ使ってないかと気づかされた。
自分の感覚をもとに感じたことをつむいでいくのは真剣で、自分の素になれる。これが「学ぶ」もとなのだと思った。

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