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労働関係・社会保険の改正項目を一元整理

社会保険労務士

安部敏志

4 年金制度の安定・充実化

日本の年金制度は3階建ての構造となっています。1階・2階部分の公的年金が老後生活の基本を支え、3階部分の企業年金・個人年金によって老後生活の多様な希望が賄われるという考え方です。

そして、意外と忘れられがちですが、日本の公的年金制度は、将来自分が受け取る年金を自分で積み立てておく積立方式ではなく、納められた保険料をそのときの給付に充てられる賦課方式です。年金を払う人(働く人)が年金を受け取る人を支える構造になっているため、年金を受け取る人を抑える、または支給される年金額が減らなければ、年金を払う人の負担は大きくなります。

そのため、国は5年に1度、年金制度に関する財政検証を行っており、令和元年8月27日に財政検証結果が公表されましたが、その中で経済成長と労働参加が進むケースでは、現行の年金制度の下でも、引き続き所得代替率50%の給付水準を今後概ね100年間にわたり確保でき、経済成長と労働参加の促進が将来の年金の水準確保のために重要であることが示されました。

このような考え方により、前述の「高年齢者の就業機会の確保と就業の促進」や「複業推進とセーフティネットの整備」による労働力確保、その中でも特に高年齢者の就労を促進する法改正が行われ、併せて国会に提出されている年金制度の機能強化のための法改正により、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大、公的年金の上乗せとなる企業年金・個人年金である確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)のさらなる普及を推進しています。

1.確定給付企業年金・確定拠出年金の受給開始時期の選択肢の拡大

まず、公布の日に施行されるのが、確定給付企業年金の受給開始時期の選択肢の拡大です。現在60歳から65歳の間で労使合意に基づく規約によって設定することが可能となっているDBについて、企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするため、支給開始時期の設定可能範囲が70歳にまで拡大されます。

また、令和4年4月1日から、現在60歳から70歳の間で個人による選択が可能となっている企業型DC、個人型DC(iDeCo)の受給開始時期の上限年齢が、公的年金の受給開始年齢の見直しに併せて、75歳まで引き上げられます。

2.簡易企業型年金と中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の対象範囲の拡大

また、中小企業向け企業年金制度として、設立手続を簡素化した簡易企業型年金や、企業年金の実施が困難な中小企業が、iDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)がありますが、中小企業における企業年金の実施率が低下傾向にあることを踏まえ、公布後6月を超えない範囲内で政令で定める日から、簡易企業型年金とiDeCo+制度を実施できる従業員規模が、現在の100人以下から300人以下に拡大されます。

3.年金の受給開始時期の選択肢の拡大

そして、令和4年4月1日から、現在60歳から70歳までの間で選択できる公的年金の受給開始時期について、その選択肢が60歳から75歳にまで拡大されます。

4.確定拠出年金の加入可能年齢の見直し

企業が従業員のために実施する退職給付制度である企業型DCには、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律による高年齢者雇用確保措置の義務年齢等を踏まえ、現在は、厚生年金被保険者であって65歳未満、ただし60歳以降は60歳前と同一事業所で継続して使用される者に限られるという企業型DC独自の加入者要件があります。

これについて、DBとの整合性を図り、企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするため、令和4年5月1日から、企業型DC独自の要件が撤廃され、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入できるようになります。

5.マッチング拠出とiDeCo加入の選択

また、老後のための資産形成を支援するiDeCoの現在の加入者要件は、国民年金被保険者の資格を有する60歳未満となっていますが、高齢期の就労が拡大していることを踏まえ、企業型DCの加入者要件の改正の施行日と同じ令和4年5月1日から、iDeCo 独自の要件が撤廃され、国民年金被保険者であれば加入できるようになります。

さらに、企業型DC加入者の個人の取組みを支援する仕組みの一つにマッチング拠出がありますが、令和4年10月1日から、規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者は、マッチング拠出とiDeCo加入について加入者ごとに選択できるようになります。

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【用語解説 人事辞典】
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106万円の壁
標準報酬月額
ハイブリッドワーカー
40歳定年制
打切補償
2013年問題
役職定年制
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