【ヨミ】ナナジュッサイテイネンセイ 70歳定年制
2013年4月の「高年齢者雇用安定法」の改正によって、2025年4月から全企業に「65歳まで定年年齢の引き上げ」「希望者全員を対象にした、65歳までの継続雇用制度を導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置が義務付けられます。それに先立つ2021年4月から、企業は70歳までの就業機会確保が努力義務となります。その際、同じ企業での継続雇用以外に、70歳まで継続的に業務委託契約する制度、NPO活動などへ継続的に従事できる制度の導入といった選択肢も追加されます。
70歳定年制のケーススタディ
70歳までの雇用が努力義務に
70歳定年制で企業が考えるべきことは
「つい先日65歳定年制になったばかりなのに、もう70歳定年制?」と思う人は少なくないでしょう。65歳定年制が義務化されるのは2025年4月からともう少し先ですが、「人生100年時代」の社会への突入を象徴するような出来事の一つといえます。一方で現実に目を向けると、2017年時点で65歳定年制を導入している企業は16.4%、66歳以上の定年制は1.4%で、現状の割合はさほど高くありません。
そもそもなぜ、定年が引き上げられるのでしょうか。広く知られている通り、日本は少子高齢化による人口減少が社会問題の一つとなっています。65歳以上が占める人口の割合は2018年時点で28.1%ですが、2065年には38.4%にまで増加する見込みです。人口減少や超高齢化社会により、年金の財源確保が難しくなっていることが定年引き上げの要因の一つに挙げられます。2013年から段階的に支給開始年齢が上がっていき、60歳から65歳へと引き上げが決まりました。これに並行して定年も引き上げ、年金の受給年齢まで働けるようにすることを目的としたセットの施策なのです。
70歳までの就業が可能になれば、年金受給開始年齢をさらに引き上げることができます。現在も繰り上げ受給や繰り下げ受給も可能で、現行の制度では66歳から70歳までの間に繰り下げると、1ヵ月遅らせるごとに0.7%受給額が増える仕組みとなっています。
定年延長に際して、企業は人事制度や給与制度を見直すことになりますが、対象となる従業員に対して不利益変更となったり、モチベーション低下につながったりしないよう、慎重に対応しなければなりません。
今後も人手不足が続くことが予想されるため、企業にとってシニア人材の活用は重要課題ですが、まずは2021年から始まる「努力義務」に向けた準備が必要です。