企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

仕事の効率をアップさせる「昼寝」の活用と規定作成&運用

社会保険労務士

奥村 禮司

厚生労働省は、2003年3月、「健康づくりのための睡眠指針~快適な睡眠のための7箇条~」(以下、「指針」という)を策定しました。しかしながら、策定から10年以上が経過し、睡眠に関する科学的知見が蓄積されていること、また、2013年度から健康増進法に基づき策定された基本方針、いわゆる「健康日本21(第二次)」を開始したことから、睡眠の重要性について普及啓発を一層推進する必要があり、このほど下記の通り指針が改定されました。

本記事では、以下、指針に沿って企業が就業時間中の昼寝を社内制度化する場合に発生する実務の流れに対応した規定の作成例や運用方法を解説します。

■健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~
(2014年3月厚生労働省健康局)

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

1. 改定睡眠指針にみる勤労世代に関する睡眠の重要性と「昼寝」の活用

指針では、若年世代・勤労世代・熟年世代についてそれぞれ望ましい睡眠のとり方をまとめていますが、「不眠がうつ病のようなこころの病につながるこ と」や、「睡眠不足や睡眠障害による日中の眠気がヒューマンエラーに基づく事故につながる」として、睡眠の重要性を訴えています。また、「スリーマイル島 原子力発電所事故(1979年)やスペースシャトルチャレンジャー号事故(1986年)などにおいて、睡眠不足による眠気がその原因となった可能性が指摘 されている」ともしています。

勤労世代については、「睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高め」、また、「睡眠不足が 続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下して、さらに、産業事故などの危険性が増す」として、「十分な睡眠を確保する」ことが大切であるとしています。

しかしながら、実際には仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できないことが多くあります。その場合は、「午後の眠気による仕事の 問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です」として、30分以内 の短い昼寝を勧めています。以下に、指針を抜粋します。

第8条.
勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
日中の眠気が睡眠不足のサイン
睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる
午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。一人ひとりが、自分に必要な睡眠時間を知ることが大切です。自分の睡眠時間が足りているかどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意するとよいでしょう。日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。

勤労世代では、必要な睡眠時間が確保しにくいこともあるため、特に、勤務形態の違いを考慮しつつも、十分な睡眠を確保する必要があります。睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高めます。自分では眠気による作業能率の低下に気が付かないこともあります。忙しい職場では、睡眠時間を削って働くこともあるかもしれませんが、それが続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下して、さらに、産業事故などの危険性が増すことがあります。

睡眠不足が長く続くと、疲労回復は難しくなります。睡眠不足による疲労の蓄積を防ぐためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。睡眠の不足を休日などにまとめて解消しようとすることを「寝だめ」と呼ぶことがあります。しかし、沢山眠っておくとその後の睡眠不足に耐えられるということはなく、「睡眠」を「ためる」ことはできません。睡眠不足が蓄積されてしまうと、休日にまとめて睡眠をとろうと試みても、睡眠不足による能率の低下をうまく補うことはできません。また、睡眠不足の解消のために、休日に遅い時刻まで眠っていると、光による体内時計の調整が行われないために生活が夜型化して、日曜の夜の入眠困難や月曜の朝の目覚めの悪さにつながります。

毎日十分な睡眠をとることが基本ですが、仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できなかった場合、午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です。


記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

人事・労務関連コラムのバックナンバー

ハローワーク新システム開始!
人を集める求人票の書き方
今、人手不足はあらゆる業種で大きな問題となっています。特に中小企業では、大企業のように求人募集に割ける費用にも限りがあり、人手不足に頭を悩まされている企業も多い...
2020/05/22掲載
今春から改正健康増進法が全面施行!
企業がどこまでできる!?仕事中・私生活上の喫煙制限
令和2年4月1日に改正健康増進法および東京都受動喫煙防止条例が全面施行されます。これに向けて企業および官公庁の喫煙対策が加速しています。「喫煙した職員にその後4...
2020/03/06掲載
悪質クレームに対応する従業員ケアの必要性と対策
年々増加する不当クレーム・悪質クレーマーから従業員を守るにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、クレーム対応の考え方や、体制整備の進め方について解説します。
2020/01/17掲載

関連する記事

給与計算を効率化するシステム活用のヒント
活用範囲とコストを検討し、導入効果を最大化するサービス選び
給与計算は正確性と効率が求められる業務であり、ミスが許されません。しかし、雇用形態や働き方が多様化している現在、給与計算にかかわる業務はますます煩雑さを増してい...
2020/04/13掲載人事支援サービスの傾向と選び方
人材採用“ウラ”“オモテ”
ハードワーク体験がトラウマに 年収が下がっても日系企業を希望する理由とは
世界的な外資系企業への内定が決まったにもかかわらず、あえて日系企業への転職を希望する求職者。そこにはあるトラウマが影を落としていた。
2019/10/02掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
定着と労働条件の微妙な関係
パート・アルバイトとして働く1,600人への最新の調査によると、約4割が転職意向を持っているということがわかりました。空前の採用難時代。従業員の勤続意向を高め定...
2018/11/12掲載新卒・パート/アルバイト調査
「働き方改革」推進に向けての実務(3)労働生産性の向上
「量」から「質」へと評価軸を転換し、高い生産性を実現するための課題と取り組み例を紹介する。
2017/03/31掲載よくわかる講座
【生活型、付合い型、独りよがり型、抱え込み型…etc 】
“タイプ別”残業時間削減のテクニックとその進め方
残業を削減するには、まずは社員の働き方を検証、見直し、恒常型残業を削減することから始めなければなりません。本記事では、日本能率協会総合研究所の広田 薫氏が「残業...
2013/11/18掲載人事・労務関連コラム

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

POSITIVEが選ばれる理由

記事アクセスランキング

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


ウィズコロナ時代の働き方改革<br />
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

ウィズコロナ時代の働き方改革
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

新型コロナウイルスの感染拡大は、店舗事業者に甚大な影響をもたらした。さ...


新たな福利厚生施策 ~社員の満足度を高める「会員制リゾートホテル」活用法とは?

新たな福利厚生施策 ~社員の満足度を高める「会員制リゾートホテル」活用法とは?

現在、福利厚生施策の中で、社員同士や家族連れで自由かつ気楽に利用できる...