無期転換時の労働条件変更について
お世話になります。有期契約労働者の無期転換を行う際に、賃金を下げることは違法でしょうか。
当方では、有期契約労働者には正規労働者より高い賃金を払ってきました。
これは契約期間内に成果をあげる事を契約していることや、雇用の継続を保証していないためです。(有期契約の対象者は高度専門職ではありません)
しかしながら、無期転換ルールや雇止め法理により、正規労働者と同じく65歳までの雇用を保証しなければならなくなると、今までの賃金では労務コストが高くなりすぎてしまいます。
また、長期的な雇用を会社が保証するため、無期転換した労働者には、賃金を下げたうえで、今までのように契約で限定した働き方だけでなく、会社や上司の指示に従って働いてもらわなければ、会社側のメリットがないと感じています。有期契約労働者にも無期転換するという意味をよく理解して申し出て欲しいと考えています。
なお、当方の無期転換ルールについては、有期契約三年以内又は59歳までに全て無期転換する方針でおり、60歳からの有期契約は行わない、もしくは全て雇止めを前提とした契約にるす事を検討しています。
無期転換後は60歳を定年とし、65歳までは特例を使い有期契約にすることを検討しています。これは、いわゆる“第二の定年”をなくすためです。
説明が長くなりましたが、始めに相談した通り、無期転換時に賃金を下げることで、定年制のある正規と同じ賃金テーブルにできなものか、アドバイスをいただけると幸いです。
投稿日:2017/06/08 02:14 ID:QA-0070952
- TKPPさん
- 千葉県/その他業種(企業規模 1~5人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
総論賛成、各論反対になる可能性が高い
▼ 先ず、問題の無期転換に伴う賃下げ変更の「是非」に就いては、有期雇用に適用されてきた高賃金に、それなりの合理的理由が必要です。ご説明の「期間内における高度な成果」、「雇用継続を無保証」は、一定の有力な合理的理由に該当すると思います。
▼ 次に、賃下げ変更の「可否」に関しては、これらの合理的理由が、明確に雇用契約書や就業規則など、ドキュメントに明記されているか、当事者に認識されているかがポイントになります。実態が不明なので、断定は出来ませんが、まず、明確な認識は十分だと言えない状態だと推測致します。
▼ 会社として、雇用形態の無期化に伴い、賃金も一元化したいのは当然ですが、該当労働者にとっては、賃下げという最も、直截的な「不利益変更」だけが目に飛び込んできます。最初の、「是非」は総論であり、次の「可否」が各論だとすれば、総論賛成、各論反対になる可能性が高くなるでしょう。
▼ 本変更事案に関する、提案・交渉・合意と言う一連の交渉相手は、労組、選出された社員代表者、対象個人等、いずれになるのか分かりませんが、一方的、強圧的な雰囲気の醸成を避け、ソフトランディングに向けて具体的戦術シナリオをご検討下さい。
投稿日:2017/06/08 10:54 ID:QA-0070958
相談者より
ご回答ありがとうございます。
労働契約書には賃上げ無しの明示はしていますか、仰る通り、賃下げについては明確な認識は示せていないのかもしれません。アドバイスありがとうございます。
投稿日:2017/06/08 19:26 ID:QA-0070978大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
賃金を下げるからと言って必ずしも違法とまではいえませんが、賃金を下げる以上、本人の合意が必要です。また、規定化しておくことも必要です。
実際の業務内容、賃金額等にもよりますが、合理性が欠けていたり、恣意的なものの場合には、法の趣旨に反しているとされるリスクもあります。
賃金を下げることのマイナス面を差っ引いても、プラス面の方が大きいようであれば、不利益の程度は小さいといえます。
投稿日:2017/06/08 11:22 ID:QA-0070961
相談者より
ご回答ありがとうございます。
仰る通り、賃下げしても当方で働きたいと思ってもらえる会社であれば良いのかもしれません。
今働かれている方々は、賃下げ要求すれば従ってもらえる方が大半に思いますが、当方としては不利益変更とわかっていながらの交渉を行うつもりはありません。有期契約の方々はには、無期転換の意味を真剣に考えて欲しいため、賃下げは一つのきっかけにならないかという考えでした。アドバイスありがとうございます。
投稿日:2017/06/08 19:44 ID:QA-0070979大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、御社の場合ですと、元々無期雇用契約である正社員よりも有期雇用契約社員の方が高い賃金を受けているという通常とは真逆の特殊な雇用状況にあるものといえます。
そうなりますと、有期雇用契約から無期転換される場合に正社員並みの賃金へ引き下げることも合理性を持ち得る措置といえるでしょう。
しかしながら、その際は今までの有期雇用の業務対応から正社員と同じ業務対応に変更されることが必要といえます。雇用形態は無期であっても、短期間で成果を求められる等業務実態が有期雇用の時と変わりなければ、正社員と同じ賃金テーブルを適用することは片手落ちといえますので、同時に勤務の中身まで正社員並みとされる必要があるものといえるでしょう。
投稿日:2017/06/08 18:16 ID:QA-0070972
相談者より
ご回答ありがとうございます。
無期転換後に正規と同程度まで賃下げした場合には、業務内容や求める成果もさげなければとのアドバイスと理解しました。
現段階では無期を含む非正規に求める成果は今までと同じですし、有期又は無期からの正規登用は考えていません。条件面での非正規と正規の差は主に退職金で、正規は生涯年収では非正規を上回り、時間当りの労務単価は非正規が正規を上回ります。月収と言わないのは正規は固定給で非正規には時給の方もいるからです。
少し話が脱線してしまいますが、無期契約労働者であっても時間給としても問題はないとの認識で正しかったでしょうか、もう一度アドバイスいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いします。
投稿日:2017/06/09 07:57 ID:QA-0070991大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事下さいまして有難うございます。
「無期契約労働者であっても時間給としても問題はないとの認識で正しかったでしょうか」
― 給与の支払形態については特に時間給であっても差し支えございません。その他の事柄については前回お答えいたしました通りです。
投稿日:2017/06/09 09:37 ID:QA-0070998
相談者より
早速ご回答くださり、ありがとうございます。
認識に相違ない事を確認できました。
お忙しい中、大変ありがとうございます。
投稿日:2017/06/09 12:09 ID:QA-0071007大変参考になった
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