出向者とプロパー社員混在による考課・賃金はどうすべきか
弊社は、親会社からの出向社員100名が従業員です。
この度、プロパー社員を採用することになりましたが、賃金は親会社よりも低くする方針です。
給与規則・就業規則は親会社のものを社名だけ変えて印刷しただけです。
今後プロパー社員を増やす方針のため、人事考課制度もプロパーに合わせて策定しようと考えています。
そこで、相談です。
①出向者とプロパー社員が混在する場合、人事考課制度はどうすべきか。
②プロパーの賃金が出向者よりも低くなることについて、どう説明すればよいか。
③人事考課制度を策定するにあたり、注意するべき点は何か。について相談です。
関連会社や親会社からの出向者とプロパー社員が混在する会社様で、うちは「こう対処している」という事例がありましたら、是非教えてください。
投稿日:2006/07/11 14:34 ID:QA-0005326
- *****さん
- 東京都/情報サービス・インターネット関連(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
出向者とプロパー社員混在における人事制度(1)
(お断り 画面制限の関係上、回答を2つに分けますのでご了承下さい)
(PART 1)
■親会社が子会社を設立する目的と子会社に期待する将来像によって実際の制度設計の内容、導入の遅速などは変ってきます。通常は、親会社の一部事業ないし機能のスピンアウトにより、コスト競争力の強化と関連事業の拡大を図ることが目的とされますので、その前提で回答致します。
■親会社が、子会社の事業会社としての独立性を尊重し、将来のIPOも視野に入れた経営を期待するならば、子会社の成長にベストな考課、賃金を含めた一元的な人事制度の導入が不可欠でしょう。ご質問に対する一次的回答は次の通りです。
① 出向者といえども、法的には親会社(主要株主)とは別の事業会社の社員である点では、プロパー社員と全く変わりなく、一元的人事制度を適用するのが原則です。
② 同一人事制度(当然、考課及び賃金を含む)を適用する限り、プロパー社員の賃金が出向者よりも低くなる事態は起きず、説明は不要になります。
③ このご質問は次の、「実行上の問題」にて説明いたします。
■出向社員の身分及び労働条件は、通常、親会社(場合によっては労働協定などにより)によって保証されています。保証されたまま、大量の社員が子会社に出向し、保証に関わるすべての費用を子会社が負担することになれば、コスト競争力の弱い子会社ができてしまいます。プロパー社員を安い賃金で採用し、コストを下げようとする方針かと、お見受けしますが、賃金体系の二元化は避けられず、ご質問②に対する説明根拠は薄弱なものにならざるを得ません。まして、出向社員が圧倒的多数を占める環境では、プロパー社員は何を言われても抵抗できないでしょう。不満を持ち続けながら勤務するか、能力ある社員はいずれ退社していくことになります。
■考課制度の最も重要な部分の一つは、「何を評価要素とするか」にあります。事業特性や事業目標の異なる子会社の評価要素が、親会社での評価要素と異なるのは当然です。同じ事業目的の達成をミッションとして共有すべき、出向者とプロパー社員に異なった評価要素が適用されることには大きな疑問があります。
投稿日:2006/07/12 10:59 ID:QA-0005331
相談者より
投稿日:2006/07/12 10:59 ID:QA-0032225大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
出向者とプロパー社員混在における人事制度(2)
(PART 2)
■結論的にまとめますと、
① 子会社独自の人事システム(評価、グレード・ランク、賃金を含む)を策定し、出向者とプロパー社員の区分なく適用する。(一元化)
② 子会社は上記の一元化システムに基づく人件費のみ負担する。
② 親会社によって保証されている出向社員の経済的条件と、子会社の負担条件との差額は、すべて親会社が負担する。
親会社の人件費差額負担忌避を含め、短・中期的には色々な摩擦や問題の発生が予想されますが、このような方向にもっていかない限り、子会社はいつまで経っても、親会社の便利屋の域を出ず、優秀なプロパー社員も定着しないでしょう。
投稿日:2006/07/12 11:01 ID:QA-0005332
相談者より
投稿日:2006/07/12 11:01 ID:QA-0032226大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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