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取締役・執行役員への社内住宅貸付の取扱い

 執行役員制度の導入を検討しています。
 執行役員は取締役と同じように処遇することとし、執行役員就任時には雇用契約を解除し1年更新の委任契約を締結することとしています。執行役員就任後は、基本的には数年で取締役・役付執行役員となります。

 ところで、執行役員となる者の従業員退職金については、雇用契約解除時に金額を確定させますが、退職所得控除の適用を受けられるようにするため、支払いは、執行役員・取締役を退任したときに行うこととしています。

 このような前提の下、社員を対象とする社内住宅融資制度について、執行役員・取締役就任後も毎月の返済を継続し、執行役員・取締役を退任し、退職金を受け取るときに、社内住宅融資について一括返済させるよう変更したいと考えています。(新規貸付は無し。利息は、1.3%。)
 この考え方について問題はありませんでしょうか。また、何か留意すべき点はありませんでしょうか。

投稿日:2006/03/01 18:28 ID:QA-0003871

*****さん
東京都/その他金融(企業規模 3001~5000人)

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答1

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

取締役・執行役員への社内住宅貸付の取扱い

■執行役員は取締役と同じように処遇することは企業の裁量内ですが、執行役員には、商法上の明確な位置づけはありません。多くの場合、会社と執行役員との関係は、労働契約関係にあると判断するのが相当と思われます。
■将来の話は別にして、執行役員就任時には雇用契約を解除し1年更新の委任契約を締結されるとのことですが、本来の「委任契約」あるいは、商法の「支配人」の関係には、労働契約の要素はなく、労基法などの労働者保護の法規は適用されません。ご相談のケースでは、1年更新の委任契約とはいうものの、実態は、労働契約要素が色濃く残っているものと推測致します。(推測根拠は省略します)
■労働契約要素が残っているからこそ、執行役員就任後も、社員に適用される、社内住宅融資残高の継続返済(一括返済の免除、低利優遇金利の適用継続)を認める根拠があるのです。然し、退職金については、問題含みだと思われます。雇用契約解除時に「金額を確定させる」ことは、「その時点で退職金規程の適用を止め、金額は確定するが、支給を、将来執行役員・取締役からの退任時期まで遅らせる」ということだと判断します。
■この解釈が正しければ、会計上は、雇用契約解除時に、未払い退職金として計上し、確定した労働債務になるはずです。労働債務の支払は最優先されます。退職所得控除の追加メリットは合理的な遅延事由にはなりません。仮に、数年後に支給しても、確定した時点で認識された未払いですから、勤続年数による退職所得控除の追加メリットは受けられるかどうか大いに疑問です。
■既にお分かりのように、執行役員・取締役からの退任時に、住宅融資残高を退職金で一括返済させるというアイデアは、執行役員就任後も退職金制度の適用継続が条件になります。勿論、退職金規程の内容は分かりませんが、執行役員就任後に加算される金額については、実質的にゼロか微増に近くなるよう設計変更されるようお勧めします。
■因みに、今回の委任契約は、依頼者(会社)が<法律行為以外の業務>の処理を依頼し、受任者(執行役員)がこれを引き受けることによって成立する契約ですので、準委任契約と定義されます(民法第656条)

投稿日:2006/03/02 11:24 ID:QA-0003878

相談者より

 

投稿日:2006/03/02 11:24 ID:QA-0031573参考になった

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