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年次有給休暇取得による不利益な取扱い

有給休暇の取得による不利益な取扱いについて、質問させて頂きます。有給休暇を取得した者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならないと労働基準法には規定されているようですが、顧客や職場の事情を考慮せず、有休を頻繁に取得して実際に顧客からの苦情や職場の者の不公平感を発生させるような職員がいた場合、有休取得を理由として始末書提出等の処分をすることはできないと思いますが、顧客からの苦情、職場のモラル低下を発生させたことを理由として始末書提出等の処分をしたり、人事考課でマイナス評価することもやはり労働基準法に反するのでしょうか。よろしくお願いいたします。

投稿日:2006/02/15 14:10 ID:QA-0003701

*****さん
兵庫県/その他業種(企業規模 11~30人)

この相談に関連するQ&A

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答3

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

年次有給休暇取得による不利益な取扱い

■まず、有給休暇の取得について下記4点をシッカリ抑えておきましょう。
① 年次有給休暇の請求権利は労基法に定められていますが、「請求」とは、休暇の時季にのみかかる文言であって、年次有給休暇の成立要件として使用者の「承認」を必要とするものではないこと。
② 次に、年休を取得した日は、出勤したものとみなし、通常の賃金の支払いが必要で、労働者が年休を取得したことを事由として、その労働者に不利益になる扱いをすることは禁じられていること。
③ ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを変更して与える事ができること。
④ 「事業の正常な運営を妨げる場合」に関する明確な判断基準は存在しないこと。企業またはその一部の事業場において、ある特定の業務の正常な運営が一体として阻害されることをいう。」判断程度しかないこと。(札幌地S50.11.26)
■以上を踏まえて、ご相談のケースを検討してみましょう。
① まず、会社として、顧客からの苦情記録、職場モラルの低下などの「事業の正常な運営を妨げる事例」整備した上で、休暇の時季を変更させる措置をとる。
② 本人が同意せず、同様の休暇取得行動が続くようであれば、就業規則に定められた「懲罰に関する規定」を適用することは合法的措置です。但し、懲罰事由が、「休暇取得そのもの」ではなく、「合理的且つ妥当な、時季変更に関する会社決定に対する、度重なる不服従」などであることに留意が必要です。
③ 他方、御社の人事考課制度で「社員の基本行動・適性」を評価する項目があれば、<協調性>などでマイナス評価することにも、何ら法的規制はありません。
■勿論、煮ても焼いても食えない社員ではないでしょうから、これらの措置に先立って、本人と十分話し合って解決策を模索することが重要なことは言うまでもありません。

投稿日:2006/02/17 10:42 ID:QA-0003734

相談者より

ご回答ありがとうございます。有休をとり、他の従業員が残業せざるを得ない状態を発生させる上、有休取得による自分の業務の遅れを取り戻すため残業して当然のように残業申請をする行為は職場のモラルに悪影響を与えます。このような有休取得のやり方をする人はたいてい権利だから当然の行為という考えを変えられません。有休取得について理解を得るのは難しいところです。有休をとりにくい雰囲気をつくりだすのは本意ではありませんが、示して頂いた合法的で合理的な処置を取らないといけないと思います。有給休暇の制度自体が職場内の不公平感やストレスの原因のひとつとなっているような気もします。

投稿日:2006/02/17 13:02 ID:QA-0031520大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

年次有給休暇取得による不利益な取扱い

■状況はかなり悪化しているようですね。懲戒やマイナス評価によるペナルティなどの強い措置を講じる場合、その結果状況が更に悪化する局面も想定しておかなくてはなりません。
■まず、これまでの経過に関する忠実な記録が要求されます。ペナルティ措置に至るまで、会社としても、本人に対する説明、勧告、警告など必要な措置を、いつ、誰が、どのように行ったかなどに関する経緯記録のことです。どこまで悪化するのか分かりませんが、最悪は訴訟沙汰になる場合まで想定してください。
■くれぐれも、有休取得自体が問題ではなく「事業の正常な運営を妨げる行動」と「会社警告の無視」を争点にすることを忘れてはなりません。社内に蔓延する不公平感やストレス(いずれも具体的に立証するのは難しい)が、有給休暇の制度自体に起因するという論理は通りにくいと思います。通用するのは、「正常な業務運営に多大の支障を生じさせる本人の<行動>」だけですので、よく論点を整理してかかって下さい。
■人事面で先進的な企業では、社員の不満の訴えや社員に対する処罰は、予め、社内に設けられた検討委員会において検討されるケースが多く、決定プロセスの妥当性、透明性の担保が図られています。不当労働行為問題に発展した場合にも、極めて有効なツールになります。

投稿日:2006/02/17 15:29 ID:QA-0003740

相談者より

詳細なご説明ありがとうございました。性急な対応は避けるようにいたします。先進的な企業でもやはりこのような問題は発生するのでしょうか。その場合、懲戒やマイナス評価が妥当とされたケースもあるのでしょうか。

投稿日:2006/02/17 17:03 ID:QA-0031524大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

年次有給休暇取得による不利益な取扱い

■今回の御社のような事例は初めてお聞きしました。個人としての労働者と組織体としての企業の間には、様々な軋轢、問題が絶え間なく発生します。これらの諸問題の解決には、組織体として一貫した方針(コンセプト)と解決システム(ツール)が欠かせません。この両輪が整備されているのが、人事先進企業であることを申し上げたかったのです。
■整備できている場合には、合理的、妥当な判断が可能になり、必要に応じ、毅然とした態度で、懲戒やマイナス評価の措置をとられるケースは数多くあります。逆に、判断に自信が持てず、措置の検討、決定に関する社内システムもない場合には、「臭いものに蓋」をすることになり、根っこからの問題解決にならないケースも多く見受けられます。
■いずれを採るかは、御社次第と言えましょう。因みに、これは「年次有給休暇取得による不利益な取扱い」ではなく、懲戒ないし評価の次元の問題と認識
■いずれを採るかは、御社次第と言えましょう。因みに、これは「年次有給休暇取得による不利益な取扱い」ではなく、懲戒ないし評価の次元の問題と認識するべきでしょう。

投稿日:2006/02/18 10:22 ID:QA-0003743

相談者より

残念ながら社内には問題に対する一貫した方針も解決システムもありませんので、従業員個人のモラルに頼り、さまざまな問題が発生しても、統一ルールも無いまま個別対応してきたと思います。今回ご相談した件の対応を考えるのではなく、会社の方針と解決システムをどうするか考える方が重要であると思いました。ありがとうございました。

投稿日:2006/02/18 11:00 ID:QA-0031525大変参考になった

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