時間単位年休についての就業規則への記載事項について
いつも大変お世話になっております。
当社では年次有給休暇は1日単位と半日単位(午前:3時間、午後:4時間)の取得を認めており、1日休暇については就業規則内に、半日休暇については別途「半日休暇細則」にて条件等を定めております。
この度時間単位年休制度の導入を検討しております。
就業規則に記載するにあたり疑問点がいくつかあり、ご教示いただければ幸いです。
1就業規則とは別に「細則」で定めるべきか
すでに導入している「半日休暇」は細則として別途定めております。
その場合、「時間単位年休」も同様に細則とするべきでしょうか。
2就業規則に記載すべき事項
「時間単位年休」を就業規則に記載する際、
「時間単位年休に支払われる賃金」は絶対記載事項でしょうか?
厚労省の「モデル就業規則」において、時間単位年休の項目には
「①対象者」「②1日の年次有給に相当する時間数」「③付与の単位」
「④時間単位年休に支払われる賃金」が記載されています。
当社は月給制のため、時間給を支払うことはありませんし、
「モデル就業規則」でも「年次有給休暇」には賃金の算出項目は
ありません。
絶対に記載しなければならない事項であるのか、そうであるなら、
どのような理由で「時間単位年休」のみに記載が必要なのか、
お教えいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/17 16:08 ID:QA-0160772
- かざみさん
- 宮城県/その他業種(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、細則で定められても差し支えございません。
但し、就業規則上で別途細則で定める旨の文言を入れておく事が必要です。
2につきましては、休暇に関する賃金の取り扱いに関しましては絶対的必要記載事項になりますので、時間単位年休の場合も定めが必要です。尚、1日単位の年次有給休暇の賃金については、モデル就業規則では「賃金」の章に記載されておりますので、そちらに並べて定められても差し支えございません。
投稿日:2025/11/17 19:48 ID:QA-0160776
相談者より
ご教示をありがとうございます。
モデル就業規則の賃金欄は見落としておりました。
当社は給与細則において「日割・時間割計算」の算出方法を定めておりますので、こちらを利用して規則整備を進めていきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/18 13:17 ID:QA-0160824大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働基準法第39条第9項
【御相談】就業規則とは別に「細則」で定めるべきか。
すでに導入している「半日休暇」は細則として別途定めております。その場合、「時間単位年休」も同様に細則とするべきでしょうか。
【回答】就業規則への記載が必要な事項のうち、どのような事項を就業規則本体において記載し、どのような事項は別途細則で記載するかについては、法律上の定めはないものと認識されます。
会社の任意に委ねられているものであり、例えば、法定事項(年次有給休暇、時間単位での付与)については就業規則本体で、非法定事項(半日単位での付与)については就業規則細則で記載するということも考えられます。
【御相談】就業規則に記載すべき事項。
「時間単位年休」を就業規則に記載する際、「時間単位年休に支払われる賃金」は絶対記載事項でしょうか?
【回答】
労働基準法第39条第9項において、年次有給休暇(時間単位年休を含む)の際に支払うべき賃金の基準に関し、次の(1)~(3)のいずれにするかを就業規則等で定めることが求められています。
(1)平均賃金
(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健康保険法第40条第1項に定める標準報酬月額を30分の1に相当する額
なお、厚生労働省の「モデル就業規則」では、時間単位年休に関しては「第24条(4)」において記載されています。一方、「年次有給休暇」については「第43条(1)」で記載されています。
投稿日:2025/11/17 21:10 ID:QA-0160778
相談者より
ご教示をありがとうございます。
モデル就業規則の賃金欄は見落としておりました。
当社は給与細則において「日割・時間割計算」の算出方法を定めておりますので、こちらを利用して規則整備を進めていきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/18 13:18 ID:QA-0160826大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.「細則」に落とすべきか(結論:どちらでもよい/実務は細則推奨)
・法律(労基法39条)では
「年次有給休暇の運用方法(半日・時間単位)」を
就業規則の絶対的必要記載事項とはしていません。
よって、
就業規則本体に書いてもよい
半日休暇と同様に「細則」に落としてもよい
いずれでも法令上問題ありません。
【実務上のおすすめ】
すでに「半日休暇細則」が存在しているなら、
時間単位年休も“運用規程”として細則化したほうが整合性が高いです。
・理由
数値変更が生じる可能性があるため
(例:1日の所定労働時間変更に伴う換算時間の変更等)
→ 就業規則そのものを毎回変更しなくても済む。
グレーな運用ルールを細かく定める必要があるため
(申請期限、遅刻との関係、1日の上限、取得不可日など)
半日休暇との整合を管理しやすい
2.就業規則に最低限記載すべき項目(法律上の必須ではない)
厚労省「時間単位年休に関する指針(平成22年4月施行時)」では、
以下の事項を “定めることが望ましい” としており、
「絶対的必要記載事項」ではありません。
【モデル就業規則の記載項目(努力義務)】
対象者
1日の年休に相当する時間数
時間単位付与の最小単位(1時間以上)
時間単位年休に対する賃金の決定方法
・法律(労基法39条)上の「絶対的必要記載事項」ではない
年次有給休暇の制度そのものは絶対的必要記載事項ですが、
半日休暇
時間単位年休
いずれも「年休の運用方法」のため、
就業規則に書かなくても適法です。
ただし、実務運用の透明性のため 記載を強く推奨されています。
3.「時間単位年休のみ賃金の記載が求められている」理由
この部分が最もわかりにくく、よく質問があるポイントです。
結論から言うと次の理由によります。
(1) 理由1 「控除方式」が2種類存在し、労働者への説明が必須だから
時間単位年休では、賃金の支払い方法として
企業ごとに次の2つから自由に選べることになっています。
・(方式A)月給のまま控除なし
→ 時間単位年休を取得しても月給は満額
・(方式B)月給から時間単位で控除
→ 1時間あたりの賃金×取得時間数を控除
(年休取得分は支給するので最終的には控除されないが、算出過程で時給換算が生じる)
※会社が月給制であっても、控除方式を採用すると実務上「時間給計算」が必ず発生します。
(2)理由2 労働者から争われやすい領域だから
半日休暇の場合は、
「午前・午後」の一律区切りで
“月給の一部控除”という概念があまりありません。
しかし、時間単位年休では
労働者が『控除は違法ではないか?』『計算根拠が不明』と主張するケースが多いため、
厚労省はモデル規程で「賃金の決定方法」を明記するよう推奨しています。
(3)理由3 所定労働時間との調整・割増計算との関係が複雑になるため
時間単位年休を取得すると、
所定労働時間のカウント
所定内・時間外の境界
清算期間の労働時間(変形労働制の場合)
に直接影響します。
そのため、賃金(支払い方法)を事前に明文化しておく必要があるとされています。
4.「賃金記載は絶対か?」→結論:絶対ではないが強く推奨(トラブル回避)
法律上は 絶対に就業規則に書く必要はありません。
しかし、厚労省は下記理由で「定めることが望ましい」とし、
実務的にも 明記しないと紛争リスクが非常に高い領域です。
・推奨理由
時給換算の有無で労働者に誤解が生じやすい
所定労働時間数の管理と賃金計算に直接関係する
就業規則の不利益変更リスクがある(導入後の変更で問題化しやすい)
5.御社(=月給制)で記載すべき賃金項目(最適解)
御社のように 「月給制で控除しない」方式 を採用するなら、
就業規則(または細則)には次の一文だけで足ります。
【就業規則・細則への推奨記載例(そのまま使えます)】
(時間単位の年次有給休暇)
第○条 従業員は、年次有給休暇のうち1日につき○時間をもって1日と換算し、
これを1時間を最小単位として取得することができる。
2 時間単位の年次有給休暇を取得した場合に支払われる賃金は、
月給を基礎とし、当該取得により減額しないものとする。
(ただし、欠勤等により控除計算を行う場合は別途定める)
これで完全に法対応となります。
6.まとめ
(1)細則に分けるか → 法的にはどちらでもよい/実務は「細則化」がベスト
(2)記載すべき事項 → 厚労省は「望ましい」とする努力義務
(3)賃金の記載 → 絶対ではないが、
「時間単位年休だけは賃金方式の明確化が実務上必須」
(紛争予防のため)
(4)御社の月給制なら「控除しない方式」で簡素に記載できる
投稿日:2025/11/17 22:19 ID:QA-0160780
相談者より
ご教示をありがとうございます。
時間単位年休の賃金について、強制ではないものの強く推奨されていること、また、その理由を詳しくご説明いただき、理解が進みました。
当社は給与細則において「日割・時間割計算」の算出方法を定めておりますので、こちらを利用して規則整備を進めていきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/18 13:21 ID:QA-0160827大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
1について・・・
↓ ↓ ↓
従業員にとってのわかりやすさでご決定されるのが宜しいかと存じます。
つまり、すでに半日休暇について細則で定めているのであれば、
時間単位年休についても細則で定める方が一つに纏められ、従業員目線でも
わかりやすいかと存じます。
2について・・・
↓ ↓ ↓
賃金の支払い(計算方法)に関しては絶対的記載事項と捉え、規定が必要と
なります。
前提、年次有給休暇の賃金は以下のいづれかの賃金を支払う必要があります。
1)平均賃金
2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3)健康保険法の標準報酬日額に相当する額
その上で、時間単位年休の賃金は、1日分の賃金を1日の所定労働時間数で
割った額を、取得した時間数分支払う必要があります。
1日あたりの通常の賃金の額を、前述の1)2)3)のいずれの方法で計算する
のかを特定しなければ、時間単位年休の賃金額を特定できないため、記載が必要
となります。
投稿日:2025/11/18 07:55 ID:QA-0160787
相談者より
ご教示をありがとうございます。
当社は給与細則において「日割・時間割計算」の算出方法を定めておりますので、こちらを利用して規則整備を進めていきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/18 13:22 ID:QA-0160828大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.どちらでもかまいません。
ただし、時間単位年休には労使協定が必ず必要ですので。
細則というよりは、労使協定によるとすることで足ります。
2.時間単位年休に支払われる賃金は必ず記載が必要です。
投稿日:2025/11/18 13:11 ID:QA-0160823
相談者より
ご教示をありがとうございます。
当社は給与細則において「日割・時間割計算」の算出方法を定めておりますので、こちらを利用して規則整備を進めていきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/20 11:56 ID:QA-0160945大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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