労働制の就業規則の記載について
いつもお世話になっております。
当社では、昨年まで年間の変形労働時間制を採用しておりましたが、年間休日が増え、週休2日、週40時間の勤務(1日8時間)が常態となっており、頻繁なシフト変更があることから、今年度は変形労働時間制の労使協定を締結せず、通常の労働制(週休2日のシフト制)で運用しています。
ただし、就業規則では年変形のみを設定しているため、今後就業規則を改定したいと考えております。現状では今後すべての労働制を採用できるよう設定したいのですが、どのような書き方が適切かわかりません。
下記の書き方で問題があれば、ご教示いただけますと幸いです。
①所定労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
②ただし、月単位の変形労働時間制もしくは別途協定の上で1年単位の変形労働時間制を採用することがある。
③前項の変形労働時間制においては、月単位の場合はその月の1日、1年単位の場合は4月1日から3月31日まで実施し、変形期間の所定労働時間は、平均して週40時間以内とする。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/24 11:20 ID:QA-0154380
- わかたさん
- 佐賀県/商社(専門)(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
ご相談の件、「就業規則に通常の労働時間制を基本としつつ、変形労働時間制(月・年単位)も導入できるようにするための規定整備」について、現在ご提示の(1)~(3)の文面は意図としては良く整理されておりますが、法的観点・労働基準監督署の実務対応に照らして以下の点を改善することをおすすめします。
1.まず、結論(文例案)
以下のような記載が望ましいです。
【所定労働時間および変形労働時間制に関する規定例】
第〇条(所定労働時間)
1 所定労働時間は、原則として1週について40時間、1日について8時間とする。
2 業務の繁閑等に応じて、次の変形労働時間制を適用することがある。
(1)月単位の変形労働時間制(1か月単位)
(2)年単位の変形労働時間制(1年単位)
3 前項の変形労働時間制を適用する場合、労使協定を締結し、次の各号の期間を単位として所定労働時間を設定する。
(1)月単位の場合:当該月の初日から末日まで
(2)年単位の場合:原則として4月1日から翌年3月31日まで
4 前項における変形期間においては、1週間あたりの平均労働時間が40時間を超えない範囲で労働日・労働時間を割り振るものとする。
2. 解説:修正すべきポイント
項目→現状の文言→問題点→改善内容
(1)所定労働時間の設定→「1週間については40時間、1日については8時間とする」→「1日8時間」は努力目標であり、あくまで1週40時間を超えなければ違法ではない。→「原則として」「1週40時間・1日8時間」を明記し、柔軟性を持たせる記載に。
(2) 変形労働時間制の併記→「もしくは」で月単位・年単位を並列記載→実務的に「場合によりどちらも採用する可能性がある」ことが明確にならない→「必要に応じて(1)月変形(2)年変形を採用できる」と明確に整理
(3) 期間の明示→「1年単位の場合は4月1日から3月31日まで」→法律上、開始月は任意だが、「原則」と明記すべき→年度に固定せず、「原則として4月開始」と明記すると柔軟性が増す
3.実務面での注意点
上記のように就業規則で 両方の変形労働時間制を採用可能 としていても、実際に運用するにはその都度、
労使協定の締結
協定書の届出(年単位のみ)
が必要です(就業規則と協定は別ものです)。
また、変形労働時間制を適用しない年(通常労働時間制)であっても、就業規則に「適用しないことがある」との柔軟な記載があると運用がスムーズです。
オプションで入れておくと良い一文(補足条項)
※会社の指定により、年度ごとに変形労働時間制を適用しないことがある。適用の有無については、あらかじめ社員に通知する。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/24 12:54 ID:QA-0154390
相談者より
とても詳しく・わかりやすくご教示いただき、ありがとうございます。大変勉強になりました。
より柔軟に運用できるよう、教えていただいた内容を追加し、改定を行いたいと存じます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/06/24 14:59 ID:QA-0154405大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
基本的な考え方としては、運用を行う
「変形労働時間制度の種類を就業規則へ規定」し、
「詳細は、別途、労使協定書に定めるものとする」
と記載しておけば、就業規則としては成立します。
上記より、ご記載の1・2・3にプラスして、就業規則上は、
・対象者は、会社が指定した者である旨と
・詳細については、労使協定書に定める
の旨を規定しておけば、宜しいかと思います。
投稿日:2025/06/24 14:13 ID:QA-0154394
相談者より
ご教示ありがとうございます。
対象者の記載が必要であること、また詳細は労使協定参照とすること、大変勉強になりました。
その点改善して、改定を行いたいと存じます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/06/24 14:57 ID:QA-0154403大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1については、
1日の始業、終業の時刻、休憩時間を記載してください。
1週間40時間を所定労働時間と記載しますと、
例えば、
土日祝日が休日の場合は、必ずしも週40hとはなりません。
2,3につきましては、問題ありません。
投稿日:2025/06/24 18:11 ID:QA-0154434
相談者より
ご回答ありがとうございます。ご指摘の点ですが、シフト制で複数の就業時間がある場合、現在記載内容に「原則として」と付け足すのみでも事足りますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/25 09:37 ID:QA-0154465大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1か月及び1年単位の変形労働時間制につきましては各々の労働条件についてきちんと就業規則に定める必要がございます。
従いまして、示されたような規定のみで簡単に済ます事は認められませんし、労働者保護の観点からも多数の労働時間制を都度会社側の都合のみで一方的に導入するといったやり方については当然ながら避ける必要がございます。
投稿日:2025/06/24 22:37 ID:QA-0154442
相談者より
ご回答ありがとうございます。社員に不利益のないよう、運用するべきと肝に銘じます。
ご指摘の件ですが、現状、製造ラインについては製造量について見通しも取りにくいことからその時々の状況に合わせた労働制を社員と協議したいとの考えです。
変形労働時間制の労働条件については、労使協定で詳細を決定するということでは認められないということでしょうか。
投稿日:2025/06/25 09:45 ID:QA-0154467参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
通常の労働時間制を採用するのであれば、一般的な記載でよく、②、③は記載する必要はありません。
将来、変形労働時間制を採用するようなことがあれば、その時点で就業規則または労使協定で制度の内容等を定めて運用することで大丈夫です。
通常は、そうするのが一般的です。
投稿日:2025/06/25 09:54 ID:QA-0154468
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
「変形労働時間制の労働条件については、労使協定で詳細を決定するということでは認められないということでしょうか。」
ー 先の回答の通りになります。本件に限らず、労働条件について労使協定のみで定める事により運用される事は認められません。
投稿日:2025/06/25 11:09 ID:QA-0154485
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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