得意先への派遣?
得意先(製造業)会社より、急な増産で人手不足になるため社員2~3人で1ヶ月程度手伝いに来て欲しいとの依頼があります。(当社業務とは直接関係ない部署での業務です)
先方からは、一般的な派遣会社の派遣料程度の金額を支払うと言われております。
これは、労働者派遣法でいう「派遣」には当たらないのでしょうか。
これが「派遣」に当たる場合、うまく回避する方法はあるのでしょうか。
(素人考えですが、短期の出向で対応すれば良いかとも考えております)
投稿日:2005/07/22 19:47 ID:QA-0001356
- *****さん
- 長野県/精密機器(企業規模 301~500人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答

- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
得意先への派遣?
■「派遣元事業主が自ら雇用する労働者を、その雇用関係においたまま、他の使用者の指揮命令を受け、その使用者のために働かせる」という労働者派遣の定義から言えば、まさしく労働者派遣法でいう「派遣」です。そのままでは、特定労働者派遣事業を行うことになるため、厚生労働大臣に届出をし、これが受理されなければなりません。ご示唆の「出向」による対処は可能です。しかし、それが、出向名義の「派遣」=違法派遣にならないため、正しい理解と措置が必要です。
■出向というのは、「派遣」と異なり、法律上の特別な用語ではなく、会社ごとに色々な意味で使われています。厚労省の解釈では、「出向」とは出向元と出向先の両方で二重の労働関係が成立するものであるとされています。それに出向元と出向先の間に何らかの出向契約が前提になり、労働条件や業務内容が決まります。「出向先」が労働者を指揮命令して労働させる使用者であると同時に労働契約上の相手当事者として雇用関係が存在することになります。
■さらに、36協定、就業規則など、労働基準法の定める様々な規範や使用者の責任はすべて出向先の使用者が負担します。労働保険(労災保険、雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)なども、出向先の使用者が負担するのが原則で、出向契約にも明記する必要があります。出向先の使用者が、こうした法律上の責任を負担しないときには、この「出向」は、本来の出向ではなく、実態としては「派遣」と考えられます。つまり、偽装出向=違法派遣となります。
■これに対して、「派遣」は、派遣元との間にのみ「雇用関係」(労働契約関係)が存在し、派遣先との間には指揮命令を受けるだけの「使用関係」のみが生ずることになる、というのが労働省の解釈です。従って、上記の規範、責任、各種社会労働保険は、出向元の使用者が負担しなければなりません。(勿論、これらに見合う諸費用は、通常、出向元と出向先が交わす出向契約の中で出向対価の一部として回収することになるでしょう)
■以上の諸点に留意しつつ、妥当な方式を検討してください。
投稿日:2005/07/23 09:58 ID:QA-0001358
相談者より
投稿日:2005/07/23 09:58 ID:QA-0030537大変参考になった
プロフェッショナルからの回答

- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
得意先への派遣?(追記)
先刻の回答中、最後から2行目の「出向契約の中で出向対価の一部として」は「派遣契約の中で派遣対価の一部として」の誤りです。修正をお願いします。
投稿日:2005/07/23 10:02 ID:QA-0001359
相談者より
投稿日:2005/07/23 10:02 ID:QA-0030538大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。