株式会社ノバレーゼ:
お客様の喜びに自分の喜びを見出せる人材を育てたい
躍進企業は超“エンターテイナー”集団
株式会社ノバレーゼ 教育研修部長
永江 愛香さん
「スター研修」で目標を見出し、「余興研修」で殻を破る
“スター社員”とは?
役職者で、各エリア・各店舗を仕切っているマネジャーや料理長クラスの先輩です。入社7、8年目の彼らは弊社が急成長していく途上で、若くしてとても大きな役割と重い責任を背負いながら、それを見事に克服して現在のポジションをつかみました。その波乱万丈のサクセスストーリーを合宿中の新人たちに語りかけるのが「スター研修」です。私が立ち会っていて、すごいなあといつも思うのは、スター社員は決して自分の自慢話をしたりせず、どんな苦労も面白可笑しく笑い話にしてしまうこと。そこがまたスターらしいんです。耳を傾けている新入社員たちの顔つきが、みるみる変わっていくのがわかりますからね。どのコースをたどり、何を積み重ねれば、ああいう風になれるのか。私たち教育研修部のスタッフが熱心にキャリアビジョンを語るより、百聞は一見にしかずです。最高のロールモデルと直に接することのインパクトは計りしれません。
では、もうひとつの「余興研修」はどのように行われるのでしょう。
予定を決めず、23泊24日中のどこかで、ある日突然サプライズで仕掛けるのが「余興研修」の特徴です。くじ引きで三人一組のグループを作り、ほぼぶっつけ本番で、余興を行ってもらいます。テーマはもちろん、エンターテイナーとしてその場にいる全員を全力で楽しませること。尻込みする新人もいますが、好きとか嫌いとか、得意とか苦手とかは関係ない。とにかく目の前にいる人を笑顔にするためにがむしゃらに頑張りなさい、そう声を掛けます。すると、みんな面白くなるんですよ。その日に学んだ研修内容をイメージして歌や踊りにしたり、一発芸で表現したり。尻込みしていた人ほど、殻を破ってふっ切ると、キャラが立つんですね。そして一度殻を破った人は、その体験が自信となって、どんどん新しいことに挑戦しようとします。余興研修を機に、そうした変化が他の新人のライバル意識に火をつけて、集団全体の雰囲気が活性化されることも珍しくありません。
貴社の場合、“人”に関わるさまざまな施策や各種制度は、どのような流れで導入されることが多いのでしょうか。
創業期は主にトップの意向を反映していましたが、その後、次第に人事部が主導権を握るようになり、“普通の企業”らしくなっていきました。制度がある程度整ってからはスタッフにヒアリングして、現場の声をリサーチすることもよくあります。既存の仕組み以外でどんな制度があればいいか、どういう働き方がしたいのかなど、アンケートをとって、ニーズを検証していく中から多くの新しい制度が形になっていきました。
私自身は教育研修が専門ですから、研修の現場でいろいろなヒントを拾い上げるようにしています。フリー・ディスカッションの時間を十分に提供し、活発な話し合いの中から聞こえてくる参加者の“ホンネ”に耳をそばだてているのです。また、経営陣と全店舗のGM(ゼネラルマネジャー)が月に一度集まる営業戦略会議にも必ず出ています。教育研修部長は出る必要はないのですが、その会議の場にこそ、教育研修の質を高める貴重なヒントが潜んでいるのですから、出ないわけにはいきません。いま会社で何が起きているのか、マネジャーが悩むスタッフの問題とは何か、それに対して経営陣はどう考えているか、すべての情報を研修の内容や仕組みの見直しにリアルタイムで落とし込み、素早く軌道修正を図っていくのが私のやり方です。
ありがとうございました。永江さんが教育研修によって、人を創り、会社を創ろうとしていらっしゃるご苦労の一端がうかがえました。最後に今後の抱負をお聞かせください。
一人でも多くのお客様に幸福な結婚式を挙げていただきたい、そして私たちノバレーゼにぜひそのお手伝いをさせていただきたい――そのためにはさらなる多店舗展開を可能にする、ミドルマネジャーの確保こそが急務でしょう。現場スタッフが心おきなくお客様のために全力投球できるよう、環境整備に心を砕ける人材をどう育成していくか。それが私の次なる課題だと認識しています。
(取材は2012年12月14日、東京・中央区のノバレーゼ本社にて)