となりの人事部
第74回 コストコ ホールセール ジャパン株式会社

 正社員とパートタイムを同じ「時給制」の下で処遇
「社内公募制度」でキャリアアップを図り、管理職の早期育成を実現(後編)

コストコ ホールセール ジャパン株式会社 人事・総務 マーケティング 部長 中川 裕子さん
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大切なのは、「従業員に対する心遣いを実践する」という基本を忘れないこと

―― 今後、どのような方向で人事マネジメントを進めていこうとお考えですか。

先ほどもお話した通り、次年度以降は年間1~2倉庫店程度の出店に戻します。同時に、顧客満足度と商品力をもっと高めていくことも必要だと考えています。このような企業努力を惜しまずに続けていけば、売上高も上がっていきますし、各倉庫店の力が向上すれば、従業員数を増やし、管理職のポジションを増やすなど、いろいろなチャンスが生まれてきます。倉庫店数を増やさなければ、キャリアの道が増えないということではないのです。

とはいえ当面は、現在の25倉庫店を50倉庫店にするという目標があり、まだまだ成長ステージが続くと考えています。さらに日本の人口・経済規模を考えると、カナダなど他国の実績から、100倉庫店も十分可能だと考えています。実現できれば、会員様が倉庫店に出向く時間がかなり短縮され、利便性も高まります。また、他国のコストコで行っているeコマースなどが導入されたら、さらに成長ステージが続きます。このように、やれることはまだたくさんあると考えています。

成長プロセスを確信しているからこそ、従業員はコストコで安心して働くことができるのだと思います。それを本気で思わないで、どうして人の採用ができるでしょうか。人事のプロならば、そこまで深く経営の実態に踏み込み、事に当たるべきだと思います。何より、私自身がコストコを本当に良い会社だと思っていなければ、相手に伝わりません。また、それを伝えていくことが、私の一番大切な仕事だと思っています。

―― まさに経営にのっとった人事を実現しようとしているわけですね。最後に、他の企業の人事担当の方へのメッセージをお願いします。

私自身が心掛けているのは「基本に立ち返る」ということです。基本というのは、コストコの「倫理綱領」に定めた5原則です。そして、より良い会社にしていくためにはどうしたらいいのか、従業員にとって働きやすい会社とは何か、従業員が望むものは何かといったことを、常に考えていなければなりません。また、コストコはサービス業ですから、会員様にとってより良い会社(倉庫店)でなくてはいけません。この両方を達成することで、双方が幸せになれると思います。

そして、地に足を付けた経営を行っていくことです。従業員に対してきちんと労働の対価を支払い、さらにキャリア形成をしていけるようサポートしていくこと。そして、チャンスを与えることが大事だと思います。それが従業員本人にとってモチベーションを向上させることになり、ひいては会社の成長にもつながります。その結果、大切なお客さまである会員様に対してより良いサービスが提供され、経営も安定していくという好循環が生まれます。

従業員はすべて“縁”があって入社してきたのですから、できるだけ長く勤めてほしいと思っています。何をすれば従業員が“経験値”を積むことができるのか、また、より輝くことができるのか。人事として、そのような場や機会を提供することがとても大切です。そして、一度採用した人は、責任を持って成長させていきたい。キャリア形成を実現してもらうためにも、人事としてよりいっそう努力をしていかなくてはなりません。「従業員に対する心遣い」は、どの国に行っても普遍的なものだと信じています。

コストコ ホールセール ジャパン株式会社 山口恭子さん

(取材は2016年10月5日、神奈川・川崎市のコストコ ホールセール ジャパン本社にて)


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

となりの人事部のバックナンバー

株式会社クレディセゾン:
がんとともに生きていく時代 
社員が治療と仕事を両立するために人事ができることとは(前編)
国立がん研究センターの発表したデータによると、2012年時点でがん患者の約三人に一人が生産年齢(15〜64歳)で罹患(りかん)しており、働き盛り世代でがんにかか...
2017/08/10掲載
NTTコミュニケーションズ株式会社:
きっかけを与え、フォローし続ける。ベテラン社員の活性化に近道はない
一人で1000人と面談した人事マネジャーの挑戦(後編)
NTTコミュニケーションズでは、ベテラン社員がモチベーション高く活躍できる環境づくりに向けて、50代社員を対象とする面談と、キャリアデザイン研修を行っています(...
2017/07/27掲載
NTTコミュニケーションズ株式会社:
きっかけを与え、フォローし続ける。ベテラン社員の活性化に近道はない
一人で1000人と面談した人事マネジャーの挑戦(前編)
2013年の法改正で企業に65歳までの継続雇用が義務付けられたこともあり、近年、シニア社員が活躍できる環境をつくることが企業の重要課題となっています。シニア社員...
2017/07/20掲載

関連する記事

企業におけるキャリア開発支援の実態
企業の持続的な成長・発展には、中・長期的な経営方針・ビジョンに対応した人材を育成し、活力ある組織づくりを行うことが求められる。そのために必須なのが、従業員のキャ...
2016/12/05掲載人事・労務実態調査
コストコ ホールセール ジャパン株式会社:
正社員とパートタイムを同じ「時給制」の下で処遇
「社内公募制度」でキャリアアップを図り、管理職の早期育成を実現(前編)
「会員制倉庫店」という独自の戦略の下、会員数を飛躍的に伸ばし、全国に25倉庫店を有するまで急成長したコストコ日本法人。そんなコストコの成功を支えているのが、「時...
2016/11/21掲載となりの人事部
人事マネジメント「解体新書」第66回
「社内公募制度」「FA制度」で適材適所の人材管理を実現する(後編)
ビジネスや仕事のあり方が大きく変化・進展している現在、「社内公募制度」「FA(フリーエージェント)制度」が注目を集めている。 『後編』は、大手電機メーカーA社の...
2013/08/26掲載人事マネジメント解体新書
人事マネジメント「解体新書」第65回
「社内公募制度」「FA制度」で適材適所の人材管理を実現する(前編)
ビジネスや仕事のあり方が大きく変化・進展している現在、「社内公募制度」「FA(フリーエージェント)制度」が注目を集めている。 『前編』では、「社内公募制度」「F...
2013/08/19掲載人事マネジメント解体新書
課題解決ノウハウが満載!! 『日本の人事部』注目のセミナー特集
会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。会員ができること

記事アクセスランキング

注目コンテンツ


『日本の人事部』注目のセミナー特集

人事担当者必見の注目のセミナーをご紹介。貴社の人事課題の解決や、情報収集にお役立てください。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


人事システムが人材マネジメントの基盤を作る! <br />
~常陽銀行の「POSITIVE」導入に見る、人材力「可視化」の狙い

人事システムが人材マネジメントの基盤を作る!
~常陽銀行の「POSITIVE」導入に見る、人材力「可視化」の狙い

地方の企業は厳しい経営環境にあります。地域経済をけん引する地方銀行では...


「処遇」から「目標達成」へ<br />
~人事考課における「目標管理」の重要性とは?

「処遇」から「目標達成」へ
~人事考課における「目標管理」の重要性とは?

人は、周囲から評価されて「有用感」を持つことで、働く意欲が高まっていく...