「シン・人事の大研究」調査レポート【第5回】
「人事歴3年目」以降が人事パーソンの成長の曲がり角?
人事パーソンは何を学び、どんなキャリアを描いているのか。自身をどう評価し、どのように変わろうとしているのか――。立教大学 田中聡氏・中原淳氏と『日本の人事部』編集部による「シン・人事の大研究」の調査結果を基に、人事パーソンの実態を明らかにしていきます。
過去1年間に自身の成長を実感できている人事パーソンは約半数
人事パーソンは自身の成長について、どのように感じているのでしょうか。「過去1年間を振りかえったとき、あなたは仕事を通じた成長を実感しましたか」と聞いたところ、「実感した」と回答した割合は48.6 %と半数でした。
では、人事の仕事を通じて、どんなところが成長できているのでしょうか。「これまでの人事にまつわる仕事を通じて、あなたが得たもの・学んだものは何ですか」と聞いたところ、結果は上位から「自社の経営戦略や事業課題について理解が深まった」(68.3%)、「経営層の視点に立って考えるようになった」(64.9%)、「社内の人脈ができた」(64.3%)という結果になりました。人事労務に関することよりも、経営や事業に関連した項目が上位となっています。
人事歴3年目以降に訪れる、成長の曲がり角
では、どんな層に成長を実感した人が多いのでしょうか。人事歴別に直近1年間で成長を実感した人の割合をみると、人事歴「1年以上3年未満」(54.3%)をピークに下降傾向へと転じて、「10年以上15年未満」(42.5%)が最も低くなりました。人事歴3年目以降が成長の曲がり角といえるようです。
次に別角度から検証してみます。「あなたの現在の仕事について、「一人前」と言われるようになるまでに必要な平均的な経験年数について教えてください」と聞いたところ、「3年程度」(34.1%)が最も多く、3分の2の人事パーソンが「1年~3年程度」と回答しています。
そこでフィードバックを受ける機会について聞いたところ、経験年数とともに機会は減っていました。「人事歴3年以上5年未満」では、1on1の実施率は約半数でした。
経験年数とともに、自ら上司にフィードバックを求める機会も減っています。3年目くらいになると、周囲から一人前とみられて、フィードバックを得る機会が減り、成長実感を得にくくなっているようです。
第6回のレポートでは、成長実感が持てていないという人事パーソンが、どのようにして学んでいるかを報告します。次回もお楽しみに!
実施時期 | 2022年2月1日(火)~ 2月28日(月) |
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調査対象 | 企業で人事関連の仕事(人事、人材開発、組織開発など)に従事している方 ※「人事関連の仕事」とは、ご自身が所属する組織の「人と組織にまつわる業務全般」を指します。所属部署が本社人事部であるか事業部であるかは問いません。採用支援や人事コンサルティングなど、人事担当者に対してサービスを提供する企業に従事されている方は該当しません。 |
調査方法 | Webでのアンケート |
回答者数 | 1,514名 |
全国の人事パーソンを対象に行った大規模調査の結果から、人事パーソンの実状を明らかにしていきます。