【ヨミ】スイヘイテキヒョウカ 水平的評価

上司が部下に評価を下す「垂直的評価」に対して、同等の組織階層に属する従業員相互が評価者、被評価者となって評価しあうことを「水平的評価」と呼びます。この手法を考課方式として単独で用いることは少なく、導入している企業などではあくまでも垂直的評価を補完するために、一人の被評価者を直属の上司だけでなく複数の視点から評価する多面評価(360度評価)の一環として実施しています。
(2011/11/28掲載)

水平的評価のケーススタディ

“同僚からのフィードバック”は諸刃の剣
能力開発には有効でも実績評価では要注意

成果主義の浸透によって、評価は、それを下す側の会社にとっても、下される側の社員にとっても格段に“重み”を増しました。組織における評価手法としては、上司が部下を見る形の垂直的評価が主流ですが、その補完として水平的評価や360度評価が使われるのは、特定の立場の評価者から一方的に評価を下すだけでは偏りが避けられないからで、客観性や妥当性を担保して評価精度を高めるのが最大のねらいです。

特に近年は多くの企業で組織のフラット化が進み、プレイングマネジャーが増加。上司一人がマネジメントしなければならない部下の人数も増えて、個々の仕事に細かく目を配ることが難しくなりつつあります。そこで上司が把握しきれていない業務上のパフォーマンスや組織への貢献などを評価に反映させるために、“上”からだけでなく、評価対象者の同僚や部下からのフィードバックも盛り込む手法、すなわち水平的評価を含めた多面評価が用いられるようになったのです。

そもそも多面的なフィードバックは、評価よりも人材育成を目的に使われてきました。周囲の複数の視点を組み合わせることで、上司だけでは気づきにくい被評価者の潜在的な強みや適性などを把握し、能力開発に活かすツールとして効果を認められてきたのです。それが現在では上述の必要性から人事考課に利用され、実績面の評価にも使われるようになりました。

しかし能力開発で使う分には有効だった多面評価を人事考課に導入する場合、適切な制度設計や運用を欠くと、それは組織のアキレス腱にもなりかねません。とりわけ水平的評価で「同僚からのフィードバック」が互いの昇給・昇進を左右しかねないような状況下では、評価者も、被評価者も一種の疑心暗鬼に陥り、評価制度そのものへの不満や不信が高まりやすいのです。公正に評価するどころか、談合や裏取引、悪意をもって同僚の足を引っ張るなどの不正行為が発生し、かえって職場のモラールや人間関係を阻害する危険性さえあるといわれます。

社員同士が客観的に評価しあうことの困難をどう克服すればいいのでしょうか。評価は本来、個人の報酬に差をつけるためではなく、組織全体を強くするために行うものです。水平的評価や多面評価から最大の成果を得るには、そうした評価の目的を社員に明示し、当事者として共有させることがまず大前提。その上で組織文化に即した明確な評価基準を設定したり、不正対策を講じたり、あるいは評価のためのトレーニングを広く徹底したりするなど、導入や運用に際しても十分な配慮が求められます。

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