今求められる「福利厚生」施策とは
現代の日本企業には新しい「福利厚生」施策が求められている。最近ではその実現をサポートするアウトソーシング企業も続々と登場してきた。そうした施策やアウトソーシング企業を紹介する前に、ここではまず、そもそも「福利厚生」とは何なのか、考えてみたい。
従業員やその家族に提供される企業からのサポート
福利厚生という言葉を辞書で引いてみると、以下のように解説されている。 「企業が、労働力の確保・定着、勤労意欲・能率の向上などの効果を期待して、従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度。主として従業員の生活の向上を支援する目的で実施されるもので、法律で義務付けられた法定福利(社会保険料の事業主負担など)と、企業が任意で実施する法定外福利(交通費・社宅・健康診断・育児支援・保養施設など)がある」。
(大辞泉/ JapanKnowledgeより)
わかりやすく言えば、福利厚生とは、法人や団体が従業員個人やその家族に対して、生活面や精神面などで必要とされる何らかのサポートを行うことといえる。 90年代のバブル期までは、企業が自前で社宅や寮、保養所を持ち、自社で制度運営を行う、終身雇用制度とも連携した福利厚生が中心だった。しかし、近年は終身雇用が前提とされなくなったことで、福利厚生の予算も縮小し、結果、福利厚生を外注化するといった方向転換がみられるようになっている。
現状での主な目的は「人材確保」と「人材活用」
現在の福利厚生施策の目的は、大きく二つ上げられる。
一つ目の目的は「人材確保」だ。新卒採用の際、学生からの問い合わせが多い福利厚生で、他社よりも魅力のある制度があれば一つの武器にできる。もちろん、中途採用においても、手厚い福利厚生制度が会社にあれば、それが働きやすさにつながり、賃金への上乗せとも捉えられるため、大きなメリットとなる。
二つ目の目的は「人材活用」だ。今の時代、人が活力をもって働くためには、「働きがい」「報酬」「ワークライフバランス(プライベートと仕事の調和)」の3点についての欲求が満たされることが条件となる。これらがそろった環境を提供するには、有益な福利厚生施策を行わなくてはならない。働くことへの支援がすべて報酬で片付くものではないだけに、福利厚生には、仕事に向かっていけるだけの生活も含めた環境づくりの役割が求められている。
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