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社員の多様なニーズに対応できる!
カフェテリアプランの傾向と選び方
――導入のメリット・デメリット、選び方のポイントをわかりやすく解説

従業員の働く意欲やエンゲージメントを向上させるうえで、福利厚生の充実は企業が取り組むべき課題の一つです。とくに注目されているのは、従業員自身がメニューを選択できるカフェテリアプラン。価値観や働き方、ライフスタイルが多様化している今、従業員満足度を高めるための取り組みとして検討する企業が増えています。

そこで『日本の人事部』では、カフェテリアプランのサービス概要を整理。導入するメリット・デメリットや、サービスの比較、選び方のポイントについて紹介します。

カフェテリアプランとは

企業において、カフェテリアプランはどのように活用されているのでしょうか。

カフェテリアプランの概要と内容例

カフェテリアプランとは、従業員自身が福利厚生のメニューを選べる仕組みのことです。企業は従業員一人ひとりに補助金額に相当するポイントを付与し、従業員はポイントを使って、あらかじめ用意されたメニューの中から希望する福利厚生を利用できます。

近年では、メニューの提案からポイント管理までを代行サービスにアウトソーシングするケースが増えており、企業は手間をかけずに運用することが可能になっています。

カフェテリアプランで利用できるメニューは、以下のように多種多様です。

  • 旅行・レジャー(宿泊、レジャー施設の利用補助など)
  • 健康増進(スポーツクラブ、人間ドックなど)
  • 自己啓発・キャリア支援(資格取得、各種スクール補助など)
  • 育児(育児サービスや用品の補助など)
  • 介護(介護サービスや用品の補助など)
  • 住宅(家賃、住宅ローンの補助など)
  • 財形・保険(財形や保険の補助など)

福利厚生にカフェテリアプランが求められる背景

カフェテリアプランは、もともと米国で生まれた制度です。日本の企業で初めて導入されたのは1995年で、ベネッセコーポレーションが先陣を切りました。従業員の自立と豊かさを目指した取り組みが話題となり、大企業を中心に多くの企業が導入しました。

カフェテリアプランが利用される背景には、働き方改革による多様な働き方の推進や、ワーク・ライフ・バランスが重視されていることがあります。従業員の多様な価値観やライフスタイルを尊重する取り組みは、結果として、生産性や人材定着率、エンゲージメントの向上といった効果を企業にもたらすでしょう。企業の規模を問わず、福利厚生の充実は重要な課題といえます。

現在、多くの企業は外部のサービスを利用して、カフェテリアプランを導入しています。代行サービスを利用することで、従来なら自社で完結しなくてはならなかった福利厚生制度を手軽に運用できるようになっています。

「福利厚生の充実には莫大な費用と手間がかかる」というデメリットが払拭され、中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業でも利用しやすい状況となっています。従業員の幅広いニーズに対応するための方法として、多くの企業がカフェテリアプランを利用しています。

カフェテリアプランの導入状況と費用感

日本経済団体連合会が行った「2019 年度福利厚生費調査結果の概要」によれば、企業が負担した福利厚生費(法定福利費と法定外福利費の合計)は、従業員一人あたり月額平均で 108,517円。前年度の113,556円より、微減となりました。

内訳を見ると、法定福利費が全体の77.8%、法定外福利費が22.2%で、前年度とほぼ同じです。

カフェテリアプランの導入企業は17.1%(回答企業数608社)で、過去もっとも高い数値となっています。規模別に見ると、1000人以上の企業が約87.5%と依然として大企業での導入が大きな割合を占めています。同調査では、従業員規模が大きいほどスケールメリットを生かしやすいことから、大企業での導入が顕著という考察を示しています。

また、カフェテリアプランの費用分布を見ると、従業員一人1ヵ月あたり5,000円以上が24社と、もっとも多くなっています。費用の内訳を見ていくと、ライフサポート関連のメニューが全体の54.1%を占め、そのなかで「財形」「保険」「食事手当・休職補助」の割合が高くなっています。それ以外のメニューでは文化・体育・レクリエーション関連が28.0%、住宅関連が11.8%と続きます。

参照:日本経済団体連合会|第64回 福利厚生費調査結果報告

カフェテリアプラン導入のメリット

カフェテリアプランを導入するメリットを具体的に見ていきます。

従業員の多様なニーズに対応できる

多様な働き方やダイバーシティが進む中で、企業には、育児と仕事を両立する人や外国人など、多様なライフスタイルを持つ人々が存在するようになりました。カフェテリアプランでは、従業員自身が自由にメニューを選択できるため、多様なニーズに応えることができます。

従業員の公平感を醸成しやすい

従来の福利厚生は、自分のライフステージや勤務地に適切なものがなく、メリットを感じられないという声が上がることもありました。しかしカフェテリアプランでは、従業員一人ひとりに公平にポイントが分配され、従業員は好きなメニューを選択できるため、公平感を醸成しやすいというメリットがあります。

企業のイメージアップに貢献

多彩なメニューを取りそろえたカフェテリアプランを導入することで、福利厚生の充実度を社内外にアピールできます。企業のイメージアップにつながり、人材の定着率の向上や採用への効果も期待できるでしょう。

福利厚生費を管理しやすい

カフェテリアプランでは、事前に従業員一人ひとりに付与するポイントを定めて運用します。そのため、福利厚生にかける総額を管理しやすくなります。

アウトソーシングによる業務効率化が可能

カフェテリアプランの導入に際しては、外部のサービスを利用することができます。サービス提供会社では数多くのメニューを用意し、それぞれの企業の要望や予算に合わせて選べるパッケージを用意しています。導入から運用までをサポートしてくれるので、自社の担当者の手間を削減できます。

カフェテリアプランのデメリット

カフェテリアプランはデメリットもあるので、注意が必要です。

運用管理の手間が発生する

カフェテリアプランは、自社で運用する場合とアウトソーシングとで管理の手間が変わります。自社で運用する場合、人事データの管理から申請内容の管理、ポイント管理など、多くの工程を自社で対応する必要があります。

運用負荷を軽減したい場合は、アウトソーシングが有力な選択肢となります。代行サービスではポイントの運用管理はもちろん、従業員からの質問にも対応するなど、さまざまなサポートを提供して運用管理の手間を軽減してくれます。

ポイントの期限切れに注意が必要

企業側の運用効率から、使わなかったポイントは次年度に繰り越しできない単年度精算を採用する企業が多くなっています。そのため、ポイントが期限切れとなり、従業員から不満があがる可能性が出てきます。事前に周知するなど、トラブルが起きないための運用が必要です。

課税・非課税のルールを守る必要がある

カフェテリアプランで利用できるメニューには、課税・非課税のものが混在します。そのため、運用にあたっては課税・非課税のルールを把握しておくことが重要です。

たとえば、金券やキャッシュバックなど換金性のあるものは課税対象となる可能性があります。また、国税庁では、付与ポイントが役職や報酬額などによって均等に配布されない場合は、カフェテリアプランのすべてについて課税対象となる旨を公表しています。

参照:国税庁|カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合

カフェテリアプランを導入する際のサービス比較ポイント

カフェテリアプランの導入から運用までをサポートする代行サービスの提供形態と、選び方のポイントを紹介します。

カフェテリアプランの提供形態

カフェテリアプランを提供する代行会社は、大きく以下の三つの提供形態に分類できます。

提供形態 特徴
オリジナル型 ・自社独自のメニューやパッケージを提供
ハイブリッド型 ・自社のサービスと他社が提供する福利厚生サービスとを組み合わせて提供
OEM型 ・代理店としてサービスを提供

従業員が利用するうえでは、提供形態による大きな差はありません。自社が求めるサービスを受けられるか否かを重点的に確認するとよいでしょう。

選び方のポイント

カフェテリアプランの代行サービスを選ぶときのポイントは、以下の通りです。

自社が求めるサポートを受けられるか

カフェテリアプランを導入するには、現状分析と課題の洗い出しからスタートし、提供するメニューやルール設定、運用・管理の体制作りを計画的に進める必要があります。代行サービスでは、コンサルティングから運用までをワンストップで支援するメニューも用意されています。

また、従業員向け説明会まで対応している場合もあれば、外国人労働者向けに多言語対応をするサービスもあるなど、サポート内容は多種多様です。自社がどういったサポートを受けたいのかを明確にしたうえで、対応する代行サービスを選ぶことが重要です。

メニュー内容が自社に合っているか

代行会社によって、提供されているメニューは異なります。まずは、どのようなジャンルが充実しているのかをチェックすることが重要です。

とくに注意したいのは、自社の従業員のニーズとマッチするかどうか、という点です。メニューの利用率が低くなると満足度が下がることも想定されるため、事前に従業員のニーズ調査を実施するなど、慎重に検討する必要があります。

料金体系は自社に適しているか

カフェテリアプランの代行サービスの料金体系は、入会金と月会費で構成されるケースが多く、加入人数によって費用に幅を設けている形態が主流です。また、プラン内容によって段階的に一人あたりの月会費が変わる仕組みがほとんどです。

現在は、中小企業やベンチャーなど、少人数規模でも導入しやすい手頃なプランも数多く提供されています。

それでは、実際にどのようなサービスがあるのか、紹介していきます。

株式会社イーウェルの「WELBOX」は、全国各地の施設やサービスを利用することができます。20代から60代までのライフステージに応じたメニューを用意し、冊子やWeb、メールマガジンなどを通じて、従業員とその家族に情報を伝えています。

株式会社JTBベネフィットの「えらべる倶楽部」は、旅やエンターテインメント、自己啓発、育児・介護、健康などのメニューを用意したサービスです。導入を検討する企業ごとの要望に合わせたサービス設計にも対応しています。

株式会社ベネフィット・ワンの「ベネフィット・ステーション」は、福利厚生の充実と従業員の健康支援を実現するサービスです。内定者やリーダー向けなどのeラーニングコンテンツも備え、従業員のスキルアップも支援します。

株式会社リロクラブの「福利厚生倶楽部」は、全国を50のエリアに分けて地域密着型のサービス情報を会員専用サイトで紹介。企業の福利厚生制度や従業員の余暇・生活を支援するメニューを用意しています。

カフェテリアプランを提供する全国のソリューション企業一覧

オリジナル型

ハイブリッド型

カフェテリアプランは社会の変化に対応できる福利厚生

もともと福利厚生には、低い賃金水準を補う社会保障としての役割が求められてきました。しかし現在は、人材の流動化や雇用形態の多様化、従業員エンゲージメントの向上など、さまざまな課題をもとに考えることが求められています。

カフェテリアプランは、変化の激しい社会環境において従業員の生活の質を高め、ワーク・ライフ・バランスを実現するうえで、有効な施策といえるでしょう。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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