転職と人脈
マネジャーが採用権限を持つ外資系企業などに見られる 転職した元上司に引っ張られての「転職」
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自分のポジションがなくなりそう
「今回もその上司の方と一緒に転職なさるという選択肢は、お考えにならなかったのでしょうか」
私はAさんの気分を害さないようにさらっと質問してみた。
「理由は二つあるんです。一つは上司の新しい転職先が大学の教員だったこと。年齢的にも私とはかなり離れていまして、そろそろ落ち着きたいということだったのかもしれません。さすがに大学にまでついていくのは難しいということです。もう一つは、やはり自分のキャリアには自分で責任を持たないといけない、と考えたこと。今まで非常に内容の濃い経験をさせてもらったんですが、結果的には上司のアシスタントとしての仕事に終始していたのも事実です。このあたりで自分のキャリアをもっとしっかりつくっていきたい、というのが今回の転職の大きな動機です。ですから、新しい職場ではできるだけ長く勤務したいと考えています」
Aさんの自己分析はよく出来ていた。ただ、採用企業の立場になると気になるところもある。
「いちばんいいのは転職せずに今の会社でキャリアを積まれることではないかとも思えるのですが、そのあたりはいかがですか?」
キャリアアップのためなら、またすぐに転職してしまうのではないか。これはどこの企業でも気にする部分だろう。Aさんも少し困ったような表情を見せた。
「実は新しい上司がすでに着任しているのですが、外資系企業での経歴が長い方なんです。はっきりとは言いませんが、どうも私のポジションを、自分のやりやすい新しいスタッフに入れ替えたいと思っているようなんです」

現職なので緊急に転職しなければいけないわけではないが、将来的には今の会社に自分のポジションはなさそうだという。つまり、これまでAさんの転職を後押ししてきた外資ならではの風土が、今回は逆にAさんを職場にいづらくしているのだ。
外資系企業でも日本法人の規模が大きい会社は、社風もまた日本企業化しているところが多い。しかし、Aさんが経験してきたような比較的小規模な外資の場合、採用権限のある上司が自分のやりやすい部下を集めるといった傾向があるのだろう。
「ですから今回は外資に限らず、日本企業も含めてご紹介いただきたいと思っています」
日本企業の場合、Aさんほどの転職歴があるとそれだけで書類選考を通過するのが厳しくなる。「人脈を生かしてキャリアアップしてきた」といっても、当事者が考えているほど評価されないのが転職市場の現実だ。とはいえ、転職希望者に最初からそんなことを言ってやる気を削ぐ意味もない。
「では、まず職務経歴書のブラッシュアップを行いましょう。これまでは人脈による推薦だったわけですが、今後は書類だけでAさんの実力を相手企業に伝えていく必要がありますからね」
Aさんと私の打ち合わせは実務的な段階にすすんでいった。
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