就活男子も「育休」重視
アイデム人と仕事研究所 研究員 古橋 孝美
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「育休取得」はスタンダードになるか
また、学生に「育児休業」「時短勤務」「残業の免除」など、育児のための制度について、将来的な利用意向も聞いています。女子学生では、それぞれに対し約9割が「利用したい」と回答しましたが、男子学生でも「育児休業」49.5%、「時短勤務」49.8%、「残業の免除」56.1%が、「利用したい」と回答していました(「2017年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査 2016年6月1日状況」)。
また、志望企業を選定する際に、「育児・介護支援」の状況を「重視する」と回答した男子学生は、30.3%に上りました。結果には、女性への「育児・介護支援」の状況から、企業体質やその姿勢を測ろうとしているのか、それとも男性の育児制度利用可否を見ているのか、様々な視点が含まれると思いますが、男子学生の3分の1は、企業選びの時点からすでにこのような意識を持って動いているのです(「2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査 2017年2月1日状況」)。
学生の意識を受け止めて
様々な労働問題が身近に噴出している今日では、自身の働き方、というより“企業の働かせ方”に対し、学生の関心は高くなっています。就職活動においても、「給与」や「仕事内容」を差し置いて「働きやすさ」は働く上で最重要項目になっており(「働きやすさを求めるのは、辞めたくないから?」)、それは男子学生も例外ではありません。
“今”の学生が持っている価値観は、その代だけではなく、その次の世代も、またその次の世代にも引き継がれ、ゆくゆくはそれが“普通の”スタンダードになっていくと思われます。これから新入社員としてやってくる彼らの、少なくはない層が将来のイクメン予備軍であることは間違いありません。これからは、今の学生の価値観に対し「最近の学生は……」と思うよりも、その価値観を受け止めて、今後の採用戦略や入社後の雇用管理、ひいては企業風土の変革に活かしていく必要があるのではないでしょうか。
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文/古橋 孝美(ふるはし たかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。求人広告の営業職として、人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動。「パートタイマー白書」、新卒採用・就職活動に関する調査等のアンケート調査を担当。雇用の現状や今後の課題について調査を進めている。2015年出産に伴い休職、2016年復職。
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