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労働関係・社会保険の改正項目を一元整理

社会保険労務士

安部敏志

6.企業実務上のポイント

令和4年4月1日から公的年金の受給開始時期の上限年齢が延長されることに伴い、高年齢労働者は働き続けるか退職するか悩むことになります。そのため、企業としては、評価の高い高年齢労働者に働き続けてもらうための人事施策として、職人的な専門職、若手育成を行う教育職等の異なるコースを設けた柔軟な等級制度を検討するのも一案です。

また、公的年金給付に加えた「老後の所得確保」という企業年金・個人年金の本来の役割を果たすため、今回の改正では加入条件の緩和等がなされており、労働者の離職防止の観点からも、人事制度・福利厚生制度の一環として、退職金と同様に、企業年金のメリット・デメリットを比較検討することが必要です。

ただし、その際に注意しておきたいのが、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律、中小企業は令和3年4月1日から適用)と同法に基づく「同一労働同一賃金ガイドライン」との関係です。企業年金の加入者の資格等は特定の者に不当に差別的なものにならないことが法令により求められていますが、その詳細は法令解釈通知等において、労使合意を尊重して退職金の適用範囲と合わせた取扱いが認められています。

多くの会社では、退職金の適用範囲が正社員に限定されており、正社員と非正規雇用労働者の均等・均衡待遇が求められる中で、現状では退職金の取扱いが明確になっていない状況です。そのため、企業年金を導入するとしても、今回の法改正の施行時期を見据えるというよりは、むしろ均等・均衡待遇の観点から問題が生じないか、退職金の適用範囲の整理と並行した形で、企業年金の適用範囲から検討すべきでしょう。

『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報を基に解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2020年6月号の記事「労働関係・社会保険の改正項目を一元整理」を掲載します。『ビジネスガイド』の詳細は、日本法令ホームページへ。

【執筆者略歴】
●安部敏志(あべさとし)
あべ社労士事務所 代表
大学卒業後、国家公務員I種職員として厚生労働省に入省。労働基準法や労働安全衛生法を所管する労働基準局、在シンガポール日本国大使館での外交官勤務を経て、長野労働局監督課長を最後に退職。法改正や政策の立案、企業への指導経験を武器に、現在は福岡県を拠点に中小企業の人事労務を担当する役員や管理職の育成に従事。


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