「女性管理職増加」「多様性の達成」は通過点 マタハラにいち早く取り組んだプルデンシャル生命に聞く“多様性のその先”
プルデンシャル生命保険株式会社 多様化推進チーム
玉井史隆さん 出水直子さん
プルデンシャル生命保険株式会社は、2008年頃には内勤社員の管理職の3割を女性が占めるなど、女性活躍推進に関して先進的な企業として知られます。現在は数字からは見えない、真の女性活躍推進に注力。マタハラ問題にいち早く取り組むなど、先進的な取り組みを続けています。一連の活動を通じて、「着実に組織が強くなっている」というプルデンシャル生命 多様化推進チームの玉井さん、出水さんに、同社の取り組みについてうかがいました。
(聞き手:株式会社natural rights代表取締役 小酒部さやか)
- 玉井史隆さん
- プルデンシャル生命保険株式会社 多様化推進チーム チームリーダー
2007年入社。内部統制チーム、監査チームを経て、2016年より現職。
- 出水直子さん
- プルデンシャル生命保険株式会社 多様化推進チーム マネージャー
2008年入社。営業人事チームを経て、2015年より現職。
真の“女性活躍”を推進するためのマタハラ防止対策
今年(2017年)1月にマタハラ防止法が施行されたことで、ようやく対応を考え始めた企業も少なくありません。しかし貴社では、かなり早い時点からマタハラ防止に取り組まれていますね。今年6月には、弊社のマタハラ・パタハラ防止研修も本社の管理職研修として取り入れてくださいました。まずはマタハラ防止に取り組むようになった背景から、お聞かせいただけますか。
玉井:当社では2008年に多様化推進チームを設置し、戦略の一つとしてダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいます。多様性には性別・年齢・経験・思考などさまざまな側面がありますが、“女性活躍”は当初から重点課題の一つとして取り組んできました。
当社は内勤社員における管理職の約3割が女性ということもあり、一見するととても女性活躍が進んでいるようですが、子どものいる女性管理職が少ない、管理職になったあとの役員までのパイプラインが細い、といった課題がありました。真の“女性活躍”を推進するためには、ママ社員も安心して活躍できる環境の整備が必要です。そのための取り組みの一つがマハタラ防止でした。
マタハラ防止に関して、どのように取り組んでこられたのでしょうか。
玉井:まず2016年に、コンプライアンスプログラムの一つとして、具体的に起こりうるケースをドラマ仕立てにした研修ビデオを制作しました。そして2017年には、本社の管理職向けにマタハラ防止研修を実施。ロープレを交えた実践的な研修を、小酒部さんに解説していただきながら実施しました。
研修では女性に対するマタハラだけではなく、男性に対するパタハラも扱ったところが先進的だと感じました。参加者からはどのような反応がありましたか。
玉井:価値観の押し付けや行き過ぎた配慮など、管理職としては悪気がなくても、何気ない一言がママ社員の可能性ややる気に大きな影響を与えることがわかった、という声がありました。また、パパ社員に対するパタハラの事例も取り上げたことで、男性の育児に対する価値観の変化を理解できた、という声もありました。
マタハラ防止以外にも、ママ・パパ社員が活躍できるために導入した人事制度はありますか。
玉井:はい。一例をあげると、在宅勤務制度の拡充です。それまでは育児や介護などの事由がある人のみを対象にしていた在宅勤務を、生産性が高まる仕事や環境であれば誰にでも認めることにし、対象範囲を拡大しました。またフレックス勤務についても、担当役員が認めればどのチームでも利用できるよう、範囲を拡大しました。ママ・パパといった当事者だけではなく、全社員がより生産性を高めるための手段として、これらの制度が定着してきたと思います。