派遣社員の正社員登用
派遣開始後3年を経過した派遣社員の中から優秀な方数名を正社員に登用しようと考えています。職種としては専門26業務に該当するものです。派遣元会社は派遣開始後3年が経過している者について当社の正社員に登用することに同意してくれています。移籍料金等も不要です。そこでご相談なのですが、
1.正社員登用に当たって、なぜその人が選ばれたのかを明確にする方法は?
2.選ばれなかった人達に納得してもらう方法は?
3.選ばれなかった人達からの訴訟リスクはありませんか?
4.その他注意すべき点があればお教え下さい。
投稿日:2006/09/30 11:44 ID:QA-0006191
- *****さん
- 大阪府/住宅・インテリア(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の正社員登用・選別基準
■人事担当責任者にとって、正社員登用に限らず、昇進、降格、昇給、減給、配置転換、更に、整理解雇時おける対象者の選定基準など、社員の納得を得ることの難しい局面に直面する場合が数多くあります。これら個々の事象は、すべて根本で繋がっているものです。
■その都度の措置、努力だけで、社員の納得度を高めることは困難です。殊に悪い結果を受け入れなければならない社員にとっては、不可能な場合も多いものです。普段から、社員の求める要件を整理し、人事制度に取り込み、且つ運営しておかなければなりません。社員が知りたがるのは次の諸点です。
①何によって評価されるのか?
②評価結果はどのように処遇に反映されるのか?
③反映手順は公正か?
④ルール通り処遇されているのか?
⑤納得できる説明は受けられるのか?
■そのための人事・考課制度は、「合理性」「体系性」「透明性」「公開性」などをキーワードとして構築され、運用されていなければなりません。付け刃では、対応は難しいのです。ご相談に関しても、同じことが当てはまります。派遣開始後3年間という十分な時間が経過していますが、その間、どのように<優秀さ>を立証できる評価を実施されてきたのでしょうか。4点のご質問は同じ問題を違った角度から見たもので、いずれも、「合理性」「体系性」「透明性」「公開性」など基準にした考課システムから導き出された、「妥当な登用選抜」なしに対応することは不可欠です。一度、この観点からチェックされることをお勧めします。
投稿日:2006/09/30 16:20 ID:QA-0006194
相談者より
ご回答ありがとうございました。
派遣社員を正規社員登用するのは久しぶりのことで、「合理性」「体系性」「透明性」「公開性」等の要素を取り入れたルールはこれから策定することになります。この策定に当たっての留意点をご指導頂きたいというのが今回の質問の趣旨ですので、具体的に「妥当な登用選抜」のあり方を教えて頂きたいと思います。
投稿日:2006/10/01 00:14 ID:QA-0032567参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の正社員登用・選別基準
■考課プロセスとその結果について、社員の高い納得性を確保することは、考課システムの欠くことのできない中枢部分です。数名の社員登用の場合でも、数百、数千名の社員の場合でも変りません。「合理性」「体系性」「透明性」「公開性」等をキーワードとした考課ルールの策定には、少なくとも次のプロセスを踏むことが必要です。
① 職種ごとのプロとしてのスキル要件の洗い出し
② 部署ごとの経営計画との整合性のチェック
③ スキルごとのウエイトの付与
④ 評価基準書の策定
⑤ 総合評価点と具体的な±インセテンテイブ
⑥ フィードバック
⑦ 関連規定の整備と周知
⑧ 評定者訓練の実施
■ご要請の件に戻りますが、これだけのことを、これから策定し、適用し、その結果を活用して、納得してもらうといったことは、今回の正社員登用には、とても、時間的に間に合う話ではありません。最初に申し上げましたとおり、この考課システムは、正社員登用がキッカケであっても、本来は、会社の人的資源全体の評価システムの問題なのです。従って、今回は間に合わなくても、一度、現行システムをレビューする契機にされては如何でしょう。
■なお、「3年を経過した対象派遣社員」は、長期に亘る派遣という事実はありますが、いわゆる「紹介予定派遣」ではなく、また、長期実績だけで正社員化する義務もないものと思います。訴訟リスクは、訴因としては「正社員化とされなかった事実」か、「正社員化の登用基準が曖昧、ないし差別的」かのいずれかが考えられますが、「紹介予定派遣」ではない点からみて、訴訟リスクは殆んどゼロに近いと判断いたします。回答が今一つスッキリしませんが、ご質問自体が、快刀乱麻のごとき回答にはそぐわず、ご容赦下さい。
投稿日:2006/10/01 15:59 ID:QA-0006196
相談者より
ご回答ありがとうございました。
中長期的な人事制度策定という観点では大変勉強になりました。ただ、2箇月後に正社員登用したいと考えておりますので、今回はとても間に合いません。
1.各上司からの推薦
2.正社員採用試験と同レベルの筆記試験
3.人事担当役員・人事部長による面接試験
程度で正社員登用したいので、この短いステップの中で、最低限必要な「合理性」「体系性」「透明性」「公開性」等を織り込む必要があると考えています。『これだけは!』というポイントをご教示頂ければ幸いです。
投稿日:2006/10/01 21:27 ID:QA-0032568大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の正社員登用・選別基準
■3年間の実績者の途中採用ですから、当然、その道のプロとしの即戦力を期待されているのでしょうね。考えておられる3ステップは誰でも思いつく<外的要件>ですので特に問題があるとは思えません。何を基準に推薦するのか、試験では何を評価しようとするのかという<中身の要件>を明らかにしておきたいところです。<中身の要件>とは「プロの要件」をどれだけ満たしているかということです。
■「住宅.インテリア」の業界なら、主な職種として、営業・技術積算・技術設計・建築・メンテ・事務などがあると思いますが、兎に角、正社員登用予定者が属する職種の「プロ要件」を整理し、一般的な「情意要件」を加えた、評価チェック表を、関係者の<共通認識表>として使用されれば良いと思います。評価の視点自体が各人の主観にお任せでは、評価結果の信頼度は著しく低下してしまいます。
■技術設計職の事例をあげておきます。評価の視点としての参考にして下さい。あと1カ月あるわけですから、視点ごとにウエイトを与えるなどを含めて、一工夫、二工夫してみて下さい。
① 設計応用力(商品企画 + 設計管理 + 迅速性)
② 商品知識(プランニング + 価格理解 + 仕様内容)
③ 提案力(性能性 + 機能性 + 説得力)
④ 技術力(法規制 + 工法理解 + 構造理解)
⑤ 基本適性(積極性 + 協調性 + 責任性)に、将来、高いポジションが考えられるならば、
⑥ マネージメント力(統率力 + 変革改革力 + 将来布石)
投稿日:2006/10/02 14:22 ID:QA-0006199
相談者より
ご回答ありがとうございました。
社内では、派遣社員の方のスキルや潜在能力の基準に加えて、担当している業務が弊社にとっての「コア業務」か「周辺業務」かを正社員登用の基準にすべきという意見があります。この意見に従うと、いくらスキルや能力が高くても、担当している業務が「周辺業務」であると正社員登用の対象にならないということになるのですが、こうした基準を取り入れることに問題はないでしょうか?
投稿日:2006/10/03 20:54 ID:QA-0032569参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の正社員登用・選別基準
■常識的に言えば、派遣社員としての実績の延長線上にある<正社員登用>は(少なくとも登用時においては)派遣社員が担当していた業務を引続き担当させることが前提になります。だからこそ、派遣社員としてのスキルや能力の評価が活用できるのです。その観点からは、担当している業務が「周辺業務」である場合は、正社員としての評価が難しく、結果的に「コア業務」担当の正社員登用の対象から外れる可能性が大きいでしょう。
■正社員登用の対象に区分ないし制限を設けることの是非は、登用に関しての機会均等が保証されているか否かによります。正社員登用のスキル・能力要件を明確にした上で、派遣社員の担当如何に関わらず希望者全員に登用試験の機会を与えることが必要と思います。当然、「周辺業務」の従事者にはハードルは高く、登用可能性も小さくなりますが、これは、会社が必要とするスキル・能力要件による合理的な選別結果で、不当差別には当らないと判断致します。
投稿日:2006/10/04 10:32 ID:QA-0006236
相談者より
投稿日:2006/10/04 10:32 ID:QA-0032579大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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