通信教育・資格取得の義務付けと労働時間の考え方
当社では、社員教育の一環として、ある一定期間で指定の通信教育・資格の取得を義務付けています。
これらの取得を昇格要件とした場合は、その取得が会社からの指揮命令にあたり、学習時間が労働時間とみなされる可能性が高いとの判断から、昇格要件とはしておらず、実際、すべて取得していなくとも昇格している社員もおります。
しかし、他社では通信教育・資格の取得を昇格要件と位置づけている例を多数聞きますし、それらの会社がすべて学習時間を労働時間と扱っているとは考えられません。
もし、私の考えが間違っていなければ、それらの会社ではなぜそれが許されるのでしょうか。
単に、グレーな扱いを良しとしている会社なのでしょうか。
通信教育・資格の義務付けおよび昇格要件とすることと、労働時間の考え方について、ご教示願います。
投稿日:2011/04/14 10:15 ID:QA-0043427
- まるさん
- 東京都/信販・クレジット・リース・消費者金融(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
通信教育・資格取得について
■通信教育について、本人に選択権を与えず、会社が義務付けてしまうと、その学習時間は労働時間と考えられます。
▲よって、一般的には、通信教育や資格取得は義務付けず、本人に選択権を与える会社が多数です。そして、会社として業務に密接しているため、通信教育を受けてほしい場合や、資格を取得してほしい場合には、資格取得をすれば、昇給するまたは資格手当がもらえるとしたり、費用を会社が負担してあげたりします。
以上
投稿日:2011/04/14 11:05 ID:QA-0043430
相談者より
ご回答ありがとうございます。
求める資格要件のみ定め、学習方法は個人に委ねた方がよいということは理解できました。
ですが、必ず身につけて欲しい知識・スキルに対応する資格試験が存在しておらず、通信教育を指定せざるを得ない場合(社内で試験でも作らないかぎり)は、労働時間とみなされるということになってしまうのでしょうか。
投稿日:2011/04/20 14:36 ID:QA-0043574大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、まず昇格要件としていなくとも、会社が通信教育受講により資格取得を義務付けている場合ですと、当該学習時間は労働時間に当たると考えるのが妥当といえます。本来であれば、こうした学習はあくまで自己啓発としまして各従業員が自らの自由意志に基き行うべきものだからです。そうであるにも関わらず「会社が義務付ける」というのであれば、このような措置につきましては会社からの指揮命令行為に該当するものといえます。
逆に申し上げますと、ある資格の有無を昇格の判断材料の要素とするにしましても、会社が特に強制することなく従業員が任意に判断し資格取得の為受講する教育等の時間につきましては、労働時間として取り扱う必要性はないものといえます。文面の会社の中には、恐らくそうした会社が多いのではと思われます。
従いまして、御社の場合でも義務付けを外せば労働時間として取り扱う必要はなく、事柄の性質からみましてもこうした通信教育の受講等につきましては各従業員の自主性に委ねるべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2011/04/14 11:26 ID:QA-0043433
相談者より
ご回答ありがとうございます。
求める資格要件のみ定め、学習方法は個人に委ねた方がよいということは理解できました。
ですが、必ず身につけて欲しい知識・スキルに対応する資格試験が存在しておらず、通信教育を指定せざるを得ない場合(社内で試験でも作らないかぎり)は、労働時間とみなされるということになってしまうのでしょうか。
投稿日:2011/04/20 14:35 ID:QA-0043573大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 昇格要件 」 と 「 取得に対する会社の関与 」 は別問題
「 特定の公的資格の取得を、社昇格要件とすること 」 と 「 その取得に対する会社の関与 」 は、別問題だと思います。前者は、高度な人材レベルを維持・推進するために、不可欠な企業ニーズですが、後者は、サポート体制は望ましくても、基本的には、個人のやる気と努力の問題と考えるべきでしょう。勿論、労働時間と看做し、賃金を支給することに問題がある訳ではありませんので、多様な対応が存在するとは思いますが・・・・。
投稿日:2011/04/14 12:14 ID:QA-0043435
相談者より
ご回答ありがとうございます。
求める資格要件のみ定め、学習方法は個人に委ねた方がよいということは理解できました。
ですが、必ず身につけて欲しい知識・スキルに対応する資格試験が存在しておらず、通信教育を指定せざるを得ない場合(社内で試験でも作らないかぎり)は、労働時間とみなされるということになってしまうのでしょうか。
投稿日:2011/04/20 14:35 ID:QA-0043572大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
他社の対応
恐らく予想通り、グレー、または開き直りだと思います。と申しますのは、昔ながらの勤務時間管理(始業10分前集合等)を精神的な指導として生かしている企業はまだまだ多く見受けられます。非常にコンプライアンス上、危険な状態ですが、直ちに処罰を受けるものでもないため、小職から見れば、バレなければ良いという意図があるのではないかと感じております。
そうした非合法な例を参照されるのではなく、あくまで資格取得のみ昇進基準とし、その方法は通信教育だけでなく、各自に任せてはいかがでしょうか。
投稿日:2011/04/14 21:05 ID:QA-0043444
相談者より
ご回答ありがとうございます。
求める資格要件のみ定め、学習方法は個人に委ねた方がよいということは理解できました。
ですが、必ず身につけて欲しい知識・スキルに対応する資格試験が存在しておらず、通信教育を指定せざるを得ない場合(社内で試験でも作らないかぎり)は、労働時間とみなされるということになってしまうのでしょうか。
投稿日:2011/04/20 14:34 ID:QA-0043571大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「昇格要件」と「取得に対する会社の関与 は別問題 P2
会社として、「 こういう通信教育が有用ですよ 」 と教えてあげるのは自由です。別に、それで、明示的にしろ、黙示的にしろ、使用者の指示に基づく労働が成立するとは思えません。然し、ご引用の、特定の通信教育を受講しなければ、絶対得られない資格要件ということなら、昇格要件としての適格性に疑問が生じるのではないでしょうか。
投稿日:2011/04/20 21:15 ID:QA-0043581
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事頂き有難うございます。
ご質問の件ですが、文面の「指定」が具体的に何を表しているかによります。単にその講座がお勧め出来るという意味での通信教育指定であれば、受講有無については当人の自由意志による選択になりますので労働時間には該当しません。
但し、指定が当講座(複数ある場合はそのいずれか一つ)を必ず受講しなければならないという意味であれば、労働時間に該当することになります。つまり、強制の有無がやはり判断の決め手ということになります。
投稿日:2011/04/20 22:14 ID:QA-0043584
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
昇格要件を導入した際の昇格済みの職員の対応について 現在、昇格要件に資格取得を入れる... [2010/08/06]
-
昇格の意味・効果 昇格について以下、お聞かせ下さい... [2010/03/11]
-
資格取得を昇格条件としたときの社員の勉強時間は業務時間か 当社は会社の定めた資格(業界、ヒ... [2014/09/04]
-
管理職(GM・MG)の昇格試験に関して はじめまして。表題の件で、2点ご... [2016/05/16]
-
役割等級制度の昇進・昇格について 役割等級制度導入した場合の昇進・... [2017/04/12]
-
資格手当について 資格手当の見直しをかけており、国... [2004/10/29]
-
資格の自費取得について ご質問させていただきます。この度... [2023/07/27]
-
会社補助による資格取得者の転職制限について 会社業務において必要と思われる資... [2007/01/16]
-
内定時に資格取得を条件に入れることは可能か 中途採用において、内定時に下記の... [2023/08/28]
-
業務縮小に伴う資格手当について 業務に関する資格手当をつけていた... [2024/02/15]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
資格取得支援制度申請書
資格取得支援制度を敷いた際に用いる申請書のテンプレートです。
昇格辞令
従業員に昇格を通知する辞令のテンプレートです。社内掲示用の簡単な例文がついています。
資格取得支援制度の規程例
資格取得支援制度の規程例です。対象者、対象となる資格、試験日における特別有給休暇の付与、受験費用の補助、合格祝い金の支給を定めます。
Excel形式なので自由にカスタマイズしてご利用ください。
昇進・昇格試験実施に向けての確認事項
昇進試験・昇格試験とは昇進・昇格基準をクリアしているかどうかを確認する試験のことで、さまざまな試験の方法があります。
ここでは実施に向けての確認事項をまとめています