事業場外みなし労働時間制の導入について
社内で営業などの会社外での勤務時間が多い職種の者を対象に事業場外みなし労働時間制を導入しようと考えていますが、その制度をよく理解している者がいないため、なにから手をつければいいかよくわかりません。所定労働時間は1日7.5時間です。場合により社員は自宅から営業先へ直行したり、または直帰したりします。一般的には最初に何から決めていけばいいのでしょうか。導入に必要な検討事項や労働基準監督署への必要な手続等、一般的な導入スケジュールのようなものがあれば教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
投稿日:2006/02/09 17:38 ID:QA-0003633
- *****さん
- 兵庫県/その他業種(企業規模 11~30人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
事業場外労働
最初に決めることは「みなし労働時間」を何時間にするかということです。通常は原則所定労働時間つまり御社の場合7.5時間とみなします。ただし実態が明らかにその労働時間を超えている場合は労使で合意できる「通常必要とされる時間」を定めることになります。
具体的には、所定労働時間が7時間30分の場合、ある日の労働時間が9時間であろうと、逆に少なくて7時間であったとしても全て7時間30分労働したものとみなします。
この事業場外のみなし労働時間制は、労使協定の締結のみで運用が可能です。
ただし、事業場外の労働時間が法定労働時間を超える場合には、労働基準監督署長への届け出が必要です。
投稿日:2006/02/09 23:09 ID:QA-0003637
相談者より
ご回答ありがとうございます。仮にみなし時間を9時間と定めた場合、所定労働時間開始の朝9時に出勤し、11時まで社内で打ち合わせ、11時から外出し、所定労働時間の終了時間17時30分に帰社、その後20時30分まで残業して退勤した場合、その日について時間外手当の支払は必要になるのでしょうか。またその対象になる時間はどの時間帯になるでしょうか。また事業場外の労働時間が法定労働時間を超える場合、最初からその超えている時間分の時間外手当支払義務が確定していると考えるのでしょうか。お手数ですが、教えていただけないでしょうか。
投稿日:2006/02/10 09:06 ID:QA-0031478参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 佐藤 貴則
- 株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士
事業場外労働について
少し複雑ですがご要望に応じて多少詳しくご説明します。
まず同日において事業場内労働と事業場外労働が混在する場合にこれをどのように算定するかという問題があります。この場合通達において原則的には「部分的事業場外労働についても一体として算定しがたい日とみなす」とされており、たとえ午前中に出勤して勤務した後、外勤を行ったとしても午後からの外勤労働時間が算定しがたい場合はこの日を一体として「算定しがたい日」とみなすことができるということです。
ではご質問のケースでは事業場外労働日として認定されうるのかという問題になりますが、これは帰社後の作業の性質により異なると解釈されます。
つまり、外勤の延長としての事務処理を行うために帰社後見積作成を行う、受注処理をする、などの場合には業務に関連性がありこれを全体として算定しがたい日として取り扱うことができるのですが、全く別の内容、例えば研修会や会議などのために帰社して仕事をする場合には、「その帰社後内容に関する時間算定」が可能であるという判断から事業場外労働の対象外とされることになります。
ところでご質問のケースが研修や打合せ目的の外勤作業との関連性なき残業であると仮定すると、時間外労働分の支払は当然必要でありその算定は労使協定において規定された所定労働時間を超えたところから算定されることになります。
つまり、外勤労働が帰社17時30分の時点で終了したとすると、その時点までの労働時間が実際は7.5時間なのに「みなし9時間」とみなされ、その後20時30分まで3時間延長勤務した場合、実際は10.5時間なのに12時間勤務として算定されることになります。
しかしこれでは2重計算になってしまいます。
そこで労使協定において、これを回避するように例えば「みなし時間9時間の要件」として19時以降に帰社した場合と定め、それ以前に帰社した場合は7.5時間とみなすような協定の仕方をすればよいと思います。
ちなみに最初から締結した所定労働時間が法定労働時間を超えているのであれば当然時間外手当の支払義務は当初から確定していると考えるべきです。
労使協定をうまく作成すれば整合性はとれるはずです。よろしくお願いします。
投稿日:2006/02/10 10:15 ID:QA-0003644
相談者より
ありがとうございました。ご回答をもとにみなし時間について話し合ってみます。
投稿日:2006/02/13 09:24 ID:QA-0031482大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。