障碍をもつ職員の雇用について
職員が勤務時間外に倒れ入院し、その後障碍をもつことになりました。面談の結果、通勤が困難であり、また長時間勤務にも耐えられないことが判明しました。そのため、就業規則に基づき1年間の休職としました。
1年後に復職面談を行った際、なお勤務に耐えられない場合には、解雇とすることは可能でしょうか。
また、解雇が認められない場合には、勤務場所の変更や軽微な業務への配置転換を行う必要があるのでしょうか。
なお、当法人の就業規則には以下の規定があります。
- 解雇事由:職員が「身体又は精神の故障により勤務に耐えられないと認められた場合」
- 退職事由:休職期間が満了し、復職できなかった場合
また、障碍者雇用の義務は当法人にはありません。
投稿日:2025/12/19 16:28 ID:QA-0162267
- フジさん
- 兵庫県/公共団体・政府機関(企業規模 101~300人)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
本件は、私傷病による休職満了後の取扱いと障害を理由とする雇用継続義務の範囲が問題となる事案です。結論から申し上げますと、一定の条件を満たせば解雇(または自然退職)とすることは可能ですが、手続と判断を誤ると無効とされるリスクが高いため、慎重な対応が必要です。
1.休職満了後の解雇・退職の可否
ご提示の就業規則では、
・解雇事由:勤務不能
・退職事由:休職期間満了後、復職不能
がそれぞれ定められています。
裁判例・実務上は、休職制度がある場合、休職満了時は「解雇」ではなく「自然退職(退職扱い)」とする運用が比較的認められやすいとされています。
したがって、
(1) 医師の診断等により、休職満了時点でも就労不能が客観的に認められる
(2) 休職期間・運用が合理的(1年は一般に妥当)
(3)復職判定の手続が適正(面談・診断書提出等)
が満たされていれば、「退職事由」に基づく退職扱いは有効と判断される可能性が高いと考えられます。
2.解雇として扱う場合の注意点
仮に「解雇」と整理する場合には、労働契約法16条(解雇権濫用)の適用を受け、
・解雇回避努力
・配置転換等の可能性
が厳しく問われます。
このため、休職満了=当然解雇という扱いは避け、規程どおり「退職」とする方が実務上は安全です。
3.配置転換・軽易業務への配慮義務について
ご質問の「勤務場所変更や軽微な業務への配置転換義務」については、次の整理になります。
障害者雇用義務がない法人であっても
障害を理由に直ちに排除することは許されず
現実的・合理的な範囲での配慮(いわゆる合理的配慮)は求められます
ただし、
・通勤困難
・長時間勤務不可
・業務遂行能力が著しく制限
という状況で、
在宅勤務制度がない
短時間・軽易業務が恒常的に存在しない
配置転換が事業運営上著しい支障となる
場合まで、新たな職務を創設してまで雇用を維持する義務まではありません。
4.実務上の重要ポイント
有効性を高めるため、以下が極めて重要です。
(1) 主治医の診断書による就労可否判断
(2) 復職基準(勤務時間・通勤・業務内容)の明確化
(3) 配置転換の可否を一度は検討・記録すること
(4) 解雇ではなく「休職満了による退職」扱いとすること
5.まとめ
本件では、
・休職期間1年
・復職不能が医学的に裏付けられている
・配置転換等が現実的でない
という事情があれば、休職満了による退職扱いは有効とされる可能性が高いと考えられます。
一方、配置転換等を一切検討せずに形式的に排除すると、無効と判断されるリスクがあるため、「検討したが困難であった」ことを説明できる体制を整えることが不可欠です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/19 19:56 ID:QA-0162281
相談者より
まとめも提示してくださり大変助かりました。
「検討したが困難であった」ことを説明できる体制を整えていきたいと思います。
投稿日:2025/12/22 09:52 ID:QA-0162321大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、御社の休職期間の定めが1年間という事でしたら、退職事由に該当しますので、解雇ではなく自然退職扱いとされる事が可能です。
障碍に至って御社での就労が困難になられた場合ですと、療養中とは異なり今後回復して復職出来る見込みは殆ど無いものといえますので、当人の為にも業務遂行が可能な仕事へ転職される事を勧められるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/12/19 21:50 ID:QA-0162283
相談者より
ありがとうございます。
業務遂行が可能な仕事へ転職される事を勧めることも検討し、対応していきたいと思います。
投稿日:2025/12/22 09:50 ID:QA-0162320大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
復職基準
以下、回答いたします。
本件については、(1)復帰の可否の基準についてどのように考えるのか、(2)その際、障碍者に対してどのように配慮すべきなのか、ということが論点として考えられます。
当該労働者との労働契約が職種限定的なものではないのであれば、「東海旅客鉄道事件」(大阪地判平成11年10月4日)(「片山組事件・最高裁判決:自宅療養命令の適否」が傷病休職に当てはめられたもの)が参考になると考えられます。
※ 本事件は、従業員が脳内出血で倒れ、会社の休職・復職判定委員会の判定に基づいて病気休職中であったが、本人の復職の意思表示にもかかわらず、3年の休職期間満了により退職扱いと決定されたもの。
※ 上記(1)に関して、次の旨が判示されています。
「労働者が私傷病により休職となった以後に復職の意思を表示した場合、使用者はその復職の可否を判断することになるが、労働者が職種や業務内容を限定せずに雇用契約を締結している場合においては、休職前の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、使用者の規模や業種、その社員の配置や異動の実情、難易等を考慮して、配置替え等により現実に配置可能な業務の有無を検討し、これがある場合には、当該労働者に右配置可能な業務を指示すべきである。そして、当該労働者が復職後の職務を限定せずに復職の意思を示している場合には、使用者から指示される右配置可能な業務について労務の提供を申し出ているものというべきである。」
※合わせて、上記(2)に関しても、次の旨が判示されています。
「身体障害等によって、従前の業務に対する労務提供を十全にはできなくなった場合に、他の業務においても健常者と同じ密度と速度の労務提供を要求すれば労務提供が可能な業務はあり得なくなるのであって、雇用契約における信義則からすれば、使用者はその企業の規模や社員の配置、異動の可能性、職務分担、変更の可能性から能力に応じた職務を分担させる工夫をすべきであり、例えば重量物の取り扱いを除外したり、仕事量によっては複数の人員を配置して共同して作業させ、また工具等の現実の搬出搬入は貸出を受ける者に担当させるなどが考えられ、企業規模から見て、このような対応を取り得ない事情は窺えない。そうであれば、少なくとも工具室における業務について配置することは可能であり、配置可能な業務はないとする会社の主張は採用できない。」
投稿日:2025/12/20 11:46 ID:QA-0162286
相談者より
判例まで提示頂きありがとうございます。
>>労働者が職種や業務内容を限定せずに雇用契約を締結している場合においては、休職前の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、使用者の規模や業種、その社員の配置や異動の実情、難易等を考慮して、配置替え等により現実に配置可能な業務の有無を検討
との回答を頂きましたので、今一度労働契約書を確認の上、進めていきたいと思います。
投稿日:2025/12/22 09:49 ID:QA-0162319大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|1年後に復職面談を行った際、なお勤務に耐えられない場合には、
|解雇とすることは可能でしょうか。
上記については、以下に該当します。よって、解雇ではなく自然退職扱いです。
|- 退職事由:休職期間が満了し、復職できなかった場合
あくまで自然退職であり、配置転換迄の義務を会社側が負っているものでは
ありませんが、一定の配慮は検討していただくことを推奨します。
その上で、配慮にも限界があるでしょうから、そちらに対応できなければ、
退職についての手続きを進めるのが通常かと存じます。
投稿日:2025/12/21 08:05 ID:QA-0162295
相談者より
自然退職扱いで検討していきたいと思います。
ありがとうございます。
投稿日:2025/12/22 09:37 ID:QA-0162318大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。
ご質問の文面では「勤務時間外に倒れ入院…」とありますので、ここでは私傷病から障碍状態に至ったという前提で回答させて頂きますが、勤務時間外の発症であっても、傷病が出現した要因やプロセスによっては労災認定される(すでにされている?)こともあり、この場合は扱いが大きく異なりますのでご注意ください。
さて、障碍の程度が通勤および労務の提供が困難であるために休職を余儀なくされ、貴社の就業規則に定める休職期間が満了し、その時点で復職不能であると判定されれば、貴社の就業規則の定めにもとづき自然退職することになります(貴社の就業規則の解雇事由と退職事由のうち、本ケースでは後者が適用されると思われます)。
なお復職の可否について産業医に相談することを推奨します。貴社は産業医の選任義務無しと推察しますが、最寄りの医療機関あるいはオンラインの産業医面談サービスなどを利用し、配置換えが困難であったことについて、専門家に相談した上で、客観的かつ合理的な判断を行った…というエビデンスを残しておくと良いでしょう。
余談ですが、この労働者の方はすでに障害厚生年金および障害基礎年金の支給申請はお済みでしょうか?もし貴社が確定給付企業年金あるいは企業型確定拠出年金に加入しているのであれば、障害給付金を受給できる場合もあります。休業中の社会保険料の取り扱いおよび貴社の退職金支給要件なども忘れずにご確認ください。
以上雑駁な回答でしたが質問者様の参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2025/12/21 18:28 ID:QA-0162306
相談者より
ありがとうございました。
復職が可能か産業医に相談したうえで検討していきたいと思います。
投稿日:2025/12/22 09:36 ID:QA-0162317大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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