業務委託形式における副業の第三者委託について
当社では、副業の取扱いは、以下のとおりです。
・就業規則に会社が許可する場合限り認める旨の記載がある。
・これまで、特に細部の取扱いが定められていなかった
・世間動向を踏まえ、実証の意味を含め、スモールスタートすることにした。
・副業は業務委託形式に限り、会社の定める申請手続を行い、会社が許可すれば可能とした。
・副業は、従業員の社員の能力・経験の社会的発揮を目的としている
申請手続のなかでは、従業員が業務委託形式かどうか等を確認するチェックリスト等があります。
質問したいことは、従業員が副業するとき、その業務を第三者委託することは可能かどうか、という点です。
以下に見解を記載しますので、どれが望ましいか、また新しい見解がありましたら教えてください。
①会社としては、第三者委託の可否は定めることなく、従業員と副業先の業務委託契約の定めによるものとする。(会社は関与しない)
②副業の目的(社員の能力・経験の社会的発揮)を踏まえ、第三者委託は認めないとする(会社が副業先との契約に介入するように思われる)
③第三者委託は認めないことを基本にするが、業務委託の内容で第三者委託を認める場合は、契約条項を優先とする(②のスタンスのもと、例外を設ける)
制度設計を行い、運用開始しながら細かい疑義を修正しているので、実例などがございましたら、共有頂ければ有難いです。
投稿日:2025/12/05 09:18 ID:QA-0161595
- Ryoswayさん
- 東京都/旅行・ホテル(企業規模 501~1000人)
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具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
副業制度の目的(社員の能力・経験の社会的発揮)と、会社のリスク管理の観点からすると、最もバランスが良いのは《(3) 第三者委託は原則認めないが、業務内容により例外的に認める》です。
理由は以下のとおりです。
2.第三者委託を認める場合のリスク整理
副業における第三者委託(再委託)は、会社にとって以下のリスクを伴います。
(1)副業の目的が達成されない
副業の趣旨が「社員自身の能力発揮」なのに
第三者が実作業を行えば本人の成長にはならない。
(2)信用リスク
副業先から見ると「本人に依頼しているのに、知らない第三者が作業をしている」となり、会社の信用問題になり得る。
(3)秘密保持リスク
第三者に仕事が移ると、情報漏洩・セキュリティ事故が発生しやすい。
会社は副業先からも責任を問われる可能性がある。
(4)労働時間管理リスク
実務では、副業時間の把握が難しくなり、
会社の安全配慮義務(過重労働防止)に支障。
→よって、会社としては 再委託を安易に認めることは避けるべきといえる。
3.各選択肢の評価
(1)「会社は関与せず、副業先と従業員の契約に任せる」
→最もリスクが高く非推奨
形の上では会社の関与がないように見えるが、
事故が起きたときは「副業制度として許可した以上、会社の監督が問われる」ケースが多い。
実務もこの方式はほぼ採用されていない。
(2)「第三者委託は禁止(例外なし)」
→理念的には最もスッキリだが、実務的には硬直的で使いにくい
制度目的(本人の能力発揮)には合致。
ただし、副業内容によっては、
「一部の作業だけクラウドワーカーに再委託したい」
「撮影だけ別の人が担当する」
など合理的ニーズが現実に存在する。
例外ゼロは運用面で過度な制約となり、副業希望者が萎縮する。
(3)「原則禁止。ただし業務内容に応じて例外的に認める(契約条項優先)」
→最も実務に馴染む。推奨。
理由:
制度目的(本人の能力発揮)から、原則禁止は妥当
しかし業務内容に応じて例外を認める方が柔軟で運用しやすい
会社は「例外承認」によって適切なコントロールができる
副業先契約で第三者委託が認められている場合、会社が過度に干渉しないというバランスが取れる
4.(3)の運用例(実例ベース)
多くの企業で以下の運用が採用されています。
(1)副業許可申請の際に
副業内容
予定時間
再委託の有無
再委託する場合は、その範囲と第三者の属性
これらをチェックリストで確認。
(2)会社は再委託のリスクを判断
例)
文章作成の一部補助 → 許可
個人情報・顧客データを扱う業務 → 不許可
技術作業で特殊工程を外注する → 事前許可制
完全丸投げ → 不許可
(3)許可は「期間・条件付き」で与える
再委託部分の上限
秘密保持義務
トラブル時の報告義務
副業時間の管理
などを明文化した許可書を発行。
(4)年度ごとに更新
副業は業務内容が変わりやすいため、
定期見直しは実務上必須。
5.まとめ
副業における第三者委託は
情報漏洩・信用リスク・目的逸脱の観点から原則NGが妥当。
ただし、内容次第で例外的に認められる場面があり、
最も実務的で現実的なのは〈(3) 原則禁止+例外許可〉。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/05 11:11 ID:QA-0161613
相談者より
ご回答くださり有難うございます。パターン分けし、それぞれのメリットデメリットが記載されていましたので、会社としての方向性を検討するにあたり、具体的なイメージを考えることができました。
大変参考になりました。
投稿日:2025/12/07 10:18 ID:QA-0161664大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
なお、本件は正確が1つではなく見解も分かれるものですので、
当方の見解として回答させていただきます。
判断軸として、以下の2つを主軸におかせていただきます。
・世間動向を踏まえ、実証の意味を含め、スモールスタートすることにした。
・副業は、従業員の社員の能力・経験の社会的発揮を目的としている
運用しながらブラッシュアップすることを前提としますと、
・まずは、会社が掲げる目的を達成させることを制度上、重きを置き、
・ルールは厳格化する方向性がスタート時としては良いかと思います。
上記に該当するのは、「2」の選択股となります。
制度を厳格→緩和へ変更することは比較的、容易ですが、
制度を緩和→厳格へ変更することは変更時、支障をきたす場合が多いものです。
投稿日:2025/12/05 11:31 ID:QA-0161622
相談者より
ご回答ありがとうございます。当社の方向性を踏まえると、おっしゃるとおり、厳格→容易の順で検討したほうがいいと感じました。
投稿日:2025/12/07 10:19 ID:QA-0161665参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1でしょう。
第三者委託禁止かどうかは、委託先が判断することですし、
それらも総合して副業可能とするかどうか、判断してください。
投稿日:2025/12/05 17:48 ID:QA-0161639
相談者より
ご回答ありがとうございます。たしかに、副業は業務委託形式とするならば、当社は関与することなく、副業先(委託者)と社員(受託者)の関係によるもの、と考えることもできます。
投稿日:2025/12/07 10:20 ID:QA-0161666参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、副業の許可に関わる条件等に関しましては、会社が任意に定めて運用する事柄になります。
従いまして、基本的には示されたいずれの案でも特に差し支えはございません。
その上で申し上げるとすれば、御社では「従業員の社員の能力・経験の社会的発揮を目的」と定められている事から、許可の整合性を保つという観点からしますと3が妥当と感じられます。やはり個別事情にもよりますので、全面一律不許可は避ける方が望ましいでしょう。
投稿日:2025/12/06 13:06 ID:QA-0161657
プロフェッショナルからの回答
非労働者性
以下、回答いたします。
A.本件、「労働者ではなく個人事業主(フリーランス)の立場としての副業」(労働時間の通算を要しないスモールスタート)として想定されているものであれば、労働者性の有無に関連して、下記1.(1)エの「代替性の有無」に係る問題であろうかと認識されます。他の判断基準を含めた総合的な検討が必要であると考えられます。
この視点からは、他の判断基準において非労働者性が明確であれば、1でもよいのではないかと思われます。
B. 厚生労働省のホームページでは、「労働者に該当するかどうかの判断基準」について、以下のように述べられています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index02.html
労働基準法第9条では、「労働者」を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定しています。労働基準法の「労働者」に当たるか否か、すなわち「労働者性」は、この規定に基づき、以下の2つの基準で判断されます。
○ 労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか、すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか
○ 報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか
この2つの基準を総称して「使用従属性」と呼びます。
「使用従属性」が認められるかどうかは、請負契約や委任契約といった契約の形式や名称にかかわらず、契約の内容、労務提供の形態、報酬その他の要素から、個別の事案ごとに総合的に判断されます。この具体的な判断基準は、労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)(昭和60年12月19日)において、以下のように整理されています。
1 「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」であること
ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
イ 業務遂行上の指揮監督の有無
ウ 拘束性の有無
エ 代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)
本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか否か、また、本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められているか否か等労務提供に代替性が認められているか否かは、指揮監督関係そのものに関する基本的な判断基準ではないが、労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素のひとつとなる。
(2)「報酬の労務対償性」があること
2 「労働者性」の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
(2)専属性の程度
(3)その他
投稿日:2025/12/06 23:56 ID:QA-0161661
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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