特定技能外国人(1号)の期間満了の解釈について
お世話になっております。
特定技能外国人(1号)の「期間満了」の解釈についてご教示ください。
一般的であれば、契約期間終了日まで就業するのが当然と考えておりました。しかし、特定技能外国人(1号)の場合、当方から「契約期間満了につき更新しない」旨を通知すると、転職先を探すこと自体は理解できるものの、転職先が決まり次第、当方への相談もなく相手方の登録支援機関や入管への手続きを進め、許可が下りると契約期間終了日前に退職してしまうケースがほとんどです。
それでも(心情は別にして)転職先が早めに決まる場合は特に問題ありませんが、転職先の決定がぎりぎりになった場合、次の就業開始まで期間が空くため、失業等給付を受けたいとして離職票の発行を求められることがあります。このような方に限って、契約終了日前に退職を申し出ていながら「早く失業等給付を受けたいので会社都合にしてほしい」と希望されます。
このような場合、「期間満了による退職」ではなく「自己都合退職」に該当するのではないかと感じております。一方で、本人は「更新しないと言われたのだから会社都合だ」と主張してきます。
このようなケースにおける「退職区分(期間満了・自己都合・会社都合)」の判断について、どのように整理すべきかご教示いただけますと幸いです。
投稿日:2025/11/11 12:12 ID:QA-0160489
- asyouwiさん
- 群馬県/その他業種(企業規模 6~10人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|契約終了日前に退職を申し出ていながら「早く失業等給付を受けたいので
|会社都合にしてほしい」と希望されます。
期間満了を伝えた後、契約終了日前に退職したいと申し出たのは従業員です
ので、本件は、自己都合退職に該当いたします。
なお、期間満了日前に退職を希望する際は、必ず〇年〇月〇日付で自己都合に
より退職する旨の退職届を提出してもらってください。
これが自己都合による退職の客観的な証拠になります。
会社としては自己都合にて離職票を作成し、不服があれば、ハローワークを
通じて、会社宛てに意見を下さいとお伝えすれば良いでしょう。
投稿日:2025/11/11 13:18 ID:QA-0160494
相談者より
契約期間終了日前に退職を申し出たものは、期間満了とはせずに自己都合退職扱い、終了日まで在籍して本人が更新を希望していた場合は期間満了で会社都合扱いでよろしいでしょうか。
投稿日:2025/11/11 16:14 ID:QA-0160508大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
特定技能1号外国人の「期間満了」「契約満了前退職」における退職区分(会社都合・自己都合・期間満了)の扱いは、雇用保険上も入管上も誤解が生じやすい論点です。
以下、体系的にご説明申し上げます。
1.前提:特定技能1号の在留資格と雇用契約の関係
特定技能1号の在留資格は「雇用契約に基づく在留資格」です。
したがって、契約の存続=在留資格の根拠 になります。
契約期間満了=原則として在留期間の終了時期
更新しない場合=次の雇用先がなければ在留資格が失われるため、本人は早めに転職活動を開始する。
このため、「契約期間満了前に転職先が決まり、在留資格変更が許可され次第退職する」ケースが非常に多いのです。
2.雇用保険上の「離職理由」区分の原則
雇用保険(離職票)上の「離職理由」は、次の3区分で整理されます。
区分離職票上の扱い主な例
(1)会社都合退職事業主の都合により離職解雇、倒産、契約更新拒否(本人に更新希望あり)
(2)自己都合退職労働者の意思で退職自己都合による退職、家庭事情、転職等
(3)期間満了退職有期契約の満了による退職契約期間満了・本人に更新意思なし、または双方合意
3.今回のケース別整理
ご相談の状況をパターン化して整理します。
ケース状況離職票上の整理補足
(1)会社が「更新しない」と通知し、契約期間満了日まで勤務した契約満了による退職「期間満了(事業主が更新拒否)」=会社都合扱い本人に更新希望があれば会社都合(雇用保険マニュアル上も同様)
(2) 会社が「更新しない」と通知した後、本人が期間満了前に転職先決定し早期退職本人が自己判断で退職日を前倒し自己都合退職在留資格上は転職の自由ありだが、雇用保険上は自己都合と整理
(3)会社が更新しないと伝えていたが、本人も「更新希望なし」双方合意の期間満了期間満了退職(中立扱い)離職票上は「契約期間満了(双方合意)」
(4)本人が更新を希望していたのに会社が契約更新を拒否(期間満了)事業主側の更新拒否会社都合退職(離職コード31など)離職票の「更新希望有無」欄に「あり」と記載
4.今回の具体事例に即した判断
「会社から更新しないと通知 → 本人は転職活動開始 → 契約期間終了日前に転職先決定 → 相談なく退職 → 離職票を求め、会社都合にしてほしい」
この場合、
会社は「契約満了まで雇用する意思があった」
本人が「自己都合で契約期間前に退職した」
→ よって、雇用保険上は「自己都合退職」です。
本人の「更新しないと言われたのだから会社都合だ」という主張は、
あくまで期間満了時点で退職した場合に限り成立する理屈です。
期間満了前に本人の意思で退職すれば、会社都合ではありません。
5.根拠となる行政実務・資料
厚生労働省「雇用保険業務取扱要領」第2編第4章「離職理由の取扱い」
→「期間満了前に本人の意思により退職した場合は、自己都合離職として取り扱う」
公共職業安定所(ハローワーク)FAQ
→「契約更新を希望しない旨を申し出た労働者については、自己都合退職として取り扱う」
6.実務対応のポイント
離職票記載例(離職理由欄)
「当初の雇用契約期間の満了をもって更新しない旨を通知したが、
労働者本人から契約期間満了前に自己都合により退職の申し出があり、退職した。」
離職コードの目安
自己都合退職:11(定型)
期間満了(双方合意):30
期間満了(更新希望あり会社拒否):31(会社都合扱い)
本人への説明
「在留資格上は転職が自由でも、雇用保険上は“会社都合”にはならない」
「契約満了まで勤務した場合は期間満了扱いになるが、自ら前倒し退職すれば自己都合」
7.まとめ
判定基準判断結果会社が更新拒否・本人も期間満了まで勤務会社都合(期間満了)会社が更新拒否・本人が満了前に辞職自己都合双方合意で期間満了期間満了(中立)本人から更新拒否申出自己都合
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/11 13:50 ID:QA-0160495
相談者より
ご回答ありがとうございました。 離職コードを含めた詳しいご解説、感謝申し上げます。 今後の参考とさせていただきます。
投稿日:2025/11/12 11:42 ID:QA-0160527大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
で
ご相談の件ですが、特定技能外国人で無い場合も含めまして、契約終了の有り方によるものといえます。
すなわち、契約更新の可能性が当初から無いか、またはこれまで反復更新されていないような場合ですと、単に契約期間満了での退職扱いとされます。
これに対し、契約更新の可能性があり、かつ既に反復更新されているような場合ですと、契約更新の期待可能性が高くなる事から会社都合での退職となる可能性がございます。
投稿日:2025/11/11 13:55 ID:QA-0160496
相談者より
ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/12 11:43 ID:QA-0160528大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
特定理由離職者
以下、回答いたします。
(1―1)有期労働契約の場合、「やむを得ない事由」があるときは、労働者は契約期間途中(契約期間終了日前)でも解約(退職)することができます。(民法628条)
(1-2)しかし、本件のような「契約期間満了につき更新しない旨の通知があった」「更新しないと言われた」ことが、一般に、当該「やむを得ない事由」に該当するとは考えられません。
(1-3)仮に、強いて、労働者の希望を受け入れて、「退職」に合意するとしても、この場合、「期間満了」「会社都合」ではなく、「自己都合」とならざるを得ないものと認識されます。
(2-1)一方、契約期間満了まで勤務があり、本人が契約更新を希望しているにもかかわらず更新しないときは、一般に、「期間満了」が該当するものと認識されます。
(2-2)他方、失業等給付に関しては、「早く失業等給付を受けたい」に関連して、以下の「特定受給資格者」や「特定理由離職者」への該当性に留意することが有益であると考えられます。
契約期間を遵守することによって、結果として、「早く失業等給付を受けられる」可能性が高まるものと認識されます。この点について、(外国人)労働者の理解を促すことは重要であると思われます。
ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
[特定受給資格者の範囲]
2.「解雇」等により離職した者
(8) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
(9) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する場合を除く。)
[特定理由離職者の範囲]
1.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(8)又は(9)に該当する場合を除く。)(※補足1)
※補足1 労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します。
投稿日:2025/11/11 14:10 ID:QA-0160502
相談者より
ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/12 11:44 ID:QA-0160529大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。また前回はご丁寧なコメントを頂戴し恐縮です(回答者としてモチベーションが上がります!)。
さてご相談の件、単刀直入にアドバイスを申し上げると「退職区分の判定はハローワークの所長が行うものなので、当社としては退職事由をありのまま離職票に記載せざるを得ない。さもなければ当社が不正受給の罪に問われるので、申し訳ないが要望には応じられない。」と離職者にキッパリと伝えるのが良いでしょう。
もしご本人が離職票に記載された離職理由にどうしても納得できないのなら「離職日から3ヶ月以内にハローワークを通じて都道府県労働局の雇用保険審査官に相談してみてください。」と付け加えておくと宜しいかと存じます。
実際のところ、その離職者が貴社との契約満了前に、自己都合によって他社に転職したのは事実です。それを失業給付の早期受給を目的として、契約期間満了による離職あるいは会社都合による離職を偽装して離職票を作成することは、貴社にとってリスクしかありません。
もし貴社がその労働者を雇い入れた時に、雇用保険資格取得確認届に雇用契約書を添付してハローワークに提出していたのであれば、転職先が新たに雇用保険資格取得確認届をハローワークに提出した時点で、ハローワーク側が不整合を発見し、貴社に対して疑義照会を行う可能性が高いです。
また会社都合で離職票を作成した場合でも、もし貴社が何等かの雇用調整助成金を受給していた場合、あるいはこれから受給申請しようと予定している場合には、助成金の受給要件を満たせなくなる場合があります(例「受給要件=6ヶ月以内に会社都合の離職者を出していないこと」等々)。
ご存知とは思いますが、離職者と示し合わせて虚偽の離職事由で離職票を作成し、それによって離職者が失業給付を不正受給した場合には、貴社も連帯責任を負うことになります。不正受給した失業給付の額およびその倍額の納付金(いわゆる3倍返し)を、貴社が肩代わりする羽目になるかもしれません。
日本の雇用保険制度のルールを外国人労働者に説明するのは大変だとは思いますが、特定受給資格者および特定理由離職者について充分な知識を有しているくらいであれば、恐らく上記の説明も理解できると思います。
上記アドバイスが質問者様のご参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願いします。
投稿日:2025/11/11 14:54 ID:QA-0160504
相談者より
ご回答ありがとうございました。困った時ばかりで申し訳ございませんが非常に心強いです。引き続きご助言いただけるとありがたいです。
投稿日:2025/11/12 11:46 ID:QA-0160530大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
追加のご質問について、回答いたします。
|契約期間終了日前に退職を申し出たものは、期間満了とはせずに自己都合退職
|扱い、終了日まで在籍して本人が更新を希望していた場合は期間満了で会社都合|扱いでよろしいでしょうか。
上記、ご認識の通りとなります。
投稿日:2025/11/11 16:38 ID:QA-0160509
相談者より
度重なるご回答ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/12 11:47 ID:QA-0160531大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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