職務手当・割増賃金について
パート従業員に対して、職務手当を月3000円など支給していることがあります。
残業代を支給する場合、通常時給に職務手当を所定時間で割った額を加算して計算する必要があるかと思います。
これは8時間を超える残業だけでしょうか。
それとも所定外でも同様でしょうか。
1日の所定時間が6時間の方もいれば8時間の方もいますし、場合によっては勤怠集計や給与計算システムの設定を変更しなければいけないので焦っています。
投稿日:2025/09/30 14:59 ID:QA-0158901
- papamiさん
- 東京都/販売・小売(企業規模 301~500人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 割増賃金の算定基礎と職務手当の取扱い
労基法37条の割増賃金算定基礎には、原則として 「毎月支払われるすべての賃金」 が入ります。
除外できるのは、通勤手当・家族手当・住宅手当・臨時の手当・1か月を超える期間ごとの賞与、の5項目のみ。
よって、「職務手当(業務遂行に通常伴う対価)」は算入対象です。
→ 職務手当を月額3,000円支給している場合、これを所定労働時間で按分し、時間単価に加算して割増賃金を計算する必要があります。
2. 「所定外労働」と「法定外労働」の違い
(1) 所定外労働(所定時間超えだが法定内)
例:
1日の所定時間が6時間のパート → 6時間を超えて勤務し、7時間・8時間働いた場合。
この部分は「所定外」であっても、法定労働時間(1日8時間・週40時間)内なので「通常賃金(割増なし)」でOK。
ただしこの「通常賃金」も、算定基礎単価(=基本給+職務手当按分)で出す必要があります。
(2) 法定外労働(労基法の上限超え)
1日8時間を超える、または1週40時間を超える部分は「時間外労働」。
この場合は 25%以上の割増を算定基礎単価に乗じて支払います。
3. 実務対応のまとめ
(1) 所定時間内(例:パート6時間契約 → 6時間まで)
→ 通常の時給(基本給+職務手当按分)で支給
(2) 所定外~法定内(例:パート6時間契約 → 7~8時間勤務)
→ 通常の時給(基本給+職務手当按分)で支給(割増は不要)
(3) 法定外(8時間超または週40時間超)
→ 通常の時給(基本給+職務手当按分)に25%割増を上乗せ
4. 給与システム設定上の注意点
システムに「残業単価を基本給ベースで計算」しているケースが多いため、固定手当を除外してしまい違法計算になるリスクがあります。
実務では「月額手当を所定時間で割って時給換算 → 基本時給に加算 → 残業単価算出」というロジックを入れる必要あり。
もしシステム対応が難しい場合は、**「割増算定に含める手当一覧」**を明文化して委託先やベンダーに調整依頼するのが安全です。
5. ご質問に対する回答
これは8時間を超える残業だけでしょうか。
→ いいえ。「所定外であっても法定内」でも、通常賃金単価は職務手当を含めて計算する必要があります。割増がかかるのは8時間超(週40時間超)の部分です。
6.まとめ
職務手当は「割増賃金算定基礎」に含まれる。
8時間以内であっても、通常賃金の単価に職務手当を反映して支給する必要あり。
割増がかかるのは「法定外(8時間超/週40時間超)」から。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/30 16:21 ID:QA-0158909
相談者より
大変詳しく教えてくださり、ありがとうございました。
投稿日:2025/10/01 09:30 ID:QA-0158932大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
労基法上は、時給×法定内残業時間でも問題ありませんが、
裁判例では、時給×(月給手当額÷月平均所定労働時間)×法定内残業時間
ということになります。
時給×(月給手当額÷月平均所定労働時間)×法定内残業時間でないと、
1時間当たりの単価が下がってしまうため、
労働密度が落ちているのであれば、問題はありませんが、
一般的には、同じ単価で支払ういうことになります。
投稿日:2025/09/30 16:54 ID:QA-0158915
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/10/01 09:29 ID:QA-0158931参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
結論、所定外でも時給単価を算出する際は同様の考え方です。
よって、職務手当の金額が同額であっても、所定労働時間が6時間の方と、
8時間の方では、時給単価となる職務手当の額は変わります。
法定内残業に対する賃金は、通常の労働時間と同じ基礎賃金に基づいて計算
されますが、その基礎賃金には、労働の対価として支払われる職務手当も含める
必要があります。
投稿日:2025/10/01 06:57 ID:QA-0158922
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/10/01 09:29 ID:QA-0158929大変参考になった
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