労働条件の不利益変更
住宅関係補助制度の改定に伴い、様々な制度(手当・家賃補助・ローン利子補給)が変更され、補助が増える社員もいれば、減る社員も発生します。この場合、補助の減額幅にもよりますが、一部の社員について補助額が減少となる場合、労働条件の不利益変更にあたるのでしょうか。
投稿日:2008/01/04 08:49 ID:QA-0010927
- *****さん
- 東京都/証券(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
問題は不利益変更の違法性の有無
ご相談を拝見し、ご連絡差し上げます。
「様々な制度」として挙げられている中で、住宅手当の減額(※または廃止)は給与そのものの減額であり、明らかに「不利益変更」に当たるといえます。
ただ、問題は、その不利益変更に違法性があるかどうかにあります。
違法性の判断基準については労基法に明確な規定はありませので、判例におけるいわゆる「合理性基準」に従うほかありません。
判例によれば、給与減額が合法といえる合理性を有する判断要素は、次のような点にあるといわれています。
-経営上のやむを得ない状況
※深刻な赤字状態等
-社会背景
※制度内容と社会的トレンドとの整合性
-対償措置の有無
-移行措置、激変緩和措置の有無及び内容
-不利益変更内容が極端なものでないこと
-社員への十分な事前説明 他
例えば、御社における住宅手当額が、固定給与全体の20%を超えるような高額であり、これを全廃する措置を予定されているとすれば、何らかの対償措置や猶予措置の検討が必要と思われます。
ご参考まで。
投稿日:2008/01/04 14:00 ID:QA-0010928
相談者より
投稿日:2008/01/04 14:00 ID:QA-0034374大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
ご相談の件ですが、住宅手当や家賃補助につきましては通常労働基準法上の賃金に該当する為、それを制度変更により減額することは明らかに労働条件の不利益変更となります。
しかしながら、不利益変更となるから一切変更が不可能というわけではございません。
現行制度に不合理な点があるようでしたら、労働者側と協議した上で、十分な代替・経過措置を採る等の配慮を行い合意を得た上で、むしろ積極的に見直しを進められることが重要といえます。
投稿日:2008/01/04 14:13 ID:QA-0010929
相談者より
投稿日:2008/01/04 14:13 ID:QA-0034375参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労働条件の不利益変更の合理性基準
■労働条件の不利益変更にも、不利益の性格、程度、対象者の範囲、一過的・恒常的などの面において、実に多種多様なケースが発生します。然し、ケースの如何にかかわらず、就業規則の変更が必要となりますが、不利益を蒙る従業員にも適用するためには、「就業規則の不利益変更法理」といわれる方法によらねばならない場合が殆どです。これは、企業が従業員の同意を得ずに、就業規則を変更したり、就業規則を新たに制定したりすることによって従業員の労働条件を現在よりも不利益に変更することを言います。
■ただし、この不利益変更には『合理性』が不可欠とされます。合理性の具体的な判断基準は、判例により、次の諸要件とされています。
① 従業員が被る不利益の程度
② 企業側の変更の必要性の内容・程度
③ 変更後の就業規則の内容自体の相当性
④ 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
⑤ 労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応
⑥ 同種事項に関する同業他社の状況等
■ご相談内容をの詳細(改訂目的の合理性、新旧の支給基準、増減総額の±状況、増減額者の人数比率、個人別不利益額の最大額=生活へのインパクトなど)が不明なので、断定的に申し上げることは出来ませんが、総支給額が±以上、減額者への移行後の一定期間の適切なバッファー措置を講じられることによって労組(または、社員代表)の賛同が得られるものと思います。
投稿日:2008/01/04 14:15 ID:QA-0010930
相談者より
投稿日:2008/01/04 14:15 ID:QA-0034376参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労働条件の不利益変更の合理性基準(回答補足)
解答欄オの最終パラの総支給額が<±以上>を総支給額が<±ゼロ以上>と補足修正致します。失礼しました。
■ご相談内容をの詳細(改訂目的の合理性、新旧の支給基準、増減総額の±状況、増減額者の人数比率、個人別不利益額の最大額=生活へのインパクトなど)が不明なので、断定的に申し上げることは出来ませんが、総支給額が<±ゼロ>以上、減額者への移行後の一定期間の適切なバッファー措置を講じられることによって労組(または、社員代表)の賛同が得られるものと思います
投稿日:2008/01/05 12:03 ID:QA-0010932
相談者より
投稿日:2008/01/05 12:03 ID:QA-0034377参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。