人事部門が社員を「学ばせる」研修はもう終わり
自律的な学びを後押しする「ライオン・キャリアビレッジ」の効果とは
小池 陽子さん(ライオン株式会社 執行役員 人材開発センター部長)
大山 展広さん(ライオン株式会社 人材開発センター 主任部員)
テレワーク推進やフルフレックス導入で、働きがい向上へ
2020年はどの会社も、新型コロナウイルスの影響を少なからず受けています。貴社の人材開発の側面からはいかがでしょうか。
小池:ライオンでは昨年7月に、社長が「働きがい改革宣言」を発信しました。働きがいを持つことが、生産性の向上へとつながるからです。
働きがいにつなげていくための二つのアプローチがあります。一つは多彩な能力発揮を最大化する「ワークマネジメント」、もう一つは多様な働き方を受け入れて自律性を重んじる「ワークスタイル」です。先ほど大山がお話しした「ライオン・キャリアビレッジ」はワークマネジメントの文脈ですが、これらのアクションを下支えするのが、従業員同士の関係性と健康経営です。「まずやろう」「互いを認め合おう」を合言葉に、昨年からさまざまな取り組みを始めています。その一つが「ワークスタイル変革」で、働き方の多様化に向けての取り組みです。
昨今はテレワークの重要性が高まっていますが、当社では昨年から取り組みを行っていたことが功を奏し、スムーズにテレワークに移行することができました。スタッフ部門のテレワークから始め、徐々に部門を拡大。特に2019年夏に「テレワーク・デイズ」に参画したことで、利用経験率は12%から45%へと伸長しました。
また、服装の自由化のほか、フルフレックス制度の導入も検討しています。現在は10時から15時をコアタイムとしたフレックス制度を採用していますが、今後はコアタイムを設定しない制度への移行を検討しています。コロナ禍で、新しい働き方が生産性や働きがいの向上につながることを実感できたので、元に戻ることがないよう、進化を続けていきたいと思います。
今後、人材開発について企画されていることや実施を予定していることはありますか。
小池:コロナ対策とは別で、ワークマネジメント変革を進めています。「ライオン・キャリアビレッジ」をベースに、さらに強化していきたいのがキャリアデザインサポートです。個人がしっかりキャリア設計をできるよう、支援する窓口を設けました。「ライオン・キャリアビレッジ」はすべてのコンテンツがオープンになっているため、将来のための能力開発にも役立ちますし、受講したコンテンツが可視化されるため、人事部門としても受講状況によって異動希望者の本気度が分かります。
また副業制度も、従来の許可制から申告制へと変更しました。多面的な能力開発をする場は、必ずしも社内とは限らないからです。人生100年時代といわれる現在、ライオンがキャリアの終点ではない社員が増えていくかもしれない。従業員自身がキャリアを自律的に切り開いていくために、会社としてサポートできることは何かという視点を持ちつつ、今後も新しい施策を考えていきたいですね。