株式会社アサツー ディ・ケイ:
応募者に「どんな人と、どう働きたいか?」というリアルなイメージを喚起
新卒採用活動の既成概念をリセットし、応募者と社員の相互理解を図る「相棒採用」とは(後編)[前編を読む]
株式会社アサツー ディ・ケイ 執行役員 人事・ガバナンスセンター統括
春日 均さん
フラットな組織がADKの強み
人・組織という点で、貴社の特色や強みは何でしょうか。また、逆にどのような課題があるとお考えですか。
ADKは2016年に創業60周年を迎えました。当初は旧旭通信社の創業者である稲垣正夫が、社員をグイグイと引っ張っていましたが、会社が上場すると、合議で社会的な面も含めてきちんと決めていかなければいけません。そういう点で大変大きな変わり目にあると言えます。広告業界自体も今までのビジネスモデルが変革してきていますので、当社としても「コンシューマー・アクティベーション」をビジョンに掲げ、新たな価値創出にチャレンジしています。
そうした環境下において、ADKが打ち出していくべき会社の強みとして、フラットな組織が挙げられます。上意下達方式のピラミッド型ヒエラルキーには決してなっていません。若手社員も自分の意見を言いやすく、社長ともごく普通に話ができます。事実、ADKには役員用の部屋がありません。社長は忙しいのですが、時間があれば社員の話に直接耳を傾けますし、ミーティングにも積極的に参加します。当社では手続きを踏まないと社長と会えないとか、月次の朝礼でしか社長を見ることがないということもありません。ましてや、執行役員や現場でオペレーションを行っている幹部は社長と頻繁に顔を合わせています。そうした風通しの良さはADKの大変良いところだと思います。
特に、現在の虎ノ門ヒルズ森タワーに移ってきてからは、社内コミュニケーションが一段と活性化してきたと思います。以前は15ものフロアに分かれていて、どこか階層的になっているというかセクショナリズムを助長する構造・配置になっていた感がありました。それがここでは5フロアなので、自ずといろいろな社員に会える仕組みになっています。もともとフラットな社風でしたが、社員はより一層居心地の良さを感じているのではないでしょうか。
その一方、ガバナンスを利かさないといけないとか、会社の現状や今後のビジョンを社員にどう伝えていくかとか、強制力がないとか、さまざまな問題があります。社内のバランスを取りながら、それらをどう解決していくべきかがとても難しいところです。ADKの良いところは残しながらも、伝えるべきはきちんと伝え、守るべきところは守っていかなければならない、と考えています。
「相棒採用」が生まれたのも、ADKならではの企業風土があったからだと理解できました。
確かに「ADKの良さを採用活動にも発揮しよう」という目的で取り組んだのが、「相棒採用」です。「意見が言いやすい」「現場の発想を大事にする」といった良い風土がせっかくあるのに、今までは人事が採用を型にはめてしまっていたのです。そこを、ヒジョーシキに行こう、一旦「採用かくあるべし」を外してみよう、我々ならではの採用方式とはどういうものだろう……。そういった問いかけが「相棒採用」のもとになっていると思いますね。