男性が変われば企業風土も変わる!
ダイバーシティ先進企業、ローソンが行う「男性の育児休職取得」促進のための取組みとは(後編)[前編を読む]
株式会社ローソン 人事本部 人事企画 部長
山口 恭子さん
育児休職が業務効率、生産性を見直すきっかけに
施策を行うことで、どのような成果がありましたか。
2015年度上期に行ったアンケート結果から抜粋してお話しすると、育児休職を取得した後の効果として「業務効率化の意識が高まった」という声が53.6%もありました。普段から育児は奥さんがメインであったとしても、「自分もどうやって育児に参加すればいいのか」「その時間を捻出するためにはどうするべきか」を考えていくと、「自ずと無駄な仕事をしているべきではない」という意識が高まってくるようです。アンケートの結果を見ると、他にも「家族への愛情が増した」「モチベーションが上がった」「お客さまに提供する商品・サービスで良いアイデアが思いついた」といった声がありました。なかには、「在宅勤務という可能性が見えてきた」という意見もありました。働き方も多様性が叫ばれる時代になってきているなか、最近は男性社員による在宅勤務の申請者が増えてきました。それだけに、育児休職中の在宅勤務も可能なのではないかと感じています。
一方、生産性向上について言えば、当社のトップが今、働き方改革の重要性をあらゆる場で社員にアピールしています。働く側には限られた時間のなかで、いかに生産性を高めていくか、同時に休暇もしっかりと確保しながら、どうやって生活の質・レベルをあげていくかが問われています。男性の育児休職はそれらを考える良いきっかけにもなっていると感じています。
男性の育児休職取得促進に関して、現時点で貴社にはどのような課題があるとお考えですか。
できれば、ここから本当に女性と同様に数ヵ月、1年と育児休職を取得する男性社員が出てきてほしいと思っています。もちろん、課題はいくつかあります。一つは、女性の場合は余り議論にならないものの、男性が育児休職を半年、1年取得するとなると、代替要員をおかなければ仕事が回らなくなるということです。また、政府が男性の長期育児休暇取得に向けた改革に取り組んでくれればありがたいと思っています。企業としては、やはり負担が大きいと言わざるをえないからです。