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となりの人事部

男性が変われば企業風土も変わる!
ダイバーシティ先進企業、ローソンが行う「男性の育児休職取得」促進のための取組みとは(後編)[前編を読む]

株式会社ローソン 人事本部 人事企画 部長

山口 恭子さん

トップ主導で今後もさまざまな施策を推進

 今後予定している、男性の育児取得促進に関する施策について、お聞かせください。また、それ以外にもダイバーシティ、ワークライフバランス関連の施策で検討中のものがあれば、併せてお聞かせください。

「女性活躍推進法」に基づく行動計画の一環として現在当社では、年次有給休暇の取得促進を図っています。昨年度実績で取得率は31%。それを、もう少し上げたいと思っています。現在、「もっと有休休暇を取って、仕事と生活を両立させよう」という活動をスタートさせたところです。まずは「3連休を取りましょう」と呼びかけています。オフィスで仕事のことばかり考えていても、斬新な発想は出てきません。プライベートも充実させることで、何らかの形で会社に良い効果がフィードバックされることを期待しています。

女性活躍推進に関しては、一通りのことを行ってきましたので、このまま順調に続けていけば良いのではないかと思っています。両立支援策やキャリアアップ促進策、いずれも当社は力を入れています。おかげで、管理職比率、女性社員比率も着実に伸びてきています。もちろん、政府目標に賛同した「2020年度には管理職における女性比率を30%にする」という数値目標を達成するため、そして多様性を強みにしてあらゆるニーズに応えられる店舗、サービスを作っていくために、より良い施策があれば積極的に取り入れていくつもりです。そのためにも、日ごろから他社事例を研究しています。特に、トップが主体的に関わっている企業の動きは気になりますね。

また、会社としての取り組みではないのですが、当社のトップが力を入れてるのが「ローソンオーナー福祉会女子部(ローソン女子部)」です。ローソン女子部とは、当社が加盟店の女性経営者たちと行う定期的な意見交換会です。トップ自らが「ローソンを良くするためにどんどん意見を言ってほしい」と呼びかけていることもあって、当日は参加者に自由に話をしてもらっています。その中から、お客さまにもっと満足していただくためのお店づくりのヒントを見つけ出そう、というのが会の目的です。店舗で使用するエプロンの仕様変更であるとか、お店のレイアウト改善であるとか、既に形になったアイデアがいくつかあります。店舗に携わる女性の意見を収集し、女性のお客さまの利便性を高めていくこうした施策も、広く捉えれば女性の活躍を推進する取組みであると考えています。

 女性の活躍推進に対して、かなり手応えを感じていらっしゃるようですね。

当社では、女性の活躍推進に2005年から10年以上も取り組んできましたが、その結果、女性発信のイノベーションが次々と生まれています。2016年9月末現在で、累計で6800万本以上を販売するなど、爆発的なヒット商品となった「グリーンスムージー」を代表とするスムージーシリーズの開発を担当したのも、三重県と連携して3週間の期間限定で発売された「プレミアム伊勢茶のロールケーキ」を企画立案したのも、女性社員です。また、自ら考え、自ら行動した社員を、しっかりとほめ称えることを目的に、2015年度から社内表彰制度「自律型挑戦大賞」を新たに設置したのですが、応募総数321件の中から選ばれ、今年2月に行われた表彰式で大賞・準大賞に輝いたのは、いずれも女性社員でした。これらの事実を見ても、当社には成果を出している女性、頑張っている女性が多くいることがわかります。男性も大いに刺激を受けており、考え方が変わってきていると実感しています。

実際、企業文化も変わってきているように感じます。2005年以前は女性の管理職が1%程度でした。「どうせ辞めてしまうから」ということで、女性を役職者にするとか、責任ある仕事を任せるという雰囲気はほとんどありませんでした。それが今では、男性も女性も同じように採用して、同じように育成して、同じように登用するという文化に変わってきています。特に近年の変化は劇的と言えるでしょう。

 男性の育児休職取得促進に取り組みたいと考えている人事担当の方々に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

当社は男性社員が8割を超える企業なので、男性の意識が変わること、意識を変えることが会社全体の風土、文化を変革する上で肝になると考え、さまざまな施策に取り組んできました。世の中全体が共働きの社会になって、女性の就業率も上がってはいますが、まだまだ男性が企業文化を作っています。それだけに、主導している男性社員が変わることが女性の活躍推進、全体の変化に対してとても大きな影響力をもたらすことになります。女性活用に注力している企業が多いかもしれませんが、男性が変わることが大きな効果を生むということを認識し、男性の育児休職取得促進に向けた取り組みにも、どんどんチャレンジしてほしいと思います。

株式会社ローソン 山口恭子さん

(取材は2016年9月28日、東京・品川区のローソン本社にて)


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