男性が変われば企業風土も変わる!
ダイバーシティ先進企業、ローソンが行う「男性の育児休職取得」促進のための取組みとは(前編)
株式会社ローソン 人事本部 人事企画 部長
山口 恭子さん
男性の育児休職取得促進に取り組むようになった背景とは
一方で、貴社は男性の育児休職取得促進にも力を入れていらっしゃいます。そこにはどんな意図があるのでしょうか。
年々数字は伸びてはきているものの、当社における女性社員の比率はまだ低く、依然として男性社員が約8割を占めています。男性がこれほど多くの割合を占めている企業文化を変えるとなると、やはり男性が変わらなければいけません。女性だけに「頑張れ」と言っていても、なかなか変わりようがないからです。「男性が変わるためにはどんな取り組みを行うべきか」という疑問に対する一つの答えが、男性の育児休職取得促進でした。もちろん、生産性意識の向上も背景にはありました。育休をきっかけに育児も分担しあうようになれば、そのために要する時間も確保しなければなりません。そうすると、自ずと仕事の効率を意識するようにもなります。
当社には以前から男性の育児休職制度がありましたが、実際に利用されることは少なく、2013年度は誰も利用していませんでした。そのまま何もしなければ、ゼロが続くだけでしょう。「これではいけない」と考え、本格的に男性の育児休職の取得促進に取り組むことを決意しました。
貴社が行われている、男性の育児支援のための制度について、その概要をお聞かせください。
2014年度に、男性社員が取得しやすい「短期間育児休職制度」を新設しました。これは、子どもが生後3ヵ月の期間中に、5日間を上限として育児を目的とした休暇を有給特別休暇(特休)として取得できるという制度です。取得希望者は所属部署の上司の許可を得てから、事前に人事本部に「短期間育児休職申請書」を提出するという手続きになっています。有給ですから、休職中の給与・賞与は全額支給されます。
5日間を上限としたのは、男性が数ヵ月や1年の育児休職を取るのは、現段階ではさすがにハードルが高いと判断したからです。まずは取っ掛かりということで、5日間が適当なのではないかと考えました。付け加えていえば、5日間という期間が、当社社員の勤務スタイルにフィットしやすいという背景もありました。当社は24時間、365日コンビニエンスストアを運営していることもあって、企業カレンダーに休業日がありません。社員は夏休みも冬休みも、交替で休暇を取っています。誰かが1週間休暇に入っているときは、残りのメンバーで業務をシェアするわけです。そうした働き方にもともと慣れていますし、夏・冬で2回対応できるのであれば、もう1回増えても対応できる、と考えました。いつもやっていること、無理のないところからスタートする、という考え方で着手したことが、良かったと思っています。
取得期間を生後3ヵ月以内に限定したのにも、理由があります。子どもが生まれて間もない段階から父親が子育てに参画しないと、育児に関しては「戦力外」というレッテルを貼られてしまうからです。そういった社員が将来管理職になったときに、果たして部下のマネジメントができるでしょうか。生後3ヵ月は、育児をする上で最も大変な時期です。その時期に夫婦二人で協力してほしい、という思いもありました。