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ローソンHRステーション:「考えながら変わっていく」人事制度

社長補佐 ヒューマンリソースステーション ディレクター 三隅俊郎さん

人事とは、人が人を評価する、人が人の人生を左右するかもしれない、大変な仕事である。 その重責に、現役人事部員たちはどう向き合っているのか?(聞き手=ジャーナリスト・前屋毅)

Profile
三隅俊郎さん
三隅俊郎さん
社長補佐 ヒューマンリソースステーション ディレクター

みすみ・としろう●1962年生まれ。86年九州大学法学部卒。96年マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修了(MBA)。日系鉄鋼メーカー、外資系製薬企業を経て2003年入社、2004年3月から現職。

転職を経験する中で、やっぱり経営というのは「人」が基本だぞと。
ローソン入社まで鉄鋼メーカーと製薬企業で人事をしてきたんです。

前屋:名刺のお肩書きを拝見、「ヒューマンリソースステーション ディレクター」とありますが、わかるようでわかりにくい名称ですよね。初対面の人から理解してもらえますか?

三隅:理解していただけませんね、こちらから説明しないと(笑)。いわゆる本部組織の名称について、ラインは「本部」という呼び方をそのまま残したのですが、スタッフのところは「ステーション」という名称にしました。ローソンのキャッチフレーズ「マチのほっとステーション」に合わせたものです。ディレクターは「本部長」ということになりますね。

前屋:名刺のお肩書きには「社長補佐」ともありますが、三隅さんは入社されてどれくらいでしょう。

三隅:私は中途入社なんです。2003年6月に社長補佐として入社し、2004年3月からヒューマンリソースステーションを中心にやっています。社会人としてのスタートは日本の鉄鋼メーカーの社員でした。工場の原価管理を皮切りにいろいろな仕事を経験して、最後に経営企画がいちばん長くて5年ほどやって、外資系の製薬会社へ転職しました。それからこちらへ移ったのですが、外資系の製薬会社もローソンも、転職のきっかけは単純で、たまたま縁があったんですね。

前屋:そのローソンで今、人事を統括されているわけですが、人事の仕事は初めて?

三隅:いえ、メーカーにいるとき、20代後半から30代の前半にかけてが最初です

前屋:結局、日本のメーカーを辞めて外資系の製薬会社に転職されるわけですよね。そこでは、どういう仕事をされたのでしょう。

三隅:7年ぶりくらいで人事に戻りました。メーカーを辞める前、2年ほどM&Aの仕事をやっていたのですが、その時、経営の成否を分けるのは、「人」の質と層の厚さだと痛感したわけです。それでもう一度、「人」に立ち戻ってやってみたいと思ったんですね。そう思っているときに、たまたまお話をいただいたので転職を決意したわけです。

小売業では今日やった施策が3カ月後に結果として現れてきます。
しかも「人」の要素がより大きく結果に反映されてくるんですね。

前屋:それでいて、また製薬会社からローソンへ転職されましたが、鉄から薬、そして小売と、少し脈絡がないような気もします。

三隅:そう思われるかもしれませんが、「どんなところでもビジネスの基本は変わらない」というのが、私の経験から学んだ考え方です。ただ、プロダクトライフサイクルが異なったり、インダストリアルライフサイクルが異なると、スピード感やキーサクセスファクターは違いますよ。それから私自身が、メーカーといっても、いわゆる生産手段を持たない、営業力、開発力、設計力、プロジェクトマネジメント力といった「人」の要素に依存せざるを得ないエンジニアリング事業で育ったせいでしょうか、「人」の果たす役割の大きさが骨身に染みたわけです。メーカーの仕事は、結果が出るまで時間がかかります。しかし小売の場合は、今日やった施策が3カ月後、半年後には結果として現れてきます。しかも、「人」の要素が、より大きく結果に影響する業界でしょう。だから、これは面白みが違うと思ったんですね。

ローソンに入社当初は社長補佐として社内の全般を見ていましたが、昨年から人事部門を担当することになったわけです。

三隅氏(写真中央)は2004年3月からローソンの人事を統括する。三隅氏と同じように、同社HRステーションには中途入社のスタッフも少ないないという

前屋:社長としては、三隅さんに人事部で何をやって欲しいということだったのでしょうか。

三隅:ローソンのビジネスの方向性と人事政策が連動していないと、経営がうまくいきません。その連動がうまくいく人事体制を整える、ということが一つあります。もう一つには、「人」の育成ですね。「人」がすべてと言ってもいい業態ですから、「人」を育成して人材の層を厚くしていかないと、企業としての中長期的な発展は望めません。この2つが、私の使命です。

前屋:それらを実現するために、いま現在、取り組んでいるテーマは?

三隅:たとえば、「人」の層を厚くすべく、ローソン大学というコーポレートユニバーシティで「リーダー教育」と呼んでいる経営幹部予備軍の育成に取り組んでいます。ローソンは支社制をとっています。店舗開発、店舗指導、商品と機能組織で全国を統括する組織運営でトップダウンで意思決定をしようとする考え方があるとすれば、ローソンは現場に近いところで機能の一体性を図りながら、意思決定をしようという考え方ですね。

となると、支社長は言わばCOOなんですね。加えて言えば、現場に近いところで意思決定をしようとすれば部長やマネジャーも経営的視点を持って意思決定しなければならなくなる。会社全体で経営幹部予備軍の層が厚くないと適切な意思決定と実行ができなくなる。ですから、そのための育成が大きなテーマになるわけです。

前屋:リーダー教育というのはどんな内容なのですか。

三隅:今やっているのは第1フェーズのプログラムなのですが、部長やマネジャーを主な対象として5日間かけて経営戦略、競争戦略の考え方とローソンの戦略あるいは方向性を徹底的に議論してもらうものです。このプログラムのためにローソンのケースを外部の力を借りて開発したのですが、社長を交えたケース討議がクライマックスになります。これまででざっくり300人が受講しました。

前屋:社長を毎回呼んでいる?

三隅:そうです。経営幹部育成というのは経営者自身のコミットメントがポイントなんです。それがなかったら、厳しいことを言えば、よくある人事部主催の魂のない上級管理職向け研修と変わりませんよ。経営者と社員がオープンに真剣に対話することで、実は、初めて、経営者とは何か?経営的視点とは何か?何を自分たちはすべきか?などといったことが学べるのだと思います。経営者にとっても、前線の管理職たちが何を考えているのかがわかる学びの場にもなっていると思います。

前屋:現場で意思決定をするとすれば、最前線でも考える人材を育成することが大事だと思いますが。

三隅:ローソンはフランチャイズ・ビジネスを展開していますから、店舗指導には力を入れなければいけません。本部に指導力があるかないかで各店舗の収益は違ってくるし、ローソン全体の業績も左右されるわけですからね。

その大事な仕事を担っているのが1000人以上の「スーパーバイザー」と呼ばれる社員たちですが、彼ら彼女ら「スーパーバイザー」の指導力とモチベーションを上げていくこと、それが人事担当者にとって重要なテーマになります。

前屋:「スーパーバイザー」の社員は店舗経営を指導するわけですから、ある程度の社会経験とかビジネス経験も必要だと思います。そうなると中途採用のスーパーバイザーも多いのですか。

三隅:中途採用者もいますが、1990年代以降のスーパーバイザーは新卒入社組のほうが多いのではないでしょうか。入社後、直営店でオペレーションを学びながら経験を積んで、スーパーバイザーへとキャリアアップしていくことになる。入社から4年か5年くらいでスーパーバイザーになるケースが一番多いと思いますが、じつは今、それを早めたいと考えているところです。

入社後2年ほどでスーパーバイザーをやるようになってもらいたいんですね。フランチャイズ・ビジネスを展開しているローソンでは、スーパーバイザーは社員として基本的なキャリアですから。

前屋:新卒からスーパーバイザーへのステップを早めるためには、 育成の方法を変えなければいけませんね。

三隅:ええ。社員教育制度を改革しなければいけません。たとえば、OJTなどと称して放ったらかしにしているのが、どの業界、どの企業でも実態だと思いますよ。正直言ってローソンも、そんな実態があったんです。まずそれを改革しようと、今年からトライアルを始めました。

入社後、店舗でマスターしなければならないことを2年で習得し、いつでもスーパーバイザーをやれる用意万端な状態で上のポストに上がってもらう、というかたちにしたい。そのために今、OJTとOFF-JTを連動させたプログラムを試しているところなんです。放ったらかしになりがちだったところを、意識して人材を育てようということですね。まだ始めて半年なので、善し悪しを判断できる段階ではないんですけどね。

人事は「制度ができたら『人』は動く」という幻想を持っています。
制度の根底にある「考え方」をまず伝えなければいけないのですが。

前屋:今のOJTとOFF-JTを連動させたプログラム、始めて半年の中で何か見えてきたことはありませんか。

三隅:課題はたくさん見えてきました。教える時間が十分ないとか、教える側も勉強中だとか、コミュニケーションの問題とか、今後プログラムを修正すべきところは多々あるということです。でも、そんな課題が出てくるだろうというのは、最初から想定の範囲内ですからね。課題が出てこないほうが問題なのであって、まず1年やって課題が出そろったところで、改めてプログラム運営の基本形をつくろうと考えているんです。

重要なことは、そのプログラムに書いてあるマニュアルを社員に身につけてもらいたい、というのではなく、店舗の指導を担当するスーパーバイザーとしての「考え方」をまず、しっかり理解してもらいたいということなんです。コンビニの難しさは、毎日が「マーケティングの連続」ということです。天気とか近くで行事をやっているとかの条件に応じて品揃えを変えていかなければいけません。その条件は店舗ごとに違いますから、マニュアルだけではどうにもならないことがたくさんあるんですね。そこで必要になってくるのは、やっぱり「考え方」なんです。

フランチャイズ店のオーナーに対して問題を指摘したり、対処法をアドバイスしたりするのがスーパーバイザーです。コンサルタントなら問題を指摘してアドバイスをすれば仕事は終わり、言い放しでいいわけですが、ローソンのスーパーバイザーはアドバイスをして確実に数字を上げてみせなければいけない。そうでなければ、オーナーはローソンのフランチャイズ店でやっていこうと思わないし、新しく加盟してくれる人だってありませんよ。だから世の中のコンサルタント業よりローソンのスーパーバイザーの仕事のほうが、はるかに難しいでしょう。マニュアルだけでは、対処できません。経験だけでもできない。「考え方」が身についていないと務まらない仕事なんです。

前屋:社員教育のプログラムという制度はできても、運用となると別問題ですよね。効果的に運用されないと、せっかくのプログラムも宝の持ち腐れになってしまいます。

三隅:一般的に人事部は、「制度を設計すれば人は動く」と思いがちなんですよね。厳しい言葉で言えば、そんな「幻想」を持っている。

前屋:「去年、今年と人事評価制度を変えて、また来年もということは?」

三隅:「あり得ますよ。運用をして、その評価制度に欠陥があるということになれば」

前屋:しかし、制度をつくってマニュアルを身につけろと説明するだけで、「これで人事部の仕事は終わり」と考える傾向があるような気がします。うまくいかなければ、「人事部の責任じゃない」となる。

三隅:制度さえつくってしまえば人が動くという幻想は、ローソンのヒューマンリソースステーションだって、少なからず持っているでしょう。私自身の中にも、いくばくかはあると思いますよ。でもそんな幻想は百害あって一利なしであって、プログラムとか制度をつくったら、人事はその制度の根底にある「考え方」を社員たちに浸透させようとしなくてはいけない。毎日がマーケティングの連続であるコンビニで、どう商品を変えていくか。店舗オーナーにどうアドバイスして、収益を上げていくか。人事がつくった制度を基本にして、社員がそういうところまで考えていく。人事はそのように社員を仕向けなくてはいけないんです。

すべてを社員1人でやり抜く仕事って、ほとんどありませんよね。
「人」はチームで働きますから、それを評価の基本にしたんです。

前屋:今、ローソンの人事評価制度はどうなっていますか。

三隅:私がヒューマンリソースステーションディレクターになったのは去年ですが、それから2回、スーパーバイザーの人事評価制度を変えました。去年と今年ですね。制度をコロコロ変えるのは「安定性を欠く」なんて言われますから、普通の人事部だったらやらないと思いますけど。

それにもかかわらずやったのは、もちろん、理由があります。今年の制度を設計するについても、現場組織の3分の1くらいを訪ねて、マネジャーと部員に「どういうかたちで評価されたら納得するか」とか「どういうふうな制度ならやる気になるか」とかいったことをヒアリングしたんですね。これはヒューマンリソースステーションの皆が分担してやりました。

ドロ臭い方法だけど、そうした対話の中から制度を改めていけば、みんなが納得するものができあがると考えたんですね。「みなさんがリクエストしたものを、ちゃんと今度の制度に入れましたよ」って言えば、現場も逃げようがないでしょう(笑)。

前屋:去年と今年の評価制度では、どういう部分を変えたのですか。

三隅:去年は個人の競争を軸にした人事評価制度を導入したんです。すごく簡単に言うと、社員個人の実績を並べて、その順位で評価を決める制度でした。それを今年から、「自立した個人のいるチームの戦い」によって評価を決める制度に改めたんですね。

報酬の原資は、スーパーバイザーの地域ごとに分けられたチームに分配します。チームで協力して実績を上げない限り、原資は増えていきません。ただ、原資をチーム内で配分するやり方については、平等に行うのではなく、それぞれ個人の貢献度によって差をつけるようになっています。チーム内の個人の評価方法については一応のガイドラインはありますが、最終的にはチーム長が判断して決める。冷徹に判断しなければならない場面も出てくるでしょうが、それをやってこそマネジメントですからね。マネジメントのトレーニングという意味もあるわけですよ。とはいえ、そこを任せ放しにすると問題も出てくるでしょうから、ヒューマンリソースステーションが随時チェックすることになっています。

前屋:個人ではなくチームに重点を置くように改めた理由は、なぜですか。

三隅:すべてを1人でやり抜く仕事って、ほとんどないでしょう。「人」が働くのは組織やチームの中ですし、その中で個人が勝手に独立した仕事をしているわけではない。それぞれがチームの機能を分担することで、多くの仕事は成り立っていますね。個人ではなくチームに重点を置いたのは、まずそのようなことを考えたからです。

それに、社員個人が身につけたノウハウを自分ひとりで抱え込んでしまうと、組織として強くなれないでしょう。社員個人が獲得したノウハウはみんなで共有するほうがいいし、そのためにはノウハウを共有しやすい環境が必要です。チームの成績が上がると原資が増えて自分の収入も上がる、という評価制度にすれば、ノウハウの共有が促進されると考えたんですね。

でも、チーム内の分配を平等にしてしまうと、「タダ乗り」というか、あまり仕事をしなくてもチームの成績次第で高い報酬を受け取る人も出てくるかもしれません。ですから、チーム内の競争も残して、それをチーム長に評価させるような仕組みにしたわけです。

前屋:去年から今年とそのように人事評価制度を変えて、1年後、また来年も変えるということがあるでしょうか。

三隅:ありますよ。運用をして、今の評価制度に欠陥があるということになれば。

前屋:そのためには、また現場のヒアリングも必要になりますね。現場のヒアリングというのは、人事部の仕事というイメージがないのですが。

三隅:ヒアリング、やりますよ。これは自戒を込めて言うのですが、一般論として、今までの世の中の人事部という組織も現場の意見を聞いてきたと思います。でもどちらかというと、相手を呼んでという感じが強いような気がします。現場の実態を踏まえ、経営政策を実現するにはどうしたらよいか、という観点から、人事部のメンバーが自分から現場に出向いて、現場の社員と深い対話をするということはあまりなかったんじゃないでしょうか。もちろん、私も含めて皆が十分できているとはまだまだ言えませんが。

「社内の常識」で人事政策を決めていたら間違ってしまいますよ。
半年前と同じことをやるにしても、もう一度原点から考えないと。

前屋:現場と人事部で深い対話をしようと思ったら、まずは人事部のスタッフの意識を変えることが必要だと思いますが、ローソンのヒューマンリソースステーションのスタッフの意識改革には、どう取り組んでいますか。

三隅:意識改革と言えるかどうかわかりませんが、一つ、「我々はこういう仕事のやり方をしよう」というコンピテンシーみたいなものをつくったんですよ。それは何かと言うと、じつは当たり前のことなのですが、「仮説を立て、計画に落とし込み、実行した結果の検証をする。チームで仕事をする。チームメンバーとして個々人は責任ある仕事をする。周囲に目配りと気配りをしながら仕事をする」などということです。

仕事は仮説を基に計画を立て進めていくものですよね。その計画をチームでこなしていくためには、絶対にコミュニケーションが必要になってくる。だから、チームのみんなが目配りと気配りをしながら、わかりやすくかつタイムリーにコミュニケーションをとらなければいけない。そしてその根本にあるのは常に「なぜ」ということを問いながら仕事をしていくということです。「なぜ」を頭に置きながら仕事をしないと、言われたことしかできない、ルーティンワークしかできない人になってしまう。それではダメなんですよ。

前屋:三隅さんの下で仕事をするスタッフは、たいへんそう(笑)。

三隅:たいへんだと思います(笑)。半年前に私が「OK」と言ったのと同じ内容のものを今、また上げてきたら、「なんで?」って訊きますからね。「たしかに半年前はよかったかもしれないけれど、今も本当にそれでいいの?」って私は言いたいわけです。言われたほうは、「えっ?」となりますよ。でもそれが大事だと思うんです。

半年前と同じことをやるにしても、一度、「えっ?」って考えてみる。そこでいろんな観点から問い直してみて、本当にいいと判断できるんだったら、やっぱりやればいいんです。問い直して違っていたら、そこは変えていかなければいけない。だから私は質問を投げかけて、前例踏襲で同じことを繰り返すにしても、もう一度考えるところからやってもらっているわけですね。大事なのはまずは主体的に自分なりに考え抜くということだと思うんです。皆にしてみれば、うるさいし、嫌な上司だと思いますけどね。

でもね、「なぜ?」を繰り返すことで皆の意識は少しずつ変わってきたと思います。「自分で考えて仕事をしていくと、いい答えが見つかったり、うまいやり方が出てきたりするんだ、自分で仕事を企画することは大変だけど楽しい」と、少しわかってきてくれたような気がしますから。

たとえば、これまで、「ローソンのクルーさん(アルバイト)は、ほとんどが半年で辞める」と言われてきたんです。そのことを前提にして人事制度も考えてきた。しかし「本当か?」というところから調べてみたら、じつは平均の期間は2年以上あったんですよ。確かにクルーさんが不足しているのは大きな問題なのですが、採用と定着の問題は切り分けて考えないといけません。検証しない「社内の常識」で人事政策を考えていたら間違えます。だから私は、問い直すことからやってみようと、そう口を酸っぱくして言うわけですね。

前屋:そんな三隅さんをスタッフの方々はどう見ているでしょうか。

三隅:怖いなと思っているんじゃないでしょうか。それは、決していいことじゃないと思っているんですけど(笑)。メンバーのみんなに対して大きなものを求めているんだから、自分も成長しないといけませんね。短気なのを改めなきゃいけないとか(笑)。

前屋:なるほど(笑)。今日は、ありがとうございました。

(構成=前屋毅、取材=9月14日、東京・大崎のローソン本社にて)

インタビューを終えて 前屋毅

「ストア100」という100円ショップを新しくつくったかと思うと、わずか2カ月で閉店してしまったりする。「本気じゃないの?」と取材してみると、「本格的に展開するために実験している。開店と閉店を繰り返すことで、より良いビジネスモデルを捜している」という答えが戻ってきた。ローソンは「考えながら変わっていく組織」になろうとしている。人事部であるヒューマンリソースステーションも同じで、単純に理屈だけの枠を押しつけるのではなく、自ら考え、反省しながら、より良い答えを捜していく組織に変身しようとしているようだ。 「即戦力」が流行語のように使われている現在、「人材育成」を本気になって取り組んでいる人事部でもある。そういう姿勢が企業全体に好影響を与えないはずはない。「うるさい上司」である三隅氏の下で、どういう人材が育っていくのか、かなり楽しみでもある。

まえや・つよし●1954年生まれ。『週刊ポスト』の経済問題メインライターを経て、フリージャーナリストに。企業、経済、政治、社会問題をテーマに、月刊誌、週刊誌、日刊紙などで精力的な執筆を展開している。『全証言 東芝クレーマー事件』『ゴーン革命と日産社員――日本人はダメだったのか?』(いずれも小学館文庫)など著書多数。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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【用語解説 人事辞典】
NVC(非暴力的コミュニケーション)
ソーシャルスキル(社会技能)
アサーションを実践するために
ローカス・オブ・コントロール
MUM効果
パースペクティブ・テイキング
アンカリング効果
グローバル人材
プレゼンテーション
コミュニケーション