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株式会社リクルートライフスタイル:
成長を促すための風土づくりと、制度の独自運用がライフスタイルの特徴

株式会社リクルートライフスタイル 企画統括室 人事部グループマネジャー

飯田竜一さん

リクルートグループの人事施策を紹介するシリーズの第2回にご登場いただくのは、飲食や美容、旅行、学び、通販・割引チケット共同購入サービスなど、日常消費領域に関わる商品・サービスを提供していることで知られる、リクルートライフスタイル。同社では「人の成長なくして事業の成長なし、価値を生み出す源泉は人にある」として、個人に身に付けてほしいこと、会社が提供することを「人材マネジメントポリシー」としてうたい、組織と人材の改革を進めています。近年は、ITをツールとした日常消費領域に関わる事業を行っていることもあり、スピード感を持って新規ビジネスを創造する人材の育成が急務となっています。同社の人材育成に対する考え方と具体的な施策について、企画統括室人事部グループマネジャーの飯田竜一さんに伺いました。

Profile
飯田竜一さん
飯田竜一さん
株式会社リクルートライフスタイル 企画統括室 人事部グループマネジャー

いいだ・りゅういち ● 2001年、リクルート新卒入社。人材サービス事業部にて営業及び、キャリアアドバイザーを経験。旅行事業で、九州の地域活性担当を経て、リクルートライフスタイル人事部へ。人事部にて、採用、企画、人財育成、組織開発に従事。部活動では「食べ放題部」に所属し、関東圏内の食べ放題に出かけています。

リクルートライフスタイルの人材マネジメントポリシーとは?

 最初に、リクルートライフスタイルの人材マネジメントに対する考え方や施策の概要について、お聞かせください。

分社してから2年半が経ちましたが、人材マネジメントポリシーに関してはホールディングスのものを受け継いでいるので、ベースはあまり変わりません。 社員には「一人ひとりが起業家的精神を持ち、成長を続けること」を求めています。それに対して、会社側が「成長機会を提供する」という構図です。仕事はもちろん、教育の機会も十分に提供しています。社員には、「高い当事者意識を持ち、自律した人材」であってほしい。そのため、会社の中では、圧倒的な当事者意識」という表現をよく使っています。同時に、自律も大切にしています。自らを律し、成長することを志向する人を求めているからです。

人事制度として「ミッション・グレード制度」を使っているのは、他の事業会社と同じです。年齢や入社年次にかかわらず、いま任されているミッションレベルとそのアウトプットによって報酬(給与・賞与)を決定するというものです。各人には成長し続けることを求めていますが、弊社では能力開発の方針として「4つのスタンス・6つのスキル」(ロクヨン)を向上させていくことと定義しています。「ロクヨン」の向上が、そのまま個人の成長につながっていくというわけです。

また、「PVA(パーソナル・バリュー・アセスメント)」という360度評価を年に一度、実施しています。例えば、自分が「ロクヨン」の中で優れていると思っていることに関して、周囲の人はどう見ているのか。その違い(ギャップ)に気づき、そこからさらに成長することを求めています。

図1:リクルートライフスタイル人材マネジメントポリシー
図表:リクルートライフスタイル人材マネジメントポリシー

 人材戦略については、どのようにお考えでしょうか。

「身の丈を超えた仕事を与える」ことを重視しています。一つは異動の活用です。異動による効果・効用を期待しているからです。人間は、今の仕事から別の仕事に移るとその仕事に合わせようと、努力します。特に、今より大きい仕事の場合、よりその効果は大きくなります。それが、結果として、自分の力を高めることになります。。

これを、人の育成サイクルで説明してみましょう。まず社員が「身の丈を超えた仕事」が与えられ、何らかの成果を出します。本人は達成感を感じ、その成果を語り、他者から承認されます。すると自己の有能性を感じ、さらに自律的な行動につながっていくというサイクル。つまり、人は身の丈を超えた仕事を与えられると、その仕事ができるようになりたいと考え、自分を高めるために行動するようになります。コルブの「経験成長モデル」(機会→経験→内省化→持論化)にもあるように、私たちは機会や経験を与えることができますが、大事なのはそれを内省化・持論化し、さらなる成長へとつなげることです。これを先導し、伴走していくのがマネジメントの役割です。

図2:成果を語り、承認される。自己有能性を感じ、更なる自律行動
図表:成果を語り、承認される。自己有能性を感じ、更なる自律行動

 研修プログラムは、どのような構成になっているのでしょうか。

基本的に、研修プログラムは「ロクヨン」と連動し、体系化させています。「ディベロップメント(開発)プログラム」は「ロクヨン」を向上させ、会社としての人材力を高めていく研修。一方、「トレーニング(訓練)プログラム」は業務に直結するスキルを身に付けてもらう研修です。また、「ロクヨン」に関しては、「ライフスタイルビジネススクール(LBS)」を用意しています。

6つのスキルに関しては、「論理思考」「分析思考」などのベーシックな内容から、企画職のための「企画力集中アップ講座」などのアドバンスな内容を用意しています。一方、4つのスタンスでは、内省の機会を作るということを重視しています。例えば、1年目では「ジュニア・ディベロップメント・プログラム(JDP)」。入社後1年が経って、自分はできるようになった(できない)と思っているけれど、周囲はそれをどう見ているかをフィードバックするものです。次の「ステップアップ研修」は3年経った時に、あなたはこういうスタンスでこんなことができたとフィードバックしていくものです。そして、入社6年目・中途採用で28歳の人に対しては、自分のキャリアをどう描くのか、仕事としてどう自律的に成長していくのかを考える「志誠塾」を実施しています。

 成長を支援する風土づくりへの取り組みには何がありますか。

人材育成と同時に、我々は組織を活性化させていくことを重要視しています。そのために、社員の成長を支援するいくつかの取り組みを行っています。まずは「リクルートライフスタイルアワード」。年に1回、約4000人の従業員を集めて、「新規事業で新たな価値を生み出した」「事業領域を越えて新たな付加価値を創造した」など、イノベーティブな仕事を成し遂げた人や、事業戦略の上で貢献した人たちを表彰しています。これもまた、自分の仕事を振り返るためのもので、エントリーに当たって自分の仕事を内省し、それをシートに記入していくというプロセスを踏みます。選ばれた人は壇上で10分間、自分のやってきた仕事についてプレゼンテーションし、観衆に共感してもらうという内容です。

飯田竜一さん Photo

「ライフスタイリング」は、あらゆる人に新しいことを考えてもらうための事業提案制度です。「新しい毎日をつくろう」がキャッチフレーズで、新しい事業だけでなく、現場の改善なども含まれます。ただ、コンテストをやるだけではどういうことが新しいのか伝わらないので、そのためのフォローを行っています。まず、どういうプランが欲しいのかを経営者自らが発信するオリエンテーションの機会を設けています。その後、どうやったらプランが作れるのかという企画講座を何回か用意。社員は、自分のプランのどこがいけないのかを添削してもらった上で、コンテストに臨むというものです。

「部活動」は、社員の興味・関心を支援するものです。フットサルなどのスポーツやストリートダンスなどがありますが、これらの活動を通して部署を越えた人間関係が育まれます。横のつながりができ、事業を横断したビジネスの接点や人脈が生まれています。

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この記事ジャンル 能力開発関連制度

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【用語解説 人事辞典】
限界認知
静かな退職(Quiet Quitting)
行動インサイト
スパン・オブ・コントロール
チャンクダウン、チャンクアップ
予言の自己成就
互聴
パーソナルブランディング
ROI
人材マネジメントバリューチェーン