企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

人事・労務実態調査

会社は社員の「資格取得」をどこまでサポートしてくれる?
費用の援助から祝金・奨励金の支給、昇進・昇格の条件まで

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社員が公的・民間の資格を取得することを奨励し、金銭的な援助を行っている企業は少なくありません。業務を遂行するために必要な資格の取得に対する援助はもちろん、人材育成を目的として幅広く援助する企業もあります。また、能力主義が強まる中、能力を示す基準の1つとして保有資格を利用するケースもあります。働く社員の側にとっても、自己のキャリアアップにつながる資格取得に会社が何らか援助してくれることは大歓迎だと思いますが、では実際にその援助は今、どこまで進んでいるのでしょうか。企業の資格取得援助をめぐる事情について、労務行政研究所の調査をもとに探ってみます(注参照)。

8割超の企業が何らかの方法で社員の「資格取得」を援助している

企業が社員の資格取得を援助する方法として、「受験料・講習会参加費用など取得にかかった費用の援助」「取得時の祝金・奨励金支給」「取得後の資格保有者に対する手当の支給」があります。まずは、労務行政研究所の調査に回答を寄せた企業228社について、どんな援助を実施しているかを見てみましょう。表(1)をごらんください。

表(1) 資格取得の援助をしているか? <集計社数228社(%)>
表(1) メンタルヘルス対策が自社で課題となっているか?

最も多いのが「資格取得費用のみ支給」で32.5%と、ほぼ3社に1社に上っています。以下、「資格取得費用と祝金・奨励金を支給」が18.9%、「資格取得費用と資格手当を支給」が14.5%と続きます。3者いずれも支給するところは8.8%となっています。

いずれも支給しないケース、すなわち資格の取得に対して何も援助しないところは13.6%と、全体の1割を超えています。逆に言うと、8割台の企業が何らかの方法で資格取得を援助していることになります。

資格取得費用の援助に際して制限を設けているケースも少なくない

では、次に、「資格取得費用の援助」について、もう少し詳しく見てみましょう。資格取得に際しては、受験料や交通費、通信教育費用、講習会参加費用などがかかります。これらについて何らかの援助をしている企業は74.6%と、4社に3社の割合に上っています(表(2)参照)。

表(2) 資格取得のための費用(受験料・テキスト代・講習会参加費など)の援助をしているか?
<集計社数228社(%)>
表(2) どんなメンタルヘルス対策を実施しているか?(複数回答)

これを企業の規模別に見てみると、1000~2999人規模で81.6%と、援助する割合が高くなっています。また、産業別では、製造業(79.5%)の実施率が非製造業(69.8%)を約10ポイント上回っています。

資格取得費用の援助に際して、何らかの制限を設けているところも30.7%と、約3割あります(表(3)参照)。ここで言う「制限」とは、「援助期間の制限」や「受験回数の制限」、「合格時のみ援助」「通信教育費用は初回のみ援助」などです。「資格により異なる」ところも約2割(20.5%)あります。

表(3) 資格取得費用の援助に際して何らかの「制限」を設けているか?
<集計社数166社(%)>
表(3) 資格取得費用の援助に際して何らかの「制限」を設けているか?(複数回答)

「祝金・奨励金」「資格手当」を支給する企業は3社に1社の割合

資格取得時に一時金として祝金・奨励金を支給する企業は34.6%と、3社に1社の割合です(表(4)参照)。これを企業の規模別に見ると、1000~2999人規模では46.9%と4割台が支給していて、他の規模に比べて支給する割合が高く、また産業別では、製造業(38.4%)のほうが、非製造業(31.0%)よりも支給する割合が高くなっています。さらに、祝金・奨励金の金額については、資格によって幅があるものの、平均すると1万~3万円のところが多くなっています。

表(4) 資格取得時に一時金として「祝金・奨励金」を支給するか?
<集計社数228社(%)>
表(4) 資格取得時に一時金として「祝金・奨励金」を支給するか?

資格保有者に対して資格手当を支給する企業は32.0%と3社に1社で(表(5)参照)、祝金・奨励金の支給割合と同程度です。ただ、企業の規模別に見ると、3000人以上20.8%、1000~2999人30.6%、1000人未満34.2%というように、規模が小さいほうで支給する割合が高くなっている点が、費用援助や祝金・奨励金の支給状況とは異なる傾向と言えるでしょう。社員数の多い企業では相対的に資格保有者も多く、毎月手当を支給するとコスト増につながる、という背景があると見られます。

表(5) 資格を保有する社員に「資格手当」を支給するか?
<集計社数228社(%)>
表(5) 資格を保有する社員に「資格手当」を支給するか?

資格手当の支給に条件を設けている企業も少なくありません。表(5)の手当支給企業のうち64.4%が「業務に従事する場合のみ支給」としています。「資格保有者には無条件で支給」するところは23.3%と2割台。業務で実際に活用する資格を対象に手当を支給する企業が主流となっています。

資格取得を「昇進・昇格の条件」とする企業は20%以上

では、最後に、昇進や昇格に当たって、公的・民間資格取得を条件としている企業はどれくらいあるでしょうか。表(6)をごらんください。

表(6) 通信教育の修了や公的・民間資格の取得を昇進・昇格の条件としているか?
<集計社数228社(%)>
表(6) 通信教育の修了や公的・民間資格の取得を昇進・昇格の条件としているか?

通信講座の修了や公的・民間資格の取得を昇進・昇格の条件とする企業は21.0%と、5社に1社です。1000人未満の規模では18.2%と、3000人以上(25.0%)や1000~2999人(27.7%)に比べて、やや割合が少なくなっています。「その他」として、「条件にはしていないが、評価時に参考とする」というところもありました。

注)* ここでは、労務行政研究所が2004年10月6日から11月15日まで「公的・民間資格取得援助に関する実態調査」と題して行った独自調査の結果を基に、「日本の人事部」編集部が記事を作成しました。同調査の詳しい内容については『労政時報』第3650号(2005年3月25日発行)に掲載されています。
* 同調査の対象は、全国証券市場の上場企業および店頭登録企業3653社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)360社の合計4013社。そのうち228社から回答がありました。
* 表(1)(2)(4)(5)は、労務行政研究所の同調査の結果をもとに「日本の人事部」編集部が作成しました。また、表(3)(6)は、『労政時報』第3650号に掲載のものを転載させていただきました。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

人事・労務実態調査のバックナンバー

仕事と家庭の両立支援の現状は?
「配偶者出産休暇」は63.2%が付与
~民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況(労務行政研究所)~
人事労務関連のさまざまな制度の実施状況を明らかにするために実施した「人事労務諸制度実施状況調査(2018年1~4月実施)」から、「仕事と家庭の両立支援」に関する...
2019/04/12掲載
2019年賃上げの見通し―労使および専門家472人アンケート 
~定昇込みで6820円・2.15%と予測。経営側の38.1%がベアを「実施する予定」~
賃金交渉の最新動向がわかる!労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施した「賃上げ等に関するアンケート調査」から見える2019年賃上げの見通しは?
2019/02/13掲載
本誌特別調査
旧姓使用を認めている企業は67.5%
~民間企業440社にみる人事労務諸制度の実施状況(労務行政研究所)~
企業で広く取り入れられている18分野・191制度の実施率と10制度の改廃状況について調査した「人事労務諸制度実施状況調査(2018年1~4月実施)」結果を抜粋し...
2018/12/10掲載

関連する記事

『日本の人事部』がおすすめする「新任管理職(管理職昇格時)研修」サービス12選
新任管理職研修を導入する際の考え方、ポイントも分かりやすくまとめています。さらに、最新の「新任管理職研修」の中から本当におススメできる研修を『日本の人事部』編集...
2018/03/06掲載人事支援サービスの傾向と選び方
人事管理制度の実際
人事管理制度全般にかかわる「人事異動」「出向」「転籍」「退職」「定年制」「解雇」「昇進」「コース別人事管理」について紹介する
2017/06/30掲載よくわかる講座
人事制度構築フロー
人事制度構築はどのような手順で行うのだろうか。ここでは、既存の企業が人事制度を新たに構築する際の一般的なフローを見ていく。
2013/04/26掲載よくわかる講座
人事制度とは -意義・基本-
経営資源と言えば「ヒト・モノ・カネ」が挙げられるが、中でも重要なカギを握っているのはヒト、すなわち「人材」である。経営課題をつきつめていくと、最終的には「企業は...
2013/04/26掲載よくわかる講座
役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向
成果向上や能力発揮を促す処遇体系の導入に向け、これまでに多くの企業が資格・等級制度の見直しに取り組んでいます。これらとともに、育成・活用をねらった優秀者の選抜・...
2010/06/14掲載人事・労務実態調査
管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

注目コンテンツ


管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

今求められるコミュニケーション能力・マネジメント能力とは


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


大前提はノーマライゼーション<br />
障がい者を含め多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組む

大前提はノーマライゼーション
障がい者を含め多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組む

2018年4月1日に施行された「改正障害者雇用促進法」で、法定雇用率の...