相談相手としての人材紹介会社仕事関係の人はもちろん、 家族にも友人にも相談しづらい「転職」
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ほど良い距離感の相談相手
「転職したくても、誰に相談すればいいのかわかりませんよね」
あるとき、転職相談に来ていた転職希望者がふと漏らした一言で、「人材紹介会社の役割はこれなのかもしれない」という気持ちになったことがあった。求人情報を集めて提供することも大事だが、方向性があまりまとまってない人の「相談相手」、それも「聞き役」になることこそ、人材紹介会社に求められているのではないだろうか。
会社の同僚には、なかなか転職の相談ができない。たとえ仲の良い間柄でも、何かのはずみで他の人に漏れることがあるかもしれないからだ。上司に知られ、「転職を考えているんだって?」という話にでもなったら一大事である。
では、家族や友人ならどうだろうか。家族といえばまず親だろう。たしかに親身になってはくれるはずだが、世代が違いすぎて価値観があわないこともある。特に新しいビジネスやトレンドへの理解がある人はそう多くない。親心から必要以上に「安定」を重視してしまう傾向もある。
同世代の友人は、もっとも良い理解者にはなってくれるだろう。しかし、基本的に理解して応援はしてくれるが、同時に無責任でもある。転職市場に特に詳しいわけでもないので、「お前がやりたいようにやるのが一番だと思うよ」という結論になりやすいのだ。
その点、人材紹介会社は「第三者」という立場にある。転職希望者の話を客観的に聞くことができるし、もし無謀なことをしようとすれば止めるだけの知識や事例も持っている。また、人材紹介会社は多数あるので、「どうも話が合わないな」「言っていることがおかしいな」と思ったら、他の紹介会社に行けばいいのだ。この「後くされのなさ」も、活用する上では重要だろう。
「初めてお会いしたのに、長い時間、話を聞いていただいてありがとうございました」
そう言われることもあるが、逆に初めて会った相手だからこそ好きに話してもらえるのだと思っている。知り合いが相談相手では、あまりわがままは言えない。しかし、転職で後悔しないためには、わがままになるくらいでちょうどいいのだ。
将来は、転職相談に特化したAIなどができるのかもしれない。しかし、この「ほど良い距離感の相談相手」である人材紹介会社は、一定の存在感を持ち続けるのではないだろうか。
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