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人事の現場で活きる法令実務Tips―勤労者皆保険への取り組み

三菱UFJリサーチ&コンサルティング
コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット HR第1部 アソシエイト
向田 郁美氏

人事の現場で活きる法令実務Tips―勤労者皆保険への取り組み

社会保障の一環であり、主に企業で働く従業員の医療と年金を保障する被用者保険制度は、ここ数年で適用される企業や被保険者の拡大が続けられてきました。特に短時間労働者においては、適用となる企業規模の要件が2022年10月に「500名超」から「100名超」へ、さらに2024年10月には「50名超」へと拡大が予定される等、2年間で適用範囲が大きく広がる予定です。被用者保険制度は従業員と企業が保険料を折半する仕組みとなっており、従業員にとっては手取りが減ってしまう、いわゆる「年収の壁」問題の存在や、企業にとっては人件費増につながるといった問題があるため、必ずしも歓迎される改革ではないかもしれませんが、少子高齢化が進む日本において、社会保険適用拡大は避けられない動きでしょう。企業が社会保険加入のメリットをしっかりと理解し、従業員に対し医療・年金等の保障が増えるメリットを丁寧に説明することで、ひとり当たり就業時間の増加や新たな働き手の確保につなげる等、制度改革を企業経営に活用することが重要になってくるでしょう。本連載では、本稿で社会保険適用拡大の動きと今後の拡大の方向性、次稿で企業として求められる取り組みについて解説していきます。

「全世代型社会保障構築会議」における今後の社会保障の方向性

2021年11月~2023年2月にかけて、内閣官房の下、全世代対応型の持続的な社会保障制度の構築を目指した総合的な検討を行う「全世代型社会保障構築会議」が開催され、2022年12月に報告書としてまとめられました。今後の方向性を知るために、まずは報告書の解説から進めていきます。

「全世代型社会保障」の構築に取り組むべき理由としては、本格的な少子高齢化・人口減少時代に対処するために必要な取り組みであることが、冒頭で示されています。「全世代型社会保障」とは、これから生まれる将来世代も含めたすべての世代が安心できる制度であり、負担を将来に先送りせず、社会保障の「支え手」を増やすこと、年齢に関わりなくすべての国民がその能力に応じて負担し支え合うことが、基本理念として掲げられています[ 1 ]

そのうえで、「働き方に中立的な社会保障制度を構築し、労働力を確保する」方針が示されました。具体的には、国民のライフスタイルや働き方の多様化に対応し、働き方に左右されず、どのような働き方でも国民のセーフティネットが確保されること、国民所得の持続的な向上が社会保障制度の持続可能性を支えることが示されています[ 1 ]

では、今後、社会保険の支え手はどう拡大されるのでしょうか。これまでの社会保険適用拡大の経緯、そして国の方針について、次項から解説していきます。

これまでの社会保険適用拡大の経緯

社会保険適用拡大は、2016年10月から徐々に行われてきました。

まず、所定労働時間が「週30時間」から「週20時間」に拡大されました。従業員数については、「500名超」という企業規模要件が設けられました。それ以外に、「月額賃金8.8万円以上、年収で106万円以上」、「勤務期間1年以上見込み」といった要件が設けられています(勤務期間の要件は2022年10月に撤廃)[ 2 ]

従業員数については、2017年に「労使の同意があれば、企業規模500名以下であっても適用可」となる要件が加わりました。その後、2022年10月に企業規模「100名超」、2024年10月に企業規模「50名超」まで拡大が続きます。

また、短時間労働者の適用拡大とは別に、2022年10月には適用業種の見直しも行われており、それまで適用対象外であった「5名以上が働く個人事業主の士業」が適用となりました[ 2 ]

勤労者皆保険の実現に向け今後想定される適用拡大の方針

上記に述べた社会保険適用拡大は、さらなる見直しおよび拡大が検討されると、前述の報告書で示されています。

具体的には、短時間労働者の企業規模要件については、早急に撤廃する方向で見直しが提言されています[ 1 ]

適用事業所については、個人事業主である農林水産業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業等、非適用の解消が提言されています。ほかにも、現状社会保険適用ではない、適用業種で従業員5名未満の企業に対する適用が提言されています[ 1 ]

短時間労働者については、複数事業所で通算した場合に週20時間以上になる従業員への適用も提言されています。

フリーランス・ギグワーカーについては、労働者性が認められる場合、社会保険を適用する方法の検討から始める方向性が示されています[ⅰ]

また、国の指針とは別に、労働組合の中央組織「連合」が2023年5月、会社員に扶養される配偶者を対象とする「第3号被保険者の廃止」の検討を打ち出しました。今後実現した場合、制度の方向性によっては、働いている第3号被保険者は社会保険の支え手として、第2号被保険者に移行することが期待されています。

少子高齢化に対応し、持続可能な社会保険制度を構築するため、企業規模、業種、働き方等、さまざまな観点で社会保険の適用拡大が進んでいくことは、企業として避けられない状況です。

社会保険適用拡大に対する企業と従業員の動向

2023年5月、労働政策研究・研修機構は「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査) および「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)を発表しました。ここでは本調査結果に基づき、企業の対応状況や従業員の意向について確認していきます。

社会保険適用拡大は2016年より順次進められてきましたが、2016年時点ではその当時「適用の意向あり」と回答した企業は91.6%でした。

その後2022年10月に従業員101~501人まで適用が拡大した際は97.0%の企業が「適用の意向あり」と回答し、2016年当時よりも適用に対し前向きな企業の割合が増えていました。

一方、2024年10月に適用を控えている従業員51~100人の企業では、「適用の意向あり」と回答した企業が62.5%と、2016年、2022年当時と比較し適用に対して前向きな企業の割合が下がっています。適用しない方向で考えたい、短時間労働者の意向に任せると回答した企業の理由としては、従業員の意識や人件費増に対する懸念を挙げています [ 3 ]

【図表1】社会保険適用拡大に対する企業の意向
【図表1】社会保険適用拡大に対する企業の意向
【図表2】厚生年金・健康保険の新たな適用を回避する理由(複数回答可)
【図表2】厚生年金・健康保険の新たな適用を回避する理由(複数回答可)

(出所)労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査) および「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果[ 3 ]を基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

100人未満の企業では特に社会保険適用への意向が低い企業の増加が見受けられますが、今後は企業規模条件の撤廃が想定されており、より小規模な企業の短時間労働者への適用拡大は避けられません。また、社会保険適用が当たり前となっていく状況下では、あえて適用を避ける企業は従業員や求職者から敬遠され、労働力確保に悪影響を与える可能性もあります。勤労者皆保険に向け、企業と従業員が共に正しい制度理解と丁寧なコミュニケーションを取ることが求められます。

従業員が社会保険適用を選択した理由は

それでは、過去の社会保険適用拡大時に、短時間労働者が適用される社会保険へ加入した理由は何でしょうか。

先述の調査では、2022年の適用拡大時に社会保険適用を受け入れた理由として「勤め先から(加入するよう)言われたから」が44.3%と最も多く、企業からの働きかけがきっかけであることが分かります。一方、加入しなかった理由では、手取り収入の減少など金銭的な理由が大半を占めています。短期的な目線では社会保険加入による手取り収入の減少など金銭的なデメリットはあるものの、加入によるメリットを詳しく理解できていない可能性もあります。

【図表3】厚生年金・健康保険に加入した理由(複数回答可)
【図表3】厚生年金・健康保険に加入した理由(複数回答可)
【図表4】厚生年金・健康保険に加入しなかった理由
【図表4】厚生年金・健康保険に加入しなかった理由

(出所)労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査) および「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果[ 3 ]を基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

従業員へ社会保険加入のメリットを丁寧に説明

まず、企業は適用が拡大される従業員に対し、早めに丁寧な説明を行い、特に加入することによるメリットを訴求しましょう。

老齢年金の増加については、厚生労働省による「社会保険適用拡大特設サイト」にある従業員向けガイドブックや、より詳細な計算が可能な「公的年金シミュレーター」のサイトを用い、従業員に具体的な金額とメリットをイメージしてもらうことも良いでしょう[ 4 ][ 5 ]

老齢年金の他にも、障害を負った場合の障害年金や、配偶者が亡くなった場合に支給される遺族年金など、年金の保障範囲が広がることもメリットとして挙げられます[ⅱ]

健康保険も保障が広がります。具体的には働くことが困難な場合に支給される「傷病手当金」や、出産を理由に会社を休んだ場合に支給される「出産手当金」が支給対象となります。[ 4 ]

また、自ら保険料を支払っている「第1号被保険者」は、保険料の半額が会社負担となることで今より保険料が下がる可能性があります。ガイドブック上に金額の目安が記載されているため、併せて説明しましょう[ 4 ]

企業に対する国からの支援

長期的な目線では適用が望ましいと理解できても、社会保険料の増加や新たな手間が増えるため、負担に感じている企業も多いでしょう。以下のような公的な支援を活用することも一考です。

今後社会保険料として企業が負担すべき金額を把握する場合、「社会保険適用拡大特設サイト」内の「社会保険料かんたんシミュレーター」を用いて試算ができます[ 6 ]

従業員とのコミュニケーションでは、「専門家活用支援事業」の活用も可能です。必要な対応、手続きに関するアドバイス、従業員への説明サポートなどについて、社会保険労務士などの専門家派遣による支援を受けることができます[ 4 ]

経営上の支援としては、独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する経営課題の解決に向け専門的な提案を行う「よろず支援拠点」や、中小企業の生産性向上を継続的に支援する「ものづくり補助金」、「IT導入補助」などがあります[ 4 ]

従業員の処遇改善などに支給されるキャリアアップ助成金では、有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用した場合などに支給される「短時間労働者労働時間延長コース」などがあります[ 4 ]

また、2023年10月より、従業員の社会保険料を肩代わりした企業に対し、一人当たり最大50万円の助成金が支給される仕組みが適用されました[ 7 ]

なお、助成金は支給条件等に関し毎年度見直しが行われるため、申請を希望する場合は社会保険適用の時期を考慮した上で支給条件の確認を行う必要があります[ 4 ]

人口減少社会において、勤労者皆保険は社会保険制度を維持するために避けては通れません。負担増の側面もありますが、既存の労働力を最大限活用し、社員の定着を図るという点では企業に、現在や将来に向け、社会保障で守られる範囲を拡大するという点では従業員に、それぞれメリットがあります。必要に応じて専門家の力を借りつつ、制度の内容とメリットをしっかり理解した上で適切な対応を行っていきましょう。

[ 1 ] 全世代型社会保障構築会議報告書(cas.go.jp)(最終確認日:2023/8/21)
[ 2 ] 年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大(mhlw.go.jp)(最終確認日:2023/8/21)
[ 3 ] 中原 慎一、渡邊 木綿子、多和田 知実「『社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査』(企業郵送調査) 及び『働き方に関するアンケート調査』(労働者 Web 調査)結果」(2023年5月16日)独立行政法人労働政策研究・研修機構(最終確認日:2023/10/16)
[ 4 ] 「社会保険適用拡大特設サイト」厚生労働省(最終確認日:2023/10/16)
[ 5 ] 「公的年金シミュレーター」厚生労働省(mhlw.go.jp) (最終確認日:2023/10/16)
[ 6 ] 「社会保険料かんたんシミュレーター」厚生労働省(最終確認日:2023/10/16)
[ 7 ] 「『年収の壁・支援強化パッケージ』について」(2023年9月29日)厚生労働省(最終確認日:2023/10/16)

【関連レポート・コラム】
<人事の現場で活きる法令実務Tipsシリーズ>
人事の現場で活きる法令実務Tips―障害者雇用(1)~法律の解説~
人事の現場で活きる法令実務Tips―障害者雇用(2)~これからの障害者雇用について考える~

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

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雇用保険マルチジョブホルダー制度
傷病手当金
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