平成は非正規雇用拡大時代~パート賃金クロニクル~
アイデム人と仕事研究所
関 夏海(せき なつみ)
2000~(平成12年~)
有効求人数が増える
1990年代後半から非正規雇用者数が増えていく一方、正規雇用者数は減少し、労働者に占める非正規雇用者の割合が高まっていきます。有効求人数は2006年まで上がり続け、2006年は全体で年平均230万件と1994年の約2倍、パートタイムは72万件で1994年の3倍超となりました。
求人件数の高まりに合わせ、2000年を過ぎてからパートの平均時給もほとんどの職種で上昇傾向にあり、2000年から2006年までに約50円ほど上がっています。徐々に採用が難しくなり、「時給を高くして人に来てもらおう」という動きにも読み取れます。
最低賃金と生活保護の逆転現象
このころ、時給に関する問題が注目されました。最低賃金額で働いた場合の手取り収入が、生活保護での収入を下回る逆転現象です。2000年の東京都の最低賃金は703円、2006年は719円で、6年で16円しか上がっていません。
そこで2007年、最低賃金法が改正され、生活保護との整合性に配慮すること、適用除外規定を廃止して減額特例許可規定を新設するなどの対応がとられました。東京都は逆転幅の乖離が大きく、この後、最低賃金が引き上げられていきます。
リーマン・ショック
2008年に、世界に衝撃を与えた出来事がありました。アメリカで発生したリーマン・ショックです。日本への影響も大きく、雇用情勢は悪化。新卒をはじめ就職が困難になり、第二就職氷河期ともいわれています。パートの平均時給はそれまで上昇を続けていましたが、2009年から若干低下、その影響は2012年まで続きます。
★リーマン・ショックと派遣切り★
2008年9月15日、アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻し、日本では新卒の内定取り消しやリストラが敢行されました。雇用形態を問わず求人数は激減し、失業者が激増、「派遣切り」という言葉が世間をにぎわせました。派遣契約期間内の中途解除や雇止めが多発したのです。住み込みで働いていた人たちは職も住処も奪われることになり、複数のNPOや労働組合が2008年末に東京・日比谷公園で、年越し派遣村という避難所を開設しました。以降、非正規労働者と正規労働者との格差是正に対する議論・動きが活発化していきました。
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