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『ビジネスガイド』提携

「社外からの 社外への」×「セクハラ パワハラ」対応策

弁護士

岸田 鑑彦(杜若経営法律事務所)

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1 パワーハラスメントの外縁

少し前になりますが、財務省の事務次官による女性記者への発言や、レスリングの監督による選手への言動が問題になり、その報道において、「セクハラ」、「パワハラ」という表現が用いられました。

これらは、一つの職場内における人間関係を前提としたセクハラ・パワハラではありません。そのためこれらをセクハラ、パワハラ問題というくくりで捉えてよいのかという疑問が生じます。

この点、言動の是非が問題であり、(職場内を前提とした)セクハラ、パワハラの定義に厳密にこだわらず、セクハラ、パワハラ問題として捉えるべきであるという意見もあるでしょう。逆に、セクハラ、パワハラは、職務上の地位や優位性の利用、業務の適正な範囲を超えるものというように、職場内における人間関係を主に想定し、その防止を従業員に規律していることを考えれば、厳密に定義すべきであり、定義に当たらないものについては、セクハラ、パワハラと表現すべきではないのではないかという意見もあるでしょう。

「社外からの 社外への」×「セクハラ パワハラ」対応策

個人的にはどちらの意見も正しいと思います。社会的に、職場環境的に、法的に許されない行為という意味で用いる場合には、広くセクハラ、パワハラと呼んでも、会社がすべきことに変わりがないからです。

もっとも、実務上は、セクハラやパワハラに該当しないものについてもセクハラ、パワハラに該当すると主張し、会社に安全配慮義務違反の責任追及をしてくるケースもあり、セクハラ、パワハラの外縁はある程度明確にすべきです。

平成30年3月30日に厚生労働省から公表された「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書(以下、「報告書」という)においても、「相談に来た被害者が一方的な主張をしており、被害者にも非があるのではないかと思われるケースや、調査の結果、被害を主張していた労働者が反対にパワーハラスメントの行為者であったことが発覚したケース、また、客観的にはパワーハラスメントではなかったにもかかわらず行為者とされて退職した者が、企業に責任を追及したケース等、さまざまな事案について示された」との指摘があり、「企業内の相談窓口に寄せられた相談のほとんどが、何らかの感情の動きをパワーハラスメントという言葉に置き換えた相談であり、本当にパワーハラスメントに該当すると思われる相談は全体の1割弱であったという意見も示された」との記載もあるように、ハラスメント対応をする人事担当者としては、セクハラ、パワハラの定義をはっきりさせてもらわないと困るというのも事実です。

本稿のテーマである社外からのセクハラ・パワハラ、社外へのセクハラ・パワハラについても、これをセクハラ、パワハラというくくりで捉えるか否かという議論もありますが、その議論に惑わされず、社内のセクハラ、パワハラとの相違点を整理し、事案ごとにどのような対応を取るべきかを検討するということが先決だと考えます。


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