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タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ【第21回】
これからのキャリア開発:「スキル見直し研修」から「キャリア開発研修」へ

法政大学 キャリアデザイン学部 教授

田中 研之輔さん

タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ

令和という新時代。かつてないほどに変化が求められる時代に、私たちはどこに向かって、いかに歩んでいけばいいのでしょうか。これからの<私>のキャリア形成と、人事という仕事で関わる<同僚たち>へのキャリア開発支援。このゼミでは、プロティアン・キャリア論をベースに、人生100年時代の「生き方と働き方」をインタラクティブなダイアローグを通じて、戦略的にデザインしていきます。

タナケン教授があなたの悩みに答えます!

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人事白書2021』が刊行されました。人事やキャリア関連の業務を担当している人にとっては、必読ですね。私は「育成」のセクションの監修を担当し、「人材育成の現状とCX(=キャリアトランスフォーメーションの課題)」について解説しています。前回のプロティアンゼミ『今こそ、CXの推進を!』とあわせて読んでみてください。
 
さて今回は、これからのキャリア開発のフォーカスポイントについて、皆さんと洞察を深めていこうと思います。まず、こちらをご覧ください

図1:自社の育成施策によって、従業員を育成できていると感じますか
図1:自社の育成施策によって、従業員を育成できていると感じますか

(出典『人事白書2021』p.110)

こちらは、「自社の育成施策によって、従業員を育成できていると感じますか」という問いに対する回答をまとめたものです。育成施策の効果を「あまり感じない」(52.4%)、「全く感じない」(12.5%)という結果に対して、私は強い問題意識を抱いています。ちなみにこの結果は、昨年度とも大差がないものです。

簡潔に述べるなら、大半の企業において育成施策が十分に機能していない状況が続いている、ということです。

これからの組織に必要なのは、経営戦略、事業戦略、キャリア戦略、この三つの戦略を連関させながら社会変化に適合させ、生産性と競争力を高めていくことです。このキャリア戦略の重要部分を占めるのが、育成施策なのです。(*この背景については本連載第11回『今、必要なのは、キャリア戦略会議!』で述べています)

育成施策に関する悩みや課題が山積みになっています。人事担当者の研修知見の低さ、経営陣の理解のなさ、研修参加への意欲の低さなど(『人事白書2021』 p.112)、耳の痛い内容が続きます。

このまま放置するようでは、企業現場は改善されません。問題があると感じるなら、早急に、抜本的な対策に取り組んでいくことが人事担当者の使命です。本連載では最新のキャリア知見をお伝えしているので、キャリア論への理解が不足していたり、研修知見が足りなかったりする方は少ないと思います。ただ、私を含めて、皆さんもプロとしての自覚をもち、常日頃から研さんを続けなければなりません。

以下は、キャリア開発研修を実施している企業に実施頻度をたずねた結果です。

図2:キャリア開発研修をどのくらいの頻度で行っていますか
図2:キャリア開発研修をどのくらいの頻度で行っていますか

(出典『人事白書2021』p.118)

キャリア開発研修は、「年に一度」の組織行事なのですね。年に一度なので、実施時間は下記の通り、6 時間以上8時間未満(20.4%)、1日から3日間(23.1%)と、集中的にキャリア開発が実施されています。

図3:キャリア開発研修に1回あたりどのくらいの時間をかけていますか
図3:キャリア開発研修に1回あたりどのくらいの時間をかけていますか

(出典『人事白書2021』p.119)

育成施策としてキャリア開発研修が思うようにいかないのは、実施頻度と実施時間に問題があります。一言でいってしまえば、効果的なやり方で実施されていないのです。まず、この点を共通認識として持つべきです。

社員同士の「ハレ(=非日常)」の機会として、通過儀礼や運動会的な意味合いでの年に一度のキャリア研修ではなく、常日頃からキャリアに向きあい、改善する「ケ=日常」の機会にしなければ効果は上がりません。(*この点は、第15回の連載『キャリア開発研修を「違反者講習会」にしないために、今こそ刷新を!』でも触れています)

実施頻度や実施時間だけでなく、実施内容、改善が必要でしょう。キャリア開発研修で重視されているのは、「スキルの見直し」(83.3%)です。

図4:キャリア開発研修では具体的にどんな内容を学んでいますか
図4:キャリア開発研修では具体的にどんな内容を学んでいますか

(出典『人事白書2021』p.121)

これまでの結果をまとめると、育成施策の鍵を握るキャリア開発は、「年に一度、1日かけて、スキルの見直し」が実施されているといえます。しかし、年に一度のスキルの見直しでは、今の社会変化には到底ついていくことができません。日頃からスキルアップに、意識的に取り組んでいかなければなりません。

このような問題意識に基づき、私はすでに複数の大企業で「これからのキャリア開発研修」を導入しています。頻度は月に1度、時間は最大1.5時間、内容はキャリア戦略という研修です。参加は任意、人事担当者によるアサイン、いずれの形式でも可能です。

ZoomやTeamsなどのオンラインツールを用いることで、全国各所からの参加が可能です。従来型の集合研修は、新幹線や飛行機で本社に集まることで、研修コストもかかっていました。

キャリア開発研修では、「これまで何をやってきたか」を確認するのではなく「これから何をするのか」についての戦略会議を実施します。過去の棚卸しではなく、未来のデザインにフォーカスします。

本連載で何度も触れてきたように、キャリア自律型の最新知見であるプロティアン論では、アイデンティティとアダプタビリティを重視しています。これまでの育成施策はアイデンティティワークに重きが置かれていましたが、これからのキャリア開発研修では、アダプタビリティワークを導入していきましょう。

私はプロティアン・キャリア論の理論枠組みを伝えながら、(1)現状の業務の課題、(2)業務課題に対する具体的な解決施策、(3)今日からできるキャリアアクション、(4)これからのキャリア戦略設計について、参加者全員にチャットに書き込んでもらうようにしています。

チャット形式は、非常に盛り上がります。同時に数百以上の発言がチャットに書き込まれるので、リアル研修の発言機会とは比較になりません。月に1度のたった1.5時間でも、十分な効果があります。私の経験からすると、短時間で集中的に実施する方が、キャリアの気づきを与えることにつながり、研修の効果を上げることができます。

キャリア開発研修の最大の目的は、「参加者の人的資本の最大化」にあります。目の前の業務でキャリアにブレーキがかかっている状態であれば、その要因を解明し、一つひとつ解決していくことでキャリアにアクセルがかかります。

組織はキャリアの抑制機関であってはならない。
組織はキャリアの促進機関でなければならない。

そのためのチェンジ・エージェントとして、企業の最前線で重要任務を任されているのが、人事担当者の方々なのです。昨年度までの研修を継続することが楽なのは、百も承知です。しかし、育成施策や研修効果が思うようにいっていないのであれば、あきらめてはいけないのです。

人事担当者が育成や研修に期待しなくなったとき、企業の成長はストップします。人事施策を通じて企業を成長させている人事の方を、私は何人も知っています。研修効果は上がらないのではなく、研修効果を上げるための施策を考え抜くのです。

経営者を説得し、一人でも多くの社員を主体的にキャリア開発研修に参加させていくきっかけ、ストーリー、仕組みを総合的に構築していくのが、人事の役割。

もちろん、労務管理に関する業務も大切です。しかし、これからは、人的資本の最大化を実現する育成施策のデザインとキャリア開発研修の実質的運用を担うことも、人事担当者の役割として求められてきます。

経営戦略や事業戦略に集中することで、業務過多が生じていたり、生産性が低下したりしている要素を的確に発見し、いち早く具体的な改善策を組織に埋め込んでいくのが、人事担当者の仕事なのです。

形式的で効果がでていない育成施策の運用は、やめましょう。

戦略人事という言葉に込められているのは、人事やキャリアに限った戦略ではありません。経営戦略と事業戦略をつなぐ、企業現場の「一丁目一番地」の一挙手一投足を考え抜くことなのです。

また、機会があるとき、皆さんがデザインするキャリア開発研修の取り組みについて聞かせてください。


田中 研之輔さん(法政大学 教授)
田中 研之輔
法政大学 キャリアデザイン学部 教授

たなか・けんのすけ/博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事。UC. Berkeley元客員研究員、University of Melbourne元客員研究員、日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学。社外取締役・社外顧問を23社歴任。著書25冊。『辞める研修 辞めない研修 新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。新刊『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』。最新刊に『ビジトレ 今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』。日経ビジネス、日経STYLEほかメディア多数連載。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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この記事ジャンル キャリア開発研修

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