“障がい者が力を発揮できる仕組み”が会社を強くする
~富士ソフト企画に聞く 障がい者雇用の可能性~

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富士ソフト企画株式会社 遠田千穂さん

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障害者雇用促進法の改正により、平成30年4月1日から法定雇用率の算定基礎に精神障がい者が加わりました。どう対応すればいいのか、人事の方々にとっては気になるところではないでしょうか。そこで今回は、障がい者雇用の先駆けである富士ソフト企画 人材開発部長・カウンセリング室長の遠田千穂さんに、障がい者雇用の実状についてインタビュー。遠田さんのお話からは、障がい者雇用がもつ大きな可能性を感じることができました。
(聞き手:株式会社natural rights代表取締役 小酒部さやか)
■プロフィール
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遠田千穂さん
富士ソフト企画株式会社 人材開発部長、カウンセリング室室長、秋葉原営業所所長
大学にて臨床心理学を専攻し、在学より自衛官中央病院精神神経科外来、病棟カウンセラーとして勤務する。その後、公立学校の教員研修期間にて、研修システムの開発に携わり、商社勤務を経て富士ソフト企画に入社。現在、人材開発部長、カウンセリング室室長、秋葉原営業所所長。

障がい者同士が支え合うからチームがまとまる

――まず、富士ソフト企画の障がい者雇用の状況からお聞かせいただけますか。

弊社は、富士ソフト株式会社の特例子会社で、ほとんどの従業員が「障害者手帳」を持っています。秋葉原では身体、知的、精神、発達障がいを持つ18名の従業員が勤務しています。横浜は4障がい(※)の従業員が46名、長崎では身体障がいの従業員が9名、大船は4障がいの従業員が90名勤務しています。

※4障がいとは一般的に、「身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者」を指します。

業務内容は、富士ソフト内で派遣の方が担当していた仕事を引き継いでいます。大船は外部からの仕事が多く、Webや名刺、パンフレットのデザインを行っており、クリエーターが多く在籍しています。どんなに重い知的障がいの人も、一人一台パソコンを使って業務を行っています。これは、障がいを持っていてもパソコンがあれば仕事ができるという、富士ソフトの理念です。

――障がいのある方の割合はいかがでしょうか。

どの職場でも、9割の従業員が障害者手帳を持っています。親会社からの出向はごくわずかで、健常者は社長と取締役くらいです。一般的に、特例子会社には親会社からの出向者がたくさんいて、その下に障がい者の方が働いていることが多いようですが、弊社は違います。

障がいのある従業員の内訳は、事業所によっても異なりますが、半数は精神障がいで、そのおよそ半数が統合失調症です。統合失調症の場合、幻覚や幻聴といった症状がありますが、月一回程度病院に通って薬をもらっていれば、職場で困ることはほとんどありません。幻覚があっても、本人が自覚するようになりました。

精神障がいのうち、2~3割がそううつ病、1割がアスペルガーです。天才的な人もいて、TOEICで900点を取った人が四人いますし、精神保健福祉師という難しいカウンセラーの資格を取った人も二人います。そのほかに身体障がい、知的障がい、発達障がいのある人がそれぞれ同じくらいの割合いて、重度の障がいをもつ人も大勢います。

――健常者がいない現場を運営するのは、大変ではありませんか。

障がい者雇用がうまくいかない会社では、障がいのある人を一人ずつ、恐る恐る採用しています。しかし、同期入社で同じ境遇の人がいた方が、「私が辞めると○○さんが一人きりになってしまう」と考えるので、退職へのストッパーになります。弊社は一度に10~15人をまとめて採用していますが、これがうまくいっている大きな理由だと思います。

――それだけの人をまとめるのは、健常者同士であっても大変だと思うのですが、障がいの方の場合はいかがでしょうか。

むしろ障がい者同士だからこそ、まとまる面があると考えています。例えば精神障がいで入院していた人の中には、引きこもっていた人が少なくありません。確かにその時は、周囲の人の負担になっていただろうし、病院でも手がかかっていたと思います。しかし職場に来ると、他の障がい者をサポートしなければならず、丁寧な意思疎通や我慢が求められます。このように一人ひとりが自分の立場を考え、責任感を持って仕事をしているから、自然にチームの結束力も高まっているのです。また間違いなく、本人の病気にも良い影響を与えています。

――互いにサポートし合うからチームがまとまる、ということですね。

その通りです。弊社では4障がいのある人が、一つのセクションで一緒に働いています。「知的」「身体」とセクションを分けている企業も多いようですが、弊社では絶対に分けません。何が良いのかというと、知的障がいの人が、精神障がいの人をサポートしているうちに、少しずつ物事の理解が進むからです。

他の人のサポートをすることで、精神障がいの人は、少しずつですが薬が減っていきます。同様に発達障がいの人は、少しずつ協調性を獲得していきます。また、身体障がいの人は、運動能力が回復します。自分と異なる障がい者をサポートすることで、自分の病気を軽減することにつながっているのです。発達障がいの人が「この人たちは耳が聞こえないから、自分が電話をとらないといけない」と自発的にサポートしてくれるようになりました。


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