雇用契約における就業時間の考え方について
現在新しい働き方の仕組み作りの一環で、社内の人事制度更改を検討しています。
一般的な雇用契約(正社員)で9:00~17:30(休憩:1h)などの内容になっている人が、副業を行いたいと思ったとき(社内に禁止規定などはない前提)に、9:00~17:30の時間帯の一部を使って、副業の仕事を1h行い、17:30~18:30で本業の仕事を行う事によって、『本来の職務と重複する兼職』という状況を回避するという考え方は成立するでしょうか。
また、もし時間固定の契約内容が障壁となる場合、変形労働時間制やフレックスタイムのような考え方を本業側の会社が持っていてその仕組みを利用した場合には、成立するものでしょうか。
投稿日:2017/04/27 14:31 ID:QA-0070322
- イムさん
- 大阪府/情報サービス・インターネット関連(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、副業はあくまで当人が希望して行うものですので、御社が同意さえすればどのような勤務時間になっても特に差し支えはございません。
但し、通常の勤務時間帯内での副業となれば、情報漏洩等の重大なリスクが高まるものと思われます。加えまして、業務の中断による効率性の低下という点でも影響が生じる可能性が高いですので、特別な事情でもない限りそのような勤務を認める事は避けるのが妥当とはいえるでしょう。
投稿日:2017/04/27 20:02 ID:QA-0070329
相談者より
ご回答ありがとうございました。
追加の質問のようになってしまうと、こちらのサービス的によろしくないのかどうかわかりませんが、『通常の勤務時間帯内での副業となれば、情報漏洩等の重大なリスクが高まる』と言う点が理解できませんでした(※)が、そのほかの点については大変勉強になりました。
※『通常の勤務時間帯内での副業ではなかった場合』と、『通常の勤務時間帯内での副業の場合』との比較において情報漏洩等の重大なリスクが高まる理屈が理解できなかった点です。
投稿日:2017/04/28 16:05 ID:QA-0070347大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
認めるべきではない
▼ 就業規則は会社と社員との雇用上のルールブックですから、副業禁止の記載がなければ、副業は可能ということになります。但し、記載がなくとも副業することによって、会社に不利益となり得ることが生じる場合、制裁を受ける可能性はあります。
▼ 雇用契約により、社員側には、忠実な労務提供という債務が発生しますが、「債務の本旨に従わなければならない」という民法の定め(第415条)が適用され、本旨に従った履行をしな場合は、損害賠償の請求対象となります。
▼ 以上、踏まえれば、「所定労働時間中の一部を副業に充てることを認める」というのは、「理屈としてあり得ても、実態的には、本業に影響を与えず、且つ、労働時間の実効的遵守は、略、不可能に近い」ことに等しく、会社として認めるべきではありません。これを機に、兼業禁止規定の策定、実施をお薦めします。
投稿日:2017/04/28 10:33 ID:QA-0070340
相談者より
ご回答をありがとうございました。
従来法律の原理原則が、どのような仕組みで縛りを設けているかと言う点について、大変わかりやすくご説明いただけたことで、法曹関係は素人の私にも理解することが出来たと思います。
『副業することによって社会に不利益となり得ることが生じる場合』や『忠実な労務提供と言う債務履行をしない場合』と言ったようなクダリを見るにつけ感じたのは、性悪説を基本に現在の仕組みが出来上がっている(そうせざるを得ない背景があったのかな?)と言う事です。
一方で、『副業することによって社会に不利益となり得ることが生じない仕組み』や『忠実な労務提供にあたる債務履行を保障する仕組み』が有った時はどうなるのだろうか?と言う更なる疑問も湧きました。
ともあれ、グローバル社会において既に取り残され気味な日本国の深層課題に対する打ち手として、時代(価値観、市場、社会情勢などなど)の変化に適応し変化しながら新しい価値創造を行っていくための仕組みを整備するに当たって、乗り越えるべき障壁(の一部)がどのようなものであるのかと言うことを垣間見ることが出来たような気がします。
重ねて感謝いたします。
投稿日:2017/04/28 16:22 ID:QA-0070348大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
ご文面の「※『通常の勤務時間帯内での副業ではなかった場合』と、『通常の勤務時間帯内での副業の場合』との比較において情報漏洩等の重大なリスクが高まる理屈が理解できなかった点」について補足させて頂きます。
後者の場合ですと、御社業務に時間的にも場所的にも近接している状況から、例えば類似する業種の副業をされていたり、或いはネット利用の副業をされていたりしますと、安易に副業の場面で御社の情報を利用されたり流布されたりする可能性が高まることが想像されます。会社が考える以上に、通常個々の従業員の情報に関わるコンプライアンス意識は低いですので、過度の信用は禁物といえるでしょう。
勿論、当方ではどのような副業が行われるのか、そしてどのような形式において副業に従事されるのか詳細までは知りえませんので、あくまで一般論として回答させて頂いた次第です。
御社で常に万全の情報管理をされており、副業によるリスク発生が全く考えられないという状況であれば、現状を把握している御社自身で責任を持って判断し対応して頂くことで差し支えございません。
投稿日:2017/04/28 19:18 ID:QA-0070349
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