派遣社員の業務上の負傷
いつも参考にさせて頂いております。当社の派遣社員が作業中の負傷で現在も休業しております。階段を降りる途中足を滑らせ、膝と足首を強打し、その際足首は激しくひねってしまいました。足首は骨折し、膝は半月盤を損傷し、手術までしました。現在は、経過が順調に行っているとはいえ、相当な重症になり、仕事も出来ない状態です。リハビリは行っていますが、復帰の目処は立っていません。当然、派遣元が労災で申請し、本人が受給もしていますが、収入が激減し、通常の生活もギリギリらしいです。確かに、「派遣元の責任で」ということなのでしょうが、当社内での事故ですし、階段に手摺のない箇所での事です。当社では、対応(補償)といったことが全く話し合われていません。派遣元があるからという事で、何も対応していないのか私には分かりませんが、このまま放置して良いものかどうか・・・会社としてというよりも、人間としてこのままで良いのかと思う時もあります。適切な対応、考え方をどなたか教えて下さい。本人と直接話をすることも多く、本当に気の毒で仕方ありません。ただ、私も「会社の対応」ということでしたら、勝手な事は出来ないので、悩んでいます。
投稿日:2006/09/05 11:47 ID:QA-0005911
- *****さん
- 大阪府/輸送機器・自動車(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の業務上の負傷
■派遣労働者との労働契約上の安全保護義務は一義的には派遣元にあり、労災事故に際しては、療養給付や休業補償を行わなければなりません。実際は、今回の事例のように、労災保険の給付(休業4日目から賃金が受けられない期間は、給付基礎日額の8割(6割と2割の特別支給金)のみでは、賞与の支給もなければ、年収は半分くらいに減ってしまうでしょう。企業によっては賞与を100%支給したり、月例給与と月額給付の差額を補填したりするなどの措置を講じるところもありますが、これは少数派でしょう。
■然し、安全保護義務に違反して派遣労働者を労働災害にあわせた場合には、たとえ、労災の保険給付が行われたとしても、派遣元事業主には相当な損害賠償の義務が生ずるものです。この安全配慮義務とは、使用者の物的、人的管理を尽くして労働災害の危険から労働者を保護して使用する義務のことで、具体的には、物的とは、場所、施設、器具等をいい、人的とは、使用者の指示の下、作業や行動、操作等を行うことを言います。
■<階段を降りる途中足を滑らせた>ことが、100%ご本人の不注意に原因があれば、派遣元には責任は問えなくなります。そうでなければ、派遣元だけではなく、直接の就労を指揮命令する派遣先事業主も、損害賠償の義務を負っていると考えられます。(判例)一義的責任は派遣元が負うといっても、異なる現場における安全を直接管理できるのは、派遣先です。そのような意味で、御社におかれて、何らかの「見舞金」に類する経済的援助の可能性を、上司を通じてご検討されては如何でしょうか? 個人でできることは殆んどないと思います。
投稿日:2006/09/05 22:48 ID:QA-0005923
相談者より
ありがとうございました。上司に相談したところ、「見舞金」として「役員会の議題にして検討してみる」とのことでした。この上司は、今回のことで「前例をつくる」事を非常に気にしておりますが、そんな事よりも、二度と同じ事故を繰り返さないように安全対策を講じることが最も必要な事ではないでしょうか。当然の事ですが、この期に及んで、気にするポイントがずれているようにも思います。恐らく、私が言い出さなければ、そのまま何もせずに終わっていたはずです。そう感じました。補償までには程遠いかも知れませんが、やはり必要ではないかと思うのですが・・・
投稿日:2006/09/12 10:38 ID:QA-0032468大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣社員の業務上の負傷
前回、指摘しましたように、派遣先の事業主は、派遣労働者については、労働安全衛生の責任を負うとともに、安全配慮義務を負担しています。労働者が負傷したり、死亡したときには、この安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求される可能性が生じるのです。今回事例の「階段に手摺がない」という状態は労働安全上、少なからず問題になる可能性があります。御社の役員会における検討も、真摯な補償と再発防止という生産的視点から行われることを期待しています。
投稿日:2006/09/12 13:15 ID:QA-0005988
相談者より
ありがとうございます。念を押したご指摘も真摯に受け止め、今後の改善に必ず生かしたいと思います。しかし、私自身も非常に心配しているのは、未だに「手摺のない階段」への対策が施されていない点です。役員会での検討もこの点については、ほとんど触れられず終わるはずです。後日、必ず報告を受ける事になっていますが、その点について言及しようと考えてはいます。わざわざ、確実に問題となる箇所をそのまま放置しておくのは、余りにも愚か過ぎます。
投稿日:2006/09/14 10:05 ID:QA-0032497大変参考になった
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