執行役員規程について
当社の執行役員は、昨年年俸制に変えるということで、退職金はなし、賞与も原則なしということにしました。これにより、昨年までの退職金は精算し、給与月額はあがりました。なお小生は役員給与担当ではないためどの程度増額となったかは把握できない立場です。
そこで執行役員規程を見直すということになりましたが、社内の管理担当の役員から、この処遇では、
雇用契約ではなく、委任契約ではないか。これを明確にする必要があると指示を受けました。
そこでご質問です。
①委任契約となると雇用保険には加入できないのでしょうか。
②そもそも委任契約か雇用契約か明確にしないとまずいものなのでしょうか。
投稿日:2013/01/20 14:00 ID:QA-0052906
- あーさん
- 愛知県/機械(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
両契約は全く別物、委任契約は雇用保険加入の対象外
ご相談の執行役員は、会社法で認められた執行役とは、全くの別物で、労基法41条2号に該当する上級管理職だと理解します。 このような執行役員は、経営における業務執行を担う点においては取締役と同じですが、任意制度であるため、その身分のあり方は、「 委任型 」 でも 「 雇用型 」 でも構いません。 現実には、管理職社員から登用任命することが多いため、雇用契約を維持したままで、責任、権限、処遇を変更することが一般的です。 因みに、委任契約、雇用契約いずれも、民法に定められた典型契約で、前者は、「 当事者の一方が、法律行為や事実行為をすることを相手方に委託する契約、特約により報酬の支払も可 」、 後者がは、「 当事者の一方が、相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して提供した労務に対し、報酬を支払う契約 」 とされています。 一寸、分り難いかも知れませんが、「 依頼された事務を処理することを目的とし報酬を支払う契約 」 ( 厳密には、準委任契約といいます ) と 「 業務命令に対して提供された労働に対価を支払う契約 」 ということで、その性質、適用法も全く違うものです。 質問 ① ⇒ 委任契約では、労働関係が存在せず、雇用保険にも加入できません。 質問 ② ⇒ 逆になりましたが、上記の通りです。 ※ 参考 委任契約 (民法643条) ・ 雇用契約 (民法623条)
投稿日:2013/01/20 15:36 ID:QA-0052907
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2013/01/21 10:55 ID:QA-0052921大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご質問の件ですが、まず通常の委任契約であれば雇用関係は成立しませんので雇用保険には加入出来ません。但し、形式的には委任契約を結んでいるとしましても、実態として会社の指揮命令を受けて管理職従業員と同様に労働に従事していれば実質は雇用契約として労働者としての取り扱いがなされ原則として雇用保険の加入も必要となりますので、形式と実態の相違がないようにしておかなければなりません。
勿論、委任契約(会社と取締役等の役員との契約)か雇用契約(会社と従業員との契約)のいずれであるかは明確にしておかなければなりません。曖昧にされると労働法令違反の発生に繋がる可能性が高いですし、さらには当人との間でも処遇等を巡って大きなトラブルとなりかねません。ちなみに、労働者としての実態があれば退職金や賞与が無くとも雇用契約自体は当然に成立しますが、そのような場合ですと就業規則で退職金や賞与の支給が明示されているにも関わらず支給しないといった措置は認められませんので注意が必要です。
投稿日:2013/01/20 22:53 ID:QA-0052911
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2013/01/21 10:56 ID:QA-0052922大変参考になった
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