突然帰国した外国人への給与支払いについて
はじめて質問させていただきます
東京都で外国語の語学スクールを経営しているものです。
3月11日の震災後、アルバイトの講師契約終了を前に、突然、帰国した外国人への給与の支払いでご相談させていただきます。
震災後の交通機関等の混乱で、数日スクールの営業は休みましたが、14日頃から営業を再開しました。
が、契約していた講師が原発の問題もあり、突然、14日頃に契約終了を前に本国に帰国しました。
講師の母国の大使館は東京からの避難を指示しており、帰国の航空券のチケットも希望するものには準備されていました。
が、強制的な避難勧告ではありません。
また、その後、それらは平常に戻りました。
スクールでは、その講師が比較的、生徒の信頼もあり、重用しておりました。
が、その講師が担当していたレッスンを他の講師が振り替えたり、レッスン自体がキャンセルとなったり、新しく講師を採用しなくてはいけなくなり、様々、問題も生じました。
そのことに関しては、損害賠償等請求はしないことに会社側とは決定しました。
その講師の給与の支払いで3月分がまだの状況です。
当人より連絡があり、以下の条件での給与の支払いを求めております
1)当人名義の外国の銀行口座への支払い
2)その妻名義の日本の銀行口座への支払い
当方は、契約時より、今まで手渡しで給与の支払いをしておりますが、以下の条件での支払いならば応じる旨、先方に伝えました
①直接の手渡し
②当人名義の日本の銀行口座への支払い
その後、先方は、外国の公証人役場で作成した妻名義の日本口座への支払いを要求する文書を送付してきました。
当人名義の日本の銀行口座は日本滞在時にはあったのですが、帰国にあたり、閉鎖したとのこと。
感情論にはなりますが、日本に思い入れがあり、残ってがんばっている外国人講師も多くいる前で、さっさと帰国したこの人物への給与支払いは、当方も大変迷惑をしたため、できるだけ先方にとってリスクであったことを理解してもらいたいと思っております。
そのため、極力、給与の支払いは①、②の条件を満たさない限り、行いたくないと考えております。
また、決して、当方は、給与の支払いをしないとは言っておらず、①、②ならば支払うと主張してます。
(先方は、あと2年ほどは日本には絶対戻らないと言っています)
①②の条件でなければ支払いを拒否しておりますが、実際問題として、これは合法でしょうか。
先方の要求する、妻名義への口座への振り込みをする必要はあるでしょうか?
国際為替・外国の銀行口座への送金などの方法もあるとは思いますが、これを行う義務はあるでしょうか?
また、妻名義への口座への振込をする場合でも、何か特別な手続き、書類等必要でしょうか。
回答いただけますと幸いです。
投稿日:2011/06/29 21:46 ID:QA-0044723
- ひろきーなさん
- 千葉県/教育(企業規模 6~10人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
賃金の支払につきましてはご認識の通り直接当人に支払うことが義務付けられています。本人の同意を得ますと口座振込みも可能ですが、その場合でも本人名義の口座しか認められていませんので、妻名義の口座への振込みは原則として不可になります。
従いまして、法律論で申し上げますと妻名義の口座に賃金を振り込む要求に応じる必要はございませんし、またすべきではないということになります。
但し、賃金支払義務自体は残りますので、可能であれば外国銀行口座への振込み等現実的な手段を採られることをお勧めいたします。但し、そうした手段につきましても当然ながら本人の同意が必要となりますので、あくまで本人が妻名義口座への振込みを主張し続けた場合には日本の法令で禁止されている為出来ない事を説明し理解してもらうしかないでしょう。本人が賃金受取の障害の原因を作っている事になりますので、御社から無理に妻口座へ振り込み義務はなく、それで御社が訴えられるようなことは考えにくいですが、万一訴訟トラブルになるようであれば非常に特殊なケースでもありますので弁護士等の専門家に相談される事をお勧めいたします。
投稿日:2011/06/30 10:28 ID:QA-0044724
相談者より
早々に回答頂きありがとうございました。
現在、妻名義の口座への振込を主張しており、法律的・税務的に問題があるのではないかと思い、苦慮しておりました。
また、支払いが3月の10日ほど働いた分給与で少額でした‥。
いずれにせよ、わかりやすく回答頂き、大変参考になりました。
解決に向けて、改めて行動ができます。
ありがとうございました。
投稿日:2011/07/01 18:18 ID:QA-0044735大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
本人名義の外銀口座への振込がベストな選択
|※| 感情論はさておき、「 本人に当面戻る意思のない 」 ことで雇用関係が実質的に終了し、「 未払賃金がある 」 点に絞ってみます。ご検討中の二つの方法は、一概に、本人の責に帰することができない事由による帰国によって、直接の手渡しは難しくなったこと、また、本人の日本の銀行口座が閉鎖されてしまっている、状況では、現実的ではなく、本人に押し付けるのは、妥当性に欠けると思います。 .
|※| 他方、本人の妻名義への口座への振り込み要請書 ( 公証人による認証付き = Acknowledgement by Notary Public ) ですが、これは、内容の正当性を意味するものでなく、確かに本人が署名したことを証明するものに過ぎません。労基24条の、直接払の原則の例外として応じるのは問題を残す可能性があります。 .
|※| 現実的な選択肢は、「 当人名義の外国の銀行口座への支払い 」 でしょう。口座振込には、労働者の代表者の同意ではなく、賃金の支払いを受ける労働者個人の書面による同意が必要ですが、この要件は満たされています。振込手間、手数料とも大したものではありません。しかも、一過性のことです。ここは、最初に申し上げた通り、クールに淡々と処理することが賢明です。
投稿日:2011/06/30 11:42 ID:QA-0044725
相談者より
お礼が遅くなりましたが、早々に回答ありがとうございました。
支払う給与がアルバイトで少額のため、また、妻名義への口座振り込みにこだわって連絡が来ているため、法律的に問題があるのではないかと苦慮しておりました。
アドバイスを参考に、解決に向けて動きたいと思います、ありがとうございました。
投稿日:2011/07/01 18:12 ID:QA-0044734大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。