クレーン運転業務は請負か派遣か
当社ではクレーン運転業務を外注化しており、現在請負(業務委託)としています。
クレーンは複数あり、日によってどのクレーンを運転するかは決まっていません。
業者とはクレーンの賃貸借契約は行なっておらず、一般的な請負契約(業務委託契約)の中で当社所有のクレーンを運転してもらっている現状です。
玉掛指示者は当社社員で、混在作業状態にあります。
当社の見解はトラックやユニックと同様、荷物等を当社社員の指示するところに移動・運搬するため請負で問題ないと理解していましたが、先般会議の中で、「混在作業であり当社社員が玉掛指示=作業指示をしているのだから派遣とすべきではないか」との話が出てきました。
当社としては、法令遵守を第一に考えており、適正な形態は請負なのか派遣なのか判断に困っています。
回答いただければ有難く考えます。よろしくお願いします。
投稿日:2010/08/11 09:13 ID:QA-0022287
- *****さん
- 神奈川県/輸送機器・自動車(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣契約に切り替える以外に選択肢はない
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■ 請負とは、《 仕事を完成 》 させることを約束し、仕事の結果に対して報酬をもらう契約 ( 民法632条 ) で、これに対して業務委託は、業務委託契約(民法656条)に基づき、委託者より 《 特定の業務の処理 》 を委託されることで、いずれの場合も、《 受託側の社員に対する指揮命令はできません 》。その観点からは、会議における 「 派遣とすべき 」 というのは正しい指摘だと思います。
■ 偽装請負問題の噴出などを機に、厚労省は、「 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準 」 を明確にしました。かなり長文なのですが、大きく分けると、次の2点になります。
① 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること
② 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備もしくは機材 ( 業務上必要な簡易な工具を除く ) 又は、材料若しくは資材により、業務を処理すること
■ クレーンを含む機器についても、本来は請負側からの持ち込み、発注側が提供する場合でも、経済的に合理的な価格で賃借契約の締結が求められています。従い、請負契約とするならば、現状は、限りなく、上記基準に抵触するものと推測致します。
■ 請負、業務委託、いずれの場合も、受託側の社員に対する指揮命令が駄目なことは同じといいましたが、クレーン等の機器の扱いについては、濃淡が見受けられます。発注側が提供する機器は、「請負」の場合、最低でも賃貸借契約が必要ですが、「業務委託」であれば、受託側社員に使用させたからといって違法とはならない点です。
■ 結論としては、「 混在作業 」 のため、受託側社員に対する、直接指揮命令が、不可避ならば、色々と手間は増えますが、派遣契約に切り替える以外に選択肢はないと考えます。
投稿日:2010/08/11 10:53 ID:QA-0022292
相談者より
早速、参考になる回答をいただき、ありがとうございました。
契約締結部門に再度確認しましたが、当社のクレーン運転の契約は請負ではなく、業務委託契約になっているようです。
であれば、回答いただいた内容からすると、クレーン等機器の賃貸借契約は不要でありこの点は問題なし、結局は当社社員が玉掛作業により作業指示する点が問題ありという事になりますね。
では、玉掛作業者も同じ外注業者が実施し、荷物の移動・運搬計画書をあらかじめ渡しておいて、これを玉掛(作業指示)する外注業者が判断してクレーン運転士に指示して作業をさせるという事は可能になるのでしょうか。それともこれも計画書を渡している事から当社からの作業指示に該当し、違法となるのでしょうか。
投稿日:2010/08/11 11:21 ID:QA-0040927大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣契約に切り替える以外に選択肢はない P2
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■ 前半はご理解の通り、御社社員が玉掛作業に関する作業指示をする点が問題です。御社の責任者が、受託先の責任者に対して、荷物の移動・運搬計画書を予め渡されるのは、発注側と受託側 ( 契約の当事者 ) 間の当然の行為であり、《 受託側の社員に対する指揮命令ではありません 》。その指示書に従って、受託側の責任で、クレーン運転士に指示して作業をさせるれば、違法とはなりません。
投稿日:2010/08/11 12:34 ID:QA-0022294
相談者より
投稿日:2010/08/11 12:34 ID:QA-0040928大変参考になった
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