年次有給休暇5日取得義務の運用に関するご相談
お世話になっております。
従業員数10名未満の小規模事業所を運営しております。
年次有給休暇の運用につきまして、法令遵守の観点から確認させていただきたく、ご相談申し上げます。
労働基準法第39条に基づき、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員については、使用者に年5日の取得義務があることは理解しております。
一方で、当社のような小規模事業所において、業務都合や人員体制の制約等により、結果として当該年度内に5日間の取得が完了しなかったケースが発生する可能性がございます。
現在の社内運用としては、
年度内に取得されなかった分の年次有給休暇について、翌年度への繰越を行わず、当該年度末で消滅扱いとする運用が妥当かどうか、という点について認識が分かれております。
つきましては、
○年5日の取得が未達となった場合に、使用者として法的に問題となる点の有無
○未取得が発生した場合に、使用者側に求められる是正対応の考え方
○小規模事業所において現実的かつ適切とされる運用方法(規程整備や実務対応の方向性)
について、専門的なご見解をご教示いただけますと幸いです。
今後の労務管理体制の見直し・改善の参考とさせていただきたく存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2026/02/06 10:46 ID:QA-0164113
- CoCoさん
- 東京都/化学(企業規模 6~10人)
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本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
まず前提として、労働基準法第39条第7項により、**年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、事業場の規模にかかわらず、使用者に「年5日の取得をさせる義務」**が課されています。したがって、従業員数10名未満の小規模事業所であっても、この義務が免除されることはありません。
1.年5日の取得が未達となった場合の法的問題点
年5日の取得が結果として達成されなかった場合、その事実自体が労基法違反となります。重要なのは、「従業員が請求しなかった」「忙しくて取れなかった」といった事情があっても、使用者には取得させる義務(結果責任に近い性格)があるとされている点です。
また、
・未取得分を翌年度に繰り越さない
・年度末で消滅扱いとする
といった運用を行ったとしても、5日取得義務を果たしたことにはなりません。この場合、是正勧告や、悪質と判断されれば30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
2.未取得が発生した場合の是正対応の考え方
万一、年度途中で取得が進んでいないことが判明した場合、使用者としては以下の対応が求められます。
・取得状況を把握し、対象者に対して計画的な取得を促す
・時季指定(使用者指定)による年休取得を行う
・業務調整や代替要員の確保等により、取得可能な環境を整える
特に、使用者による時季指定は法的に認められた正当な手段であり、「本人が希望しないから指定しない」という姿勢は、是正対応として不十分と評価されるおそれがあります。
3.小規模事業所における現実的・適切な運用方法
小規模事業所では、次のような運用が現実的かつ実務上安全です。
・就業規則(または年休管理規程)に
「年5日については、計画的付与または使用者が時季指定する」
旨を明記する
・年初または付与時点で、対象者ごとに「最低5日の取得予定」を立てる
・繁忙期を避け、閑散期にまとめて指定するなど、業務と両立した設計を行う
・取得状況管理簿を作成し、未達リスクを年度途中で把握する
なお、法定の年次有給休暇は原則2年間有効であり、5日取得義務を果たしていないにもかかわらず「年度末で消滅」とする運用は、二重の意味で問題となり得ます。
4.とめ
・年5日取得義務は事業所規模に関係なく適用
・未達成は法令違反となる可能性が高い
・繰越をしない、消滅扱いとすることで問題が解消されるわけではない
・計画的付与や時季指定を前提とした規程・実務整備が不可欠
小規模事業所だからこそ、「取得できなかった」では済まされず、事前管理と制度設計が重要になります。今後の体制見直しにあたっては、「取得させる仕組み」を整える方向での改善をおすすめいたします。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2026/02/06 11:36 ID:QA-0164120
相談者より
このたびはお忙しい中、年次有給休暇に関するご質問につきまして、
大変丁寧かつ分かりやすいご回答をいただき、誠にありがとうございました。
事業所規模に関わらず適用される考え方や、
実務上の留意点についても具体的にご説明いただき、
制度の理解が深まりました。
いただいた内容を踏まえ、社内での確認・検討を進めていきたいと考えております。
このたびは貴重なお時間を割いてご回答いただき、心より御礼申し上げます。
今後とも何かございましたら、ご相談させていただくことがあるかと存じますが、
その際はどうぞよろしくお願いいたします。
敬具
投稿日:2026/02/06 14:06 ID:QA-0164142大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
・未達となった場合
使用者の責任が問われ、法令違反の罰則を受けることになります。
・その場合の是正対応
「取得できなかった」では済まないため、どのように取得を促進したか、実行責任がとわれます。恐らく自然に任せていて取得促進ができるとも思えませんので計画的付与や面談など、いかに実効を上げ結果を出せるかです。
やらなくて済む理由は何もありませんので、取得させる以外の選択肢はありません。
・運用方法
法律なので、事業規模は関係なく取得促進策を取る必要があります。計画付与などが一般的方策です。また元の体制を維持することではなく、大きなルール変更に合わせて顧客対応なども見直すような大々的変更になることを経営者がどこまで自覚できるかでしょう。
投稿日:2026/02/06 13:10 ID:QA-0164135
相談者より
このたびは、年次有給休暇に関するご質問につきまして、
分かりやすくご回答いただき、誠にありがとうございました。
事業所規模に関わらない考え方や、
実務上の留意点について理解を深めることができました。
ご教示いただいた内容を参考に、社内での確認を進めてまいります。
このたびは貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。
敬具
投稿日:2026/02/06 14:54 ID:QA-0164148大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
計画的付与
以下、回答いたします。
○年5日の取得が未達となった場合に、使用者として法的に問題となる点の有無。
⇒ 労働基準法第39条第7項(時季指定付与義務)違反につきましては、同法第120条第1項において30万円以下の罰金が定められています。
○未取得が発生した場合に、使用者側に求められる是正対応の考え方。
⇒ 直ちに従業員の意見を聴き、時季指定し付与することが肝要であると認識されます。
○小規模事業所において現実的かつ適切とされる運用方法(規程整備や実務対応の方向性)。
⇒ 労働基準法第39条第8項、第6項(計画的付与)に基づき、予め、年次有給休暇5日分につき取得予定月日を労使間で決定・共有しておくことが考えられます。
投稿日:2026/02/06 13:18 ID:QA-0164138
相談者より
このたびはお忙しい中、年次有給休暇に関するご質問につきまして、
丁寧かつ具体的なご回答をいただき、誠にありがとうございました。
特に、年5日の取得義務に関する法的整理や、
小規模事業所における実務上の対応についてのご説明は、
非常に参考になりました。
いただいた内容を踏まえ、社内での確認および今後の対応を
検討していきたいと考えております。
このたびは貴重なお時間を割いていただき、心より御礼申し上げます。
敬具
投稿日:2026/02/06 14:56 ID:QA-0164149大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
年5日の取得義務は、事業規模にかかわらず労働基準法上の義務事項となります。
未達となった場合は法令違反です。対象労働者1名につき最大30万円の罰金が
科される可能性があります。
未取得が発生した際は、速やかに消化させる是正対応が不可欠となります。
また有給休暇を翌年度へ繰り越さず消滅させる運用は、法的に認められません。
未消化分は翌年度に繰り越す必要があり、その上で改めて年5日の取得義務が
生じます。
小規模事業所では、年度当初に計画的付与制度を導入し、あらかじめカレンダー上
で取得日を固定する方法が現実的ではないでしょうか。ご検討ください。
また、基準日から半年経過した時点で取得状況を確認し、進捗が遅れている
従業員に対しては、管理者が個別に取得の牽制を図るなど、1年の終期になって
結果だけを追わない仕組みづくりが大切かと存じます。
投稿日:2026/02/06 13:46 ID:QA-0164139
相談者より
このたびは、年次有給休暇の運用に関するご質問につきまして、
大変分かりやすく、実務に即したご回答をいただき、
誠にありがとうございました。
法令上の考え方だけでなく、
実際の運用面での注意点までご説明いただき、
理解を深めることができました。
今後、社内で検討を進める中で、
またご相談させていただく機会がございましたら、
その際はどうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2026/02/06 14:58 ID:QA-0164150大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
年5日の時季指定義務は、法律上当然の責務であって、企業規模は問われません。
5日の時季指定が達成できなければ、労基法上、罰則が適用されます。
年次有給休暇権は2年間の不行使により時効で消滅しますが、逆に言えば、2年間は使えるということですから、年度内に取得されなかった分の年次有給休暇を当該年度末で消滅させることはできません。
当該年度の未消化分は必ず翌年度に繰り越す必要があり、それとは別に、翌年度改めて5日の時季指定義務が発生しますが、ただし、前年度からの繰り越し分の年次有給休暇を取得した場合は、その日数分を使用者が時季指定すべき5日の年次有給休暇から控除することもできます。
小規模事業所において現実的かつ適切とされる運用方法としましては、時間有休・半日有休といった制度を導入することで、消化を促進するというのも一つの方法です。
投稿日:2026/02/07 09:53 ID:QA-0164188
相談者より
このたびはお忙しい中、年次有給休暇に関するご質問につきまして、
丁寧かつ具体的なご回答をいただき、誠にありがとうございました。
投稿日:2026/02/12 14:05 ID:QA-0164376大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
年次有給休暇申請書
従業員が年次有給休暇を申請するためのテンプレートです。半休まで認める場合の例となります。時間単位の年次有給休暇を認める際には追記してご利用ください。